武田 緑|学校DE&Iコンサルタント

学校におけるDE&I(多様性・公正・包摂)をテーマに、研修・講演・執筆、イベン…

武田 緑|学校DE&Iコンサルタント

学校におけるDE&I(多様性・公正・包摂)をテーマに、研修・講演・執筆、イベント企画、現場への伴走サポート、教育運動づくりをやっています。DE&Iのためには現場のエンパワメントが必要なので、教職員の仲間と共にNPO法人 School Voice Projectもやっています。

記事一覧

『〈寝た子〉なんているの?見えづらい部落差別とわたしの日常』を読んで考えたあれこれpart2

こちらの記事の続きをすぐ書こうと思っていたのに、はや2ヶ月が経ってしまった。今月20日(もう今週末!)はBUEAKU HERITAGEとしてこの本=メンバーの上川多実ちゃんの初の…

「民主的」と「インクルーシブ」の関係

【民主的でインクルーシブな学校】というのを個人としてもSVPとしても標榜している。『民主的』とは、一人ひとりの声が、小さな声でも大切に聴かれること。『インクルーシ…

痛みや怖さを見せ合うことから何かが始まるのかもしれない。「北フェス」でデンマークの教育の話をして考えさせられたこと

先日、北海道で小学校山田洋一さんが長年やっておられる教育研修サークル「北の教育文化フェスティバル(北フェス)」に呼んでいただいて、デンマークの教育の話をしてきた…

学校DE&Iって何?多様性・公正・包摂に向かうために共有したい観点とアイデア

少し前に、これからは学校DE&Iを自分の主要テーマとしてやっていきますという宣言をしました。 自分が選んだ「学校DE&I」というテーマに関して、学ぶ→考える→発信する(…

不登校を語る際って落とし穴がいっぱいあると思う・・・少し整理してみた。

不登校を語るのはほんとに難しい・・・。複雑な現実があるし、ちょっと間違ったらはまってしまう落とし穴も多いし、議論のプロセスで誰かが傷ついてしまうリスクがとても高…

想像力を高めるために必要なのは、心がけではなく、学びと知識と出会いだ

誰もが過ごしやすい場をつくっていくためには一人ひとりが想像力のアンテナを高めることが大切。想像力は心がけでは高まらない。想像力を高めるのは「学び・知識・出会い(…

デンマーク滞在中に感じている日本にもほしい3つのもの【=時間・信頼・共有ビジョン】

デンマークにいながら、ずっと日本の社会と学校のことを考えている。 参加メンバーのみんなや、 コーディネーターのさわひろあやさんと、 ずっと日本のことをしゃべってい…

『〈寝た子〉なんているの?見えづらい部落差別とわたしの日常』を読んで考えたあれこれpart1

BURAKU HERITAGEという有志のグループで、 一緒に活動している、友人の上川多実ちゃんのエッセイ本が出た。 私と多実ちゃんは、同じ部落ルーツ当事者であるという点、部落…

教育ファシリテーター → 学校DE&Iコンサルタントへ 【肩書き変更のお知らせとその理由】

これまで名乗ってきた肩書きについてフリーランスで仕事・活動していると「自分は何者なのか」「何屋さんなのか」という問いに常に向き合わざるを得ません。既存の職業名で…

SNSでモノを言うことにもう一度挑戦するために、SNS発信の何がしんどくなってしまったのか考えてみた。

SNSでモノを言うことが年々怖くなっている自分がいる。けれど今年は、それを乗り越えて、もう少し感じていること、考えていることを言葉にして外に出していこうと思う。 と…

Webメディア「メガホン」に込める、学校がボトムアップで変わっていくことへの希望

学校現場の声を見える化し、対話の文化をつくろうとしている私たちの活動、School Voice Project。1000万円というどデカい目標のクラウドファンディングを、たくさんの人の…

「そんな校則おかしいだろ」と思う大人の人に、"今の社会"を変えていくことも、ともに引き受けてほしい。

※この記事はあくまで個人としての考えを綴ったものであり、所属団体を代表するものではありませんので、あらかじめご了承ください。※ 都立学校が、地毛を黒髪に染めさせ…

学校現場の声を見える化して、社会に届ける。School Voice Project クラファン&ユーザー登録始まりました!

自分のnoteに書きそびれていたことに気が付き、急いで書き始めた22:30。以前、ここでも、記事を書いていた、学校現場の声を集めて見える化するオンラインプラットフォーム…

【教職員の皆さんへ】学校現場の声を見える化し、対話の文化をつくるオンライン・プラットフォームをつくります。

私が教育にかかわる理由 「自分を大人だと思う」29.1%、「自分の国の将来がよくなる」9.6%、「自分で国や社会を 変えられると思う」18.3% これは2019年に日本財団が9カ国の…

ウポポイ訪問をきっかけに、やっと学びの入り口に立てた感覚。アイヌのこと、これからもっと知っていきたい。

少し前に、ウポポイ行ってきた。(水曜日のカンパネラの歌でCMやってるの、みたことある方もいるんじゃないでしょうか。) 新しいミュージアムができたこの機会に、そろそ…

数年ごとの開催だった『エデュコレ』がオンライン化!自宅に居ながら"多様な教育"とつながる学びの場をあなたに。

そもそもエデュコレとは・・・? エデュコレは、2009年に初めて大阪で開催して以来、数年ごとに開催してきたリアル(オフライン)での教育関係者のための大規模イベントで…

『〈寝た子〉なんているの?見えづらい部落差別とわたしの日常』を読んで考えたあれこれpart2

『〈寝た子〉なんているの?見えづらい部落差別とわたしの日常』を読んで考えたあれこれpart2

こちらの記事の続きをすぐ書こうと思っていたのに、はや2ヶ月が経ってしまった。今月20日(もう今週末!)はBUEAKU HERITAGEとしてこの本=メンバーの上川多実ちゃんの初の単著『〈寝た子〉なんているの?見えづらい部落差別とわたしの日常』の出版記念イベントを予定していまして、さすがにそれまでには書かねばということでパソコンに向かっています。
(というか、多実ちゃんに書くように言われている。遅く

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「民主的」と「インクルーシブ」の関係

「民主的」と「インクルーシブ」の関係

【民主的でインクルーシブな学校】というのを個人としてもSVPとしても標榜している。『民主的』とは、一人ひとりの声が、小さな声でも大切に聴かれること。『インクルーシブ』は多様性を前提としてみんながいやすい・排除されない状態を枠組みや文化を問い直しながら目指していくこと。両者は相互強化し合う関係。

民主的で子どもの声が聴かれる環境があれば、子ども(というマイノリティ)の「これ、しんどい」「ここ、困っ

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痛みや怖さを見せ合うことから何かが始まるのかもしれない。「北フェス」でデンマークの教育の話をして考えさせられたこと

痛みや怖さを見せ合うことから何かが始まるのかもしれない。「北フェス」でデンマークの教育の話をして考えさせられたこと

先日、北海道で小学校山田洋一さんが長年やっておられる教育研修サークル「北の教育文化フェスティバル(北フェス)」に呼んでいただいて、デンマークの教育の話をしてきた。テーマは「デンマークの教育とウェルビーイング」。

前半はスライドに沿って私が話をし(とはいえ途中で山田さんから質問やコメントが飛んでくる感じ)、後半は山田さん中心に、参加者の皆さんから感想や質問をもらっておしゃべりするという内容。今回は

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学校DE&Iって何?多様性・公正・包摂に向かうために共有したい観点とアイデア

学校DE&Iって何?多様性・公正・包摂に向かうために共有したい観点とアイデア

少し前に、これからは学校DE&Iを自分の主要テーマとしてやっていきますという宣言をしました。

自分が選んだ「学校DE&I」というテーマに関して、学ぶ→考える→発信する(input→output)のサイクルを強化していくことで専門性を高めていきたいので、これからはインスタグラムとnoteで、がんばって発信していきたいと思います。

DE&Iって?改めて説明すると、DE&Iというのは、多様性(Div

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不登校を語る際って落とし穴がいっぱいあると思う・・・少し整理してみた。

不登校を語る際って落とし穴がいっぱいあると思う・・・少し整理してみた。

不登校を語るのはほんとに難しい・・・。複雑な現実があるし、ちょっと間違ったらはまってしまう落とし穴も多いし、議論のプロセスで誰かが傷ついてしまうリスクがとても高いから、心理的安全性が担保されないと建設的な議論・対話は進まない。なので、「エンタク」でなら深められるかな・・・と思って、試み始めているところ。(こういう話をしたい人はぜひ入ってきてください)

落とし穴①「不登校は不幸じゃない」だけを発信

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想像力を高めるために必要なのは、心がけではなく、学びと知識と出会いだ

想像力を高めるために必要なのは、心がけではなく、学びと知識と出会いだ

誰もが過ごしやすい場をつくっていくためには一人ひとりが想像力のアンテナを高めることが大切。想像力は心がけでは高まらない。想像力を高めるのは「学び・知識・出会い(input)」。これが増えるとマイノリティの存在や困難に気づきやすくなるし、無意識のバイアスへの自覚が生まれ言動が変わる。

配慮ある言葉を使い、差別を放置しない姿勢を示している人には、相談やカミングアウトが集まってくる。それはさらに(in

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デンマーク滞在中に感じている日本にもほしい3つのもの【=時間・信頼・共有ビジョン】

デンマーク滞在中に感じている日本にもほしい3つのもの【=時間・信頼・共有ビジョン】

デンマークにいながら、ずっと日本の社会と学校のことを考えている。

参加メンバーのみんなや、
コーディネーターのさわひろあやさんと、
ずっと日本のことをしゃべっている。

デンマークだって楽園ではないが、
「これは日本にもほしい」と切実に思うものがある。

それは、時間、信頼、共有ビジョン。

①時間

「自由時間・自分時間・市民としての時間」がデンマークでは明らかに長い。

4時に仕事を終えた後

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『〈寝た子〉なんているの?見えづらい部落差別とわたしの日常』を読んで考えたあれこれpart1

『〈寝た子〉なんているの?見えづらい部落差別とわたしの日常』を読んで考えたあれこれpart1

BURAKU HERITAGEという有志のグループで、
一緒に活動している、友人の上川多実ちゃんのエッセイ本が出た。

私と多実ちゃんは、同じ部落ルーツ当事者であるという点、部落解放運動の影響下で育ったという点は共通している。私は大阪の部落で、多実ちゃんは東京の部落ではない地域で育った。この違いはとても大きい。非常に雑にまとめると、①地域において被差別の立場を持つ子どもの育ちを支えてくれるコミュニ

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教育ファシリテーター → 学校DE&Iコンサルタントへ 【肩書き変更のお知らせとその理由】

教育ファシリテーター → 学校DE&Iコンサルタントへ 【肩書き変更のお知らせとその理由】

これまで名乗ってきた肩書きについてフリーランスで仕事・活動していると「自分は何者なのか」「何屋さんなのか」という問いに常に向き合わざるを得ません。既存の職業名ではやっていることを表せないため、自分で自分の職業に名前をつけることになります。私に関して言えば、最初は教育コーディネーターと名乗り、ここ数年は教育ファシリテーターと名乗ってきました。ファシリテーターとは、私なりの整理としては「"思考・表現・

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SNSでモノを言うことにもう一度挑戦するために、SNS発信の何がしんどくなってしまったのか考えてみた。

SNSでモノを言うことにもう一度挑戦するために、SNS発信の何がしんどくなってしまったのか考えてみた。

SNSでモノを言うことが年々怖くなっている自分がいる。けれど今年は、それを乗り越えて、もう少し感じていること、考えていることを言葉にして外に出していこうと思う。 と言うのも、自分が今最も力を入れてやっているSchool Voice Projectの影響力を高めたいと思ったときに、理事で呼びかけ人である私自身の発信力を高めることが、そのためのわりと大きな要素であろうと思ったから。

昔は、特に学生時

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Webメディア「メガホン」に込める、学校がボトムアップで変わっていくことへの希望

Webメディア「メガホン」に込める、学校がボトムアップで変わっていくことへの希望

学校現場の声を見える化し、対話の文化をつくろうとしている私たちの活動、School Voice Project。1000万円というどデカい目標のクラウドファンディングを、たくさんの人の思いに支えられてどうにか達成し、無事にキックオフしてからちょうど1年が経ちました。

学校現場の声を集める教職員Webアンケートサイト「フキダシ」を開設し、この1年間、30以上のアンケートを実施。集まった現場の声をも

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「そんな校則おかしいだろ」と思う大人の人に、"今の社会"を変えていくことも、ともに引き受けてほしい。

「そんな校則おかしいだろ」と思う大人の人に、"今の社会"を変えていくことも、ともに引き受けてほしい。

※この記事はあくまで個人としての考えを綴ったものであり、所属団体を代表するものではありませんので、あらかじめご了承ください。※

都立学校が、地毛を黒髪に染めさせることやツーブロック禁止などの校則について、4月から全廃されるそうです。こちらのニュースを見て、少し、モヤモヤとしていました。

まず、大前提として、私は下着の色をチェックするとか、地毛が明るい色なのを黒髪に染めさせるとか、人権侵害に他な

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学校現場の声を見える化して、社会に届ける。School Voice Project クラファン&ユーザー登録始まりました!

学校現場の声を見える化して、社会に届ける。School Voice Project クラファン&ユーザー登録始まりました!

自分のnoteに書きそびれていたことに気が付き、急いで書き始めた22:30。以前、ここでも、記事を書いていた、学校現場の声を集めて見える化するオンラインプラットフォーム「School Voice Project」がいよいよ、本格的に動き始めました。

▼以前書いた記事はこちら

School Voice Projectは、学校をよくしていくためのヒントが詰まっている「現場の教職員の声」をオンライ

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【教職員の皆さんへ】学校現場の声を見える化し、対話の文化をつくるオンライン・プラットフォームをつくります。

【教職員の皆さんへ】学校現場の声を見える化し、対話の文化をつくるオンライン・プラットフォームをつくります。

私が教育にかかわる理由
「自分を大人だと思う」29.1%、「自分の国の将来がよくなる」9.6%、「自分で国や社会を 変えられると思う」18.3%
これは2019年に日本財団が9カ国の18歳を対象に行った「社会や国に対する意識調査」における、日本の回答割合です。ここでは細かくは言及しませんが、いずれの項目も、他の8カ国と比べても、顕著に低いと言える数字になっています。

私は、大阪で人権教育の盛んな

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ウポポイ訪問をきっかけに、やっと学びの入り口に立てた感覚。アイヌのこと、これからもっと知っていきたい。

ウポポイ訪問をきっかけに、やっと学びの入り口に立てた感覚。アイヌのこと、これからもっと知っていきたい。

少し前に、ウポポイ行ってきた。(水曜日のカンパネラの歌でCMやってるの、みたことある方もいるんじゃないでしょうか。)

新しいミュージアムができたこの機会に、そろそろちゃんとアイヌのことを学ぼうと思ってのこと。現地に行く、というのは自分の学び方としてはすごくいい。その土地に身を置くと、その土地に関することを学ぶ力が湧いてくるような気がする。その土地に身を置くからこそ、感じることがある。

ウポポイ

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数年ごとの開催だった『エデュコレ』がオンライン化!自宅に居ながら"多様な教育"とつながる学びの場をあなたに。

数年ごとの開催だった『エデュコレ』がオンライン化!自宅に居ながら"多様な教育"とつながる学びの場をあなたに。

そもそもエデュコレとは・・・?

エデュコレは、2009年に初めて大阪で開催して以来、数年ごとに開催してきたリアル(オフライン)での教育関係者のための大規模イベントです。
学校・NPO・企業など多種多様な団体がブース出展と、教育現場の第一線で活躍するゲスト同士の対談企画「トークセッション」、様々な立場で教育や子どもに関わる方々の話を少人数で対話しながら聞ける「ロールモデルトーク」、出展団体などのプ

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