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暖かい冬の日に 【詩】
暖かい冬の日に
梅の花が咲いていた
赤と白の2色の花は
道行く人の足を止め
わずかに口元緩ませた
脇のほうに落ちている
細い2本の枯れ枝が
雪だるまの腕だって
たった1人も気付いていない
日の当たらない道の端
だからこれからその腕を
拾って弔うことにした
近付いたときに赤い実蹴った
暖かい冬の日に
小さな部屋の小さな願い 【詩】
食べ過ぎたと言える日が
幸せなことだと気付いた日
あちらでは誰が偉いか
ケンカをしている
こたつでうたた寝する時間が
貴重なんだと気付いた日
こちらでは正義のヒーローたちが
声を荒げている
聞きたい声は台風に巻き込まれて
いつも遠く彼方
そしてちっぽけな私は
こもった熱を握りしめ笑う
隣の人の話を聞いて
子どもの頭をゆっくりなでる
私のちっぽけな行いが
子どもの友達のおじいさんの
親
ポケットの中に 【詩】
ポケットの中にどんぐり
これはいつかの招待状
とっておきの秘密基地
見せてもらうはずだった
ポケットの中に空袋
これはいつかのおまけの飴
迷って選んだソーダ味
消える最後も甘かった
ポケットの中にメモ用紙
これは過去の走り書き
忘れたくない言葉たち
折り畳まれて待ちぼうけ