Minakoara0823

コアラの逃避行@リミナリティ 現実世界が一番の幻想 読んだ本のあらすじや感想を投稿し…

Minakoara0823

コアラの逃避行@リミナリティ 現実世界が一番の幻想 読んだ本のあらすじや感想を投稿しています。

記事一覧

タラント 勇気をもらえる本

この人の書く小説は優しい。学生時代によく読んでいたのを思い出した。 周囲に賛同者がいないときでも、勇気をくれる。 主人公みのりは学生時代、途上国支援のボランティ…

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1年前
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スタフ Staph

「キッチンカーブーム」 脱サラをして屋台販売で一夢掴む、一夜の夢のような物語のイメージとはかけ離れ、 夏都は1人手でキッチンカーを使ってお弁当販売を切り盛りしてい…

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1年前
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何者 さとり〜Z世代の現実

2016年に映画化した本作。 就活という見えないゴールに向かって一斉スタートする競技を背景に、 時代の波に揉まれてもがきながら自分という曖昧な存在を自覚していく話。 …

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1年前
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ポルシェ太郎 イタい人の話

いるいる、こういう「イタい人」の話。 前職の経営不安がきっかけではあるが、起業して少人数ながら従業員を雇い、 何とか安定した生活を送っている太郎。 その辺の雇われ…

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1年前
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レペゼン母 現代家族おもしろドラマ

和歌山の高齢化した町で梅農家を営む明子。 夫を早くに亡くし、女一人手で息子の雄大を育て上げ、 経営を安定させるまでとにかく必死でやってきた。 今では収穫の繁忙期に…

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1年前
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マイストーリー 私の物語

林真理子さんの自叙伝かと思って手に取ると、全く違ってびっくり。 私の物語を世の中に広めたい、 自分語りや自分の研究・芸術・信仰を後世に残したいという人々を支える…

Minakoara0823
1年前
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寡黙なる巨人 半身不随の気持ちを知る

国際的な免疫学者である著者が、突如脳梗塞で倒れ、右半身麻痺・言語障害を抱えたことからリハビリ闘病のありのままを綴る。 倒れる前は世界各国へ出張し研究活動を重ね、…

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1年前
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花の鎖 

アカシア商店街を舞台に、3人の私の物語が繰り広げられるミステリ。 毎年「K」という人物から届く豪華な花束が3人を繋げるが、最後まで展開が読めず想像力を掻き立てられ…

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1年前
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去年の雪 その現象が現在のものとは限らない

同じ地点、同じ視点、同じ季節にも、時空を超えてそこには違う景色が広がる。 ふとした瞬間のその儚い思い出は、その前にも後にも残らないと思い込んでいるけれど、その場…

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1年前
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マタニティ・グレイ 現代妊婦の悩み

石田衣良著 角川書店 2013/3/1出版 2023/4/15読了 夢だった出版社での仕事にも満足してるし、自由奔放だけど優しい夫と恋愛の末結婚したプライベートの生活も安定して…

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1年前
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河合隼雄 物語とたましい 心理学の極み

ユング心理学に精通し、河合塾を開いた臨床心理学者でもある著者が、世に語りかけた言葉を集めたもの。 ・日本神話にみる意思決定 日本人の意思決定のあり方は欧米人のそ…

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1年前
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リボルバー フランス芸術界を垣間見る

ゴッホのひまわりを表紙に飾るだけあり、フィンセント・ファン・ゴッホと深い付き合いのあったポール・ゴーギャンにまつわる本。 舞台である現代フランスの芸術業界事情が…

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1年前
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不幸な認知症 幸せな認知症 周囲の人次第

日本医科大学高齢者専門医である著者が認知症についての正しい認識を薦める。 認知症には根本治療がない。 治らない病気である上、誰が罹ってもおかしくないことから人々…

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1年前
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素晴らしき家族旅行 上・下

1994年に毎日新聞に連載された小説。 20年前の日本社会が抱えていた家族問題を面白おかしく物語化することで網羅している。 当時から高齢化社会に向かっていること、介護…

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1年前
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スクラップ・アンド・ビルド 介護の盲点を知る

28歳になる健斗は、郊外の集合マンションに母と祖父と3人で住んでいる。 離職後7ヶ月は中途採用面接を受ける傍ら、治験アルバイトなどをして生活を繋いでいた。 三流大学…

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1年前
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マンガでわかる認知症 人生終わりではない

家族とのやりとりを通じて、認知症の人の気持ちにフォーカスしたマンガ。 認知症の患者のありがちな迷惑行動や不快な発言への理解を促す。 2025年には、65歳以上の5人に1…

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1年前
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タラント 勇気をもらえる本

この人の書く小説は優しい。学生時代によく読んでいたのを思い出した。 周囲に賛同者がいないときでも、勇気をくれる。 主人公みのりは学生時代、途上国支援のボランティアサークルで活動していた。 まとまった休みごとにネパールやインド、ヨルダンなどで孤児院や難民キャンプを訪れるボランティアツアーに参加したこともある。 きっかけは学生寮の先輩がそのサークルに入っていたから。 国際協力に興味があったのは、ずっと田舎を出たかったから。 それがなぜなのか、使命とは、偽善とは、支援とは。

スタフ Staph

「キッチンカーブーム」 脱サラをして屋台販売で一夢掴む、一夜の夢のような物語のイメージとはかけ離れ、 夏都は1人手でキッチンカーを使ってお弁当販売を切り盛りしている。 離婚した夫の夢を引き継いだだけなのだが、今はそれが生活の拠り所になっている。 もともと細かいところに気がつくタチなので、都会の会社員にも飽きられない工夫や気遣いで常連客も着いてきたところ。 3LDKのマンションを手放せば家賃をいくらか抑えられるが、 途上国で単身赴任している姉の一人息子、智哉を預かってい

何者 さとり〜Z世代の現実

2016年に映画化した本作。 就活という見えないゴールに向かって一斉スタートする競技を背景に、 時代の波に揉まれてもがきながら自分という曖昧な存在を自覚していく話。 主人公の冷静な視点で進んでいくストーリーは、 大学生活の狭い人間関係の中で小さな発言をきっかけとした胸のザワつきや友人同士のマウントの取り合いを捉えている。 カッコつけた台詞をもったいぶらずに出せ、留年してやりたいことを追いかける友人、 留学やインターンなどキラキラした就活では得点の高いカードを何枚も持つ友

ポルシェ太郎 イタい人の話

いるいる、こういう「イタい人」の話。 前職の経営不安がきっかけではあるが、起業して少人数ながら従業員を雇い、 何とか安定した生活を送っている太郎。 その辺の雇われ会社員とは違い、これまで培ってきた人脈とノウハウで頭一つ飛び抜けている自負がある。 そんな中、やたらとポルシェが目につく。 目についたポルシェの運転手はどれもハゲて疲れたおじさん。 魅惑的なフォルム、そこらの国産車とは性能の違う乗り心地のポルシェに似合うのは、自分のような努力家であり若い成功者である。 今の年俸と同

レペゼン母 現代家族おもしろドラマ

和歌山の高齢化した町で梅農家を営む明子。 夫を早くに亡くし、女一人手で息子の雄大を育て上げ、 経営を安定させるまでとにかく必死でやってきた。 今では収穫の繁忙期に頼れるアルバイトの仲間もでき、 特に近所で一人息子を持つ同じ境遇の円には長年一緒に手伝ってもらっている。 子育てというのは本当に思うようにいかず、息子の裏切りや反抗に呆れている。 35歳にもなって定職にもつかずフラフラしていた息子が、 梅農家を真面目に継ぎたい と19歳の嫁を連れて帰ってきたのは3年前。 半信半疑で

マイストーリー 私の物語

林真理子さんの自叙伝かと思って手に取ると、全く違ってびっくり。 私の物語を世の中に広めたい、 自分語りや自分の研究・芸術・信仰を後世に残したいという人々を支える、 自費出版社ユアーズで繰り広げられる人間模様の話。 読書需要が激減し、どんな本も売れない世の中で、 大手出版社も目をつけ始めるほど自費出版というのが話題になってきている。 ユアーズに勤める編集者の太田は、自分語りをしたい依頼者から要望を聞き取り、 文章校正から製本まで寄り添う。 依頼者の中には自信過剰で自分の本が

寡黙なる巨人 半身不随の気持ちを知る

国際的な免疫学者である著者が、突如脳梗塞で倒れ、右半身麻痺・言語障害を抱えたことからリハビリ闘病のありのままを綴る。 倒れる前は世界各国へ出張し研究活動を重ね、それによる本を出版したり、絵画鑑賞を楽しんだり、仲間と酒を楽しんだり、人並みの人生を送っていた。 それが突如として、意識不明に陥り、目覚めたら何の言葉も発せない。 麻痺の身体は休むことなく緊張状態が続く。 揉み解さなければ手の指が食い込み、背中が曲がり、足首が伸びっぱなし、首と肩が言うことを聞かない。 自ら立ち上が

花の鎖 

アカシア商店街を舞台に、3人の私の物語が繰り広げられるミステリ。 毎年「K」という人物から届く豪華な花束が3人を繋げるが、最後まで展開が読めず想像力を掻き立てられる。 田舎の小さな商店街の人々や、近所の旧友が謎解きの一端を担う。 高原の花はその土地にしかない、その季節にしか咲かない、限られた思い出を連想させる。 どの花も特徴や適した環境が違うけれど同じ科目であれば同じ雰囲気が見られるように、人間もどこか違ってどこか同じだと思わせる。 他人と家族の境界はどこか。 自

去年の雪 その現象が現在のものとは限らない

同じ地点、同じ視点、同じ季節にも、時空を超えてそこには違う景色が広がる。 ふとした瞬間のその儚い思い出は、その前にも後にも残らないと思い込んでいるけれど、その場所にある空気というのは案外長い間残るもの。 植物ならずっとそこにいたかもしれない。 動物なら何度か生まれ変わった後にそこに戻ってきたのかもしれない。 人間はそういう自然の流れに導かれてそこにたまたま居合わせるのかもしれない。 季節が移り変わるように、そこで起こった特別な出来事は過ぎ去ってしまうけれど、また時空

マタニティ・グレイ 現代妊婦の悩み

石田衣良著 角川書店 2013/3/1出版 2023/4/15読了 夢だった出版社での仕事にも満足してるし、自由奔放だけど優しい夫と恋愛の末結婚したプライベートの生活も安定している。 順風満帆な千花子は30歳も超え、子供嫌いであることも後押しして、子どもを産むことを人生の選択肢に入れてこなかった。 東京でマンションが買えるのも、贅沢にリビングスペースをとって、カメラマンである夫の仕事場として簡易スタジオが置けるのも、子ども部屋を考える必要がないから。 堂々と担当のコラ

河合隼雄 物語とたましい 心理学の極み

ユング心理学に精通し、河合塾を開いた臨床心理学者でもある著者が、世に語りかけた言葉を集めたもの。 ・日本神話にみる意思決定 日本人の意思決定のあり方は欧米人のそれと異なっているように感じられる。 神話はそれを有している文化や民族などにとって、その存在の根源に関わる。 自分という存在も含めて、この世界全体の事象を心の中にどう受け止めるか、ということが述べられている。 現在のように異文化間の交流が激しくなってくると、意識の表層における理解のみではなく、相互理解をより深くしてい

リボルバー フランス芸術界を垣間見る

ゴッホのひまわりを表紙に飾るだけあり、フィンセント・ファン・ゴッホと深い付き合いのあったポール・ゴーギャンにまつわる本。 舞台である現代フランスの芸術業界事情が垣間見える。 主人公の冴はゴッホとゴーギャンの真の関係性を論文で研究する傍ら、CDCというオークションハウスに勤める。 ある日CDCを訪れたマダムの持ち込んだリボルバーが、CDCの命運を担うことになる。 アムステルダムにあるファン・ゴッホ美術館に始まり、ゴッホの終焉の地アルル、オーヴェール=シュル=オワーズのイ

不幸な認知症 幸せな認知症 周囲の人次第

日本医科大学高齢者専門医である著者が認知症についての正しい認識を薦める。 認知症には根本治療がない。 治らない病気である上、誰が罹ってもおかしくないことから人々は恐怖を抱いている。 治療法を求めることで袋小路に陥るのではなく、周囲の接し方や理解を深めることで認知症患者本人の幸せを追求することが重要と説く。 ・家族の顔を見ても分からない、どこにいるのか分からない、徘徊をする、というのは認知症でも重度の人の症状。最初の兆候から周囲の人がおかしいなと感じるまでが半年から1年くら

素晴らしき家族旅行 上・下

1994年に毎日新聞に連載された小説。 20年前の日本社会が抱えていた家族問題を面白おかしく物語化することで網羅している。 当時から高齢化社会に向かっていること、介護問題が各家庭の喫緊の課題であること、歳上の妻をもらうことへの社会的反発、30歳近い未婚女性への社会的圧迫感、嫁姑問題、相続問題、集合住宅でのご近所付き合い、郊外の大型モール建設による中小商店街の衰退などなど・・・ 多くは現代日本にも通づる共通課題である。 三世帯間の同居を通じて親子間、夫婦間、兄弟間のすれ違

スクラップ・アンド・ビルド 介護の盲点を知る

28歳になる健斗は、郊外の集合マンションに母と祖父と3人で住んでいる。 離職後7ヶ月は中途採用面接を受ける傍ら、治験アルバイトなどをして生活を繋いでいた。 三流大学卒、元中古車ディーラーの営業職という肩書きはなんの役にも立たない。 人並みに一応彼女もいるが、その程度の付き合い。 家庭内での祖父の身体・精神の衰えようを見て、自分の若さや体力を実感する。 昼間ほとんど寝たきりの祖父は、ことあるごとに介護が必要であることをアピールする。 祖父の発するネガティブな鬱っぽい言

マンガでわかる認知症 人生終わりではない

家族とのやりとりを通じて、認知症の人の気持ちにフォーカスしたマンガ。 認知症の患者のありがちな迷惑行動や不快な発言への理解を促す。 2025年には、65歳以上の5人に1人(約700万人)が認知症になる。 家族を含めて認知症の人が周囲に増えることを考えれば、自分ごととして捉えるべきであるが、現状では認知症に対する誤解は少なくない。 認知症とは、何らかの病気により脳がダメージを受け、認知機能が低下し、生活に支障が出ている状態を指す。 早めに適切なケアを始めれば、その分自分ら