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ご飯を捨てるのは誰が悪い?

ランチタイムが終わって30分後
バットに残ったハンバーグをゴミ箱にたたきつけ
2Lも3Lも入るスープバーに入ったお味噌汁を
排水溝に流す。

これが私の仕事だった。


もちろん社員食堂を運営する側として
材料の調達、調理、料理のサーブも行う。

そして営業時間終了後に
余ったものを捨てる。

毎日捨てるんであれば、捨てないように
作る量を調整すれば?

と当然思う。
ただ、私たちが提供するのは毎日1000食前後。
来客数や時間帯も考慮するが誤差は出る。

運営側も予算的に出来れば余る料理を作りたくない。
でもスープを1人前、グラタンを1人前、
そんなちまちま作れる設備がある訳がない。

そしてお客さんが来た時に
「今から煮詰めますね~」
なんてやってられない。

来る人数を予測して準備する。

「売り切れか~、しょうがないな」
とみんなが納得してくれれば
売り切れ次第終了みたいな営業スタイルも
出来るかもしれない。

でも食堂と、その食堂を導入している企業間との
契約や取り決めで
「ランチタイムは14時まで。最後のお客さんにも
3種類のメニューから選んでもらえるように
運営してください。」
なんて契約が結ばれていたら
13時55分の時点で来るかもわからない1人の為に
ハンバーグ、とんかつ、焼きサバ
の3種類をスタンバイしておかなければならない。

これが14時になると廃棄となる。

家庭であればポテトサラダが余ったら
次の日にコロッケにしちゃおう!とできるかもしれない。

それを大量調理の現場でやったら
大問題で法に触れる。

作る側も一気に作ったほうが楽
食べる側も選べた方が嬉しい
そして余ったら捨てる。

お客さんは「ごちそうさまでした」と手を合わせ
食卓の上のトレーを綺麗にして
「よし、食べ残さないで環境に配慮できた!」
と思っても、私が14時過ぎになったら
ゴミ箱にハンバーグを5個や6個ぶちこむ。

食べ物を捨てても誰も痛くない。
血は出ないし、死なない。

私の心だけが日に日に疲れていった。
そして仕事を辞めた。

誰が悪かったのか、
それが今でも分からず、社会の複雑さというか
エシカル(倫理的)消費なんて言葉も
一人歩きしているけれど
自分の事も大切に出来なくてストレスをためて
心を病む私のような人が多い時代。
食べ物まで思いやりの心を持てる人が
どれだけいるだろうか。

食堂会社の偉い人と、
食堂を導入する企業の偉い人。
どちらも一人の人に過ぎないのに
ご飯を捨てる捨てないよりも
1食分が安いかどうか、メニューが多いかどうか
効率よく配食ができるかどうか
そんなことが契約の時に注目されていると思う。
(※どの給食の委託会社が入るかどうかはコンペでよく決まる)


個人的に私はご飯を捨てることが
どこか後ろめたくて無理だったけど
食料廃棄や環境問題について考えて
取り組んでいる人は何をしているんだろう。

そう思って出会ったのがパーマカルチャーだった。
でもどこかしっくり納得できない自分もいる。

何も知らずに批判はできないと思って
いろいろ調べ始めた。

。。mina。。

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