南ノ三奈乃(MinanoMinamino)

物語の力を信じたい人。台湾在住。 ☆石田衣良さんの「オトラジ小説コンテスト」で受賞作に…

南ノ三奈乃(MinanoMinamino)

物語の力を信じたい人。台湾在住。 ☆石田衣良さんの「オトラジ小説コンテスト」で受賞作に選んでいただきました。(短篇小説「白熊」:『奇譚草紙』所収【公開中】) NOVEL DAYSにも生息中。↓↓ https://novel.daysneo.com/author/minano/

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  • 日々是口実(ひびこれこうじつ)

    台湾での、日々の生活のあれこれを綴ります。 気に入ったもの、気になったもの、少し考えてみたことなど……。 ※今のところ、ほとんどフードエッセイになっています(笑) イラスト/ノーコピーライトガール

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    長編小説(マガジンにまとめたもの & 他サイトに公開したもの)のご紹介です。 イラスト/ノーコピーライトガール

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    ミナノSF劇場へようこそ!――SF短篇・掌編集。 ※イラスト/ノーコピーライトガール

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    刺さった、心を揺さぶられた――そんな作品のレビュー集です。 ※イラスト/ノーコピーライトガール

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「オトラジ小説コンテスト」で受賞作に選んでいただきました。

なななななんと、わたしの短編小説「白熊」が、「オトラジ小説コンテスト」の受賞作の一つに選ばれました!! ――やったあ!! めちゃくちゃ嬉しい!!! 「オトラジ小説コンテスト」というのは、『石田衣良 大人の放課後ラジオ』の番組内で行われた小説コンテストです。 『石田衣良 大人の放課後ラジオ』(通称「オトラジ」)は、小説家の石田衣良さんを中心に、プロインタビュアーの早川洋平さん、声優コンテンツを中心に活躍される美水望亜さんのお二人が脇を固める番組で、YouTube、ニコニコ

    • 『太宰治は、二度死んだ』第7話

      「あつみちゃん、ちょっと靴下脱いで見せなさい」  仕事がひけるやいなや、お島姐さんはわたしを控室に引っ張り込んで、そう言いました。 「何よ、姐さん」 「いいから。見せなさい」  否も応もありません。無理やりわたしを畳の上に座らせると、足首のところを摑んで持ち上げるようにして、靴下を脱がせました。  姐さんはそれでもそっと脱がせてくれたのですが、足の裏にべっとりと靴下が密着していたために、皮を引き剝かれるような痛みが走りました。  わたしが思わず呻き声を上げると、 「な、何なの

      • 『太宰治は、二度死んだ』第6話

        「外はみぞれ、何を笑うやレニン像」  また、雨が降っていました。  わたしはそっと傘を修治さんに差しかけました。  修治さんは背が高いので、傘を差しかけるには、わたしは爪先立ちになって背伸びしなければなりません。  修治さんはわたしの手から傘を取って、二人の上にちょうど半分ずつになるよう広げてくれました。 「夏なのに、みぞれが降るんですか」 「東京は冬でもあまりみぞれが降らないね。僕の故郷では、冬の初めによくみぞれが降るんだよ」 「今のは修治さんが詠んだ句なんですか」  わた

        • 『太宰治は、二度死んだ』第5話

           七月に入って間もなくのことです。  どやどやと五六人の、学生さんらしい一団がお店に入っていらっしゃいました。  その中の一人を見た時、思わずわたしはあっと目を瞠りました。 〝津島修治〟と名乗ったあの方でした。  皆既に酔っているらしく、東北訛り丸出しで話していました。そして津島さんを、〝若様、若様〟と歯の浮くような調子で呼ぶのです。  その癖、若様である筈の津島さんは、気弱く微笑みながら聞き役に回っていて、この前わたしを相手にあれだけ雄弁だったのが嘘のように、大人しくしてい

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        「オトラジ小説コンテスト」で受賞作に選んでいただきました。

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          『太宰治は、二度死んだ』――おまけの話(改造社版『葛西善蔵全集』)

          現在連載中の『太宰治は、二度死んだ』の第3話で、主人公「あつみ」の愛読書として改造社版『葛西善蔵全集』が出てくるのですが、実はこれはわたしの蔵書の一つでもあります。 昭和五年(1930年)の主人公がどんな本を読んでいたのか、令和の世を生きる皆さんにわかっていただくために、写真を数葉、ご紹介したいと思います。 奥付には、「昭和三年八月一日印刷」、「八月三日発行」と記されています。初版本です。 奥付の上部にある「葛西」というハンコは、「著者検印」と言います。海賊版を防止し、

          『太宰治は、二度死んだ』――おまけの話(改造社版『葛西善蔵全集』)

          『太宰治は、二度死んだ』第4話

           大正元年十二月二日生まれのわたしは末っ子で、姉が三人、兄が二人おります。長姉が一番年上で、わたしとは十六も年が離れていました。  わたしと一番仲がいいのはすぐ上の兄の武雄で、年は三つ違いでした。  大正十四年四月、わたしが広島第一高女に入った年、武雄兄は父との思想上の対立から、広島第二中学校を中途退学し、自分から家を出てしまいました。  知り合いの理髪店に住み込みで弟子入りし、誰にも頼らず自分の力で生きてゆくと言うのです。  武雄兄が家を出て行く日、わたしはその身体に泣きな

          『太宰治は、二度死んだ』第4話

          『太宰治は、二度死んだ』第3話

           あの晩から二週間ほど過ぎ、わたしが津島修治さんのことを殆ど忘れかけた頃、意外な人がわたしを訪ねてきました。  最初はただ、お友達と二人連れで来た学生さんというだけで、そのうちの一人がまさか兄に頼まれてわたしの様子を見にきた旧知の方だとは、夢にも思っておりませんでした。  一人は珈琲を、もう一人はココアをご注文になったのですが、そのココアを飲んでいる方の学生さんが、ちらちらとわたしの方を見ていらっしゃるように感じはしたものの、見られるのは女給の仕事のようなものなので、別に

          『太宰治は、二度死んだ』第3話

          『太宰治は、二度死んだ』第2話

           わたしが内幸町のアパートの部屋へ戻ったのは、そろそろ日付が変わろうとする時刻でした。   アパートと申しましても、もちろん御茶ノ水にある文化アパートメントのような立派なものではありません。  都会というのは不思議なもので、何か新しいものができますと、それがすごいはやさで模倣され、量産されていくのですが、模倣されればされるほど、数が増えれば増えるほど、品格や価格というものは逆に下がってゆくもののようです。  カフェーにしましても、最初に〝プランタン〟が、次に〝ライオン〟ができ

          『太宰治は、二度死んだ』第2話

          『太宰治は、二度死んだ』第1話

          帝大生と女給が心中 【鎌倉發】相州腰越小動神社裏海岸に廿九日午前八時ころ若い男女が催眠剤をのみ倒れてゐるのを發見、七里ヶ浜恵風園療養所に収容手當の結果男は助かつたが女は死亡した。右は青森縣金木町旭山四一四津島文治弟で東京市外戸塚町諏訪二五〇常盤館方帝大文學部佛文科三年生津島修治(二二)、女は銀座ホリウッド・バー女給田邊あつみ(一九)で…… ――『東京日日新聞』(昭和五年十一月三十日付)  ※※※※※  ――あの日は、雨が降っていました。  カフェーは銀座

          『太宰治は、二度死んだ』第1話

          自作の俳句を使って生成AIで遊んでみたの記!

          この間、お友達と「句会」をして遊んだんです。 その時わたしが詠んだ句…… まあ、句のできばえはどうでもいいのですが、今日これを使って生成AIで遊んでみました。以下は、わたしとAIのコミュニケーションの記録です。 使用した生成AIは、MicrosoftのCopilotとChatGPT3.5です。 では、まずCopilotから。 わあい、褒められましたよ! さらに、返歌までくれるとは! しかも、「このような交流は、俳句の世界でのコミュニケーションの醍醐味の一つですね」だな

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          「オトラジ小説コンテスト」の賞品が届きました。

          先日、わたしの短編「白熊」が「オトラジ小説コンテスト」の受賞作の一つに選ばれました、という記事を書きましたが、本日、賞品である石田衣良先生のサイン本が届きました! こんなに速やかに対応して下さっただけでなく、わたしが海外在住ということで、とてもご丁寧な梱包のEMSで送ってくださり、本当に感激しました。 サイン本は、石田衣良先生のデビュー作(単行本第1巻の刊行は1998年)にして、現在まで四半世紀以上続いている、累計460万部の国民的ヒット作「池袋ウエストゲートパーク」シリ

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          54字の物語Vol.23【チョコレート】

          それでは皆さん、「新年快樂」!! ※ちなみにバレンタインデー当日の14日は、今年は旧暦の1月5日にあたり、台湾の暦では「開市」(市が開く日)となります。 #54字の宴 #チョコレート

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          匂いがきつくなく、味は濃厚でまろやか――おすすめ!台湾のピータン

          独特の風味から、中華料理の「珍味」とも称される「皮蛋」。 アヒルの卵を発酵させるため、独特の匂いが生まれます。この匂いが苦手で食べられないという人もいるようですが、わたしは「皮蛋」、大好きです。 一般的に、台湾の「皮蛋」は中国のそれに比べ、匂いがきつくなく、それでいてお味は濃厚且つまろやかなので、お薦めです! さて、この台湾「皮蛋」――もちろん、いろいろなブランドがあるのですが、今回包装にビビッと来て、買ってみたものがおいしかったので、ご紹介したいと思います。 それが

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          果てしない、五分の物語【ショートショート】

          「ねえ、どこに行ってたの?」  僕は彼女に訊いた。 「どこ?」彼女は訝しげに目を細める。「お手洗いって言わなかったっけ?」 「君は確かにトイレの方向へ消えた。今から五分前に」 「どこかおかしい? 時間が短すぎた? 長すぎた?」 「時間が短いのか長いのかって、相対的な問題だよね」 「どういうこと?」 「五分という時間は、トイレに行くふりをしてこっそり裏口から出て、タクシーで港の倉庫まで行き、監禁していた人質を殺害するには足りないかもしれない。でも、ちょうど裏口のところにいる人間

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          わたしのもう一つの昭和初期少女の物語——『フレイグラント・オーキッズ!~香蘭の乙女たち~』

          『NOVEL DAYS』に公開している拙作『五月の死神』が、1万PVを突破しました。 noteからも読みにきて下さった方々がいらっしゃって、本当に嬉しかったです。心から感謝申し上げます。 実は、私にはもう一つの昭和初期少女たちの物語——『フレイグラント・オーキッズ!~香蘭の乙女たち~』があります。 この作品も、やはり『NOVEL DAYS』に公開した(していた)作品です。 先ず第一部「魔神仔とフートボール」(9万字)、続けて第二部「夏浅し」(6万字)を公開したのですが

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          台湾の総統選挙制度と「民主&多元化」の意味

          昨日(13日)に行われた「台湾総統選挙」。日本でもニュース等で報道されたと思いますが、民進党の「賴清德・蕭美琴」コンビが558万票(得票率40.05%)を獲得して勝利しました。 この選挙は「直接選挙」と呼ばれるもので、台湾国民が直接、自分の好きな総統候補に投票するという制度です。 このように、日本と台湾では選挙制度が異なります。最近、台湾の総統選挙は世界的に注目されていることもあり、台湾国民が一体どういう流れで総統を選ぶのかを紹介するのも何かの参考になるかと思い、Q&A方

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