短編小説「荒野のワンワン」
ボクが造られる前に世界は大きな戦争があって、なにもかもメチャクチャになった。
生き残ったニンゲンは砂と鉄にまみれた焼け焦げた大地で、砂煙を上げながら旧時代の遺産を走らせた。
荒れ果てた荒野の果てには頭のおかしい悪党がいて、同じように頭のおかしい連中を次々に仲間にしていって、あっという間に世界最強で世界最悪の荒くれ集団を結成した。
でも全員頭のおかしいイカレ野郎だから、鉄クズよりも価値のない理由で殺し合いを始めて、ボクのご主人様は何十発も何百発も仲間だったやつに鉛玉をぶち込んだ