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LSD《リリーサイド・ディメンション》第55話「LSD――崩壊」
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――夢ならば、どれほど、よかったでしょう……。
……これは夢ではない。
現実だ。
オレが生きていた西暦二〇XX年は彼女がつくり出した幻影だった。
オレは彼女であり、彼女はオレだったのだ。
すべては「ボク」の願望……「ボク」が「オレ」になるための物語。
「理解したか? おまえの罪を」
リーダン・ロリー・ローズゲート……いや、茨門紅一から転生した存在は、オレにわか
LSD《リリーサイド・ディメンション》第54話「百合道千刃弥《ユリミチ・チハヤ》の存在理由《レゾンデートル》」
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――ボクたちは、あの場所で生まれた。
あの場所は収縮した宇宙の中心であり、いくつもの人工的に生物をつくる機械があった。
その機械の中でボクは女として生まれた。
ボクの名前は最初、遊里道千早だった。
生まれたときから、ボクの肌は白く、髪も、まつげも白かった。
白いことには理由がある。
ボクは白い百合の花の遺伝子をもとにつくられた花人類だからだ。
花人類は新人類
LSD《リリーサイド・ディメンション》第53話「融合する、ふたつの世界」
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――百合世界と薔薇世界、ふたつの世界が融合していく。
新しい世界へと、生まれ変わろうとしている。
エンプレシア城に集まっていたエンプレシアの国民である少女たちは薔薇世界にあるルイの所属するアジトへと転移していく。
男と女、ふたつの性別が存在する世界へと生まれ変わっていく。
もともと百合世界と薔薇世界は、ひとつの世界だったのだ。
リリアが、この世界をふたつに分けたのだ
LSD《リリーサイド・ディメンション》第52話「運命の瞬間」
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――ダンスパーティから一日が経過したあとのことだった。
ルイーズが、アリエルと少し話がしたいと言っていた。
アリエルの持つ五光の指輪のひとつである風玉の指輪を調べたいと言っていた。
なにやら過去の百合世界の歴史において五光の指輪は薔薇世界の侵略から守る役割があった、とのことで、その効果を調べたいとのことだった。
要は、なぜ百合世界が薔薇世界の侵略から守られたのか、なぜ二
LSD《リリーサイド・ディメンション》第51話「運命の相手」
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――神託者たちとのダンスが終わったあと、エルフたちとのダンスが始まった。
「チハヤ、踊ろう」
「ランディア」
地のエルフ――ランディア・アースグラウンド。
土のように茶色いドレスに身を包み、黒茶色の髪はツインテールにしてあった。
百合世界の中で特に異民族のような印象を受けた彼女であったが、こんな姿を見たら恋に落ちる男性がいるだろうな……今はオレしかいないけど。
「そん
LSD《リリーサイド・ディメンション》第50話「運命の舞踏会《ダンスパーティ》」
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――オレが決めなくてはいけない。オレの運命の相手を。
ダンスパーティの会場はキラキラしていた。
淡く光るシャンデリアが夜を明るくする。
オレンジ色の光に包まれて、もうオレはクラクラだった。
オレのいるべき場所じゃないように感じる。
オレの前世は不登校な高校生だったんだ。
そんな高校生だったオレが、前世とは無関係そうな場所で踊らなくてはいけない。
それがオレの
LSD《リリーサイド・ディメンション》第49話「稲穂の騎士――ルイーズ・イヤーズ・パレスアリー」
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――その少女は稲穂のような黄金をまとう騎士だった。
それはマリアン・グレース・エンプレシアとは別のベクトルの黄金……瑞々しい稲穂のような髪を持つ少女――ルイーズ・イヤーズ・パレスアリーだ。
彼女の記憶は、オレの中には存在しなかった、はずなのに、なぜか、この百合世界では神託者のひとりとして存在している。
オレが気づいていないだけで、本当は存在していたのかもしれないが、真相は不
LSD《リリーサイド・ディメンション》第48話「平和な日々」
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――百合暦二〇XX年七月十三日をもって、百合世界は薔薇世界の呪いから解放され、大人になっても死ななくなった。
その呪いから解放されたためか、エンプレシアでは騎士学院が解体され、なにもしなくなった――もう、呪いから解放されたからだろう。
呪いから解放された百合世界の唯一の国であるエンプレシアの女王――マリアン・グレース・エンプレシアにより、やがて拒絶の壁と断罪の壁を取り除き、全領
LSD《リリーサイド・ディメンション》第47話「最後の戦い」
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――本当の意味で、これが最後だ。
三体の帝を倒すことができたら、この百合世界は永遠に平和になる。
空を舞う三体の帝を標的にして、オレたちは、ひたすら攻撃をおこなう。
雷家臣三体、光家臣三体、天家臣三体がオレたちの攻撃を止める。
家臣の魔物を突破する。
それができなければ、三体の帝に攻撃を当てることはできない。
倒さなければ、いけないのに――。
――オレは思う
LSD《リリーサイド・ディメンション》第46話「空のエルフ――エルシー・エルヴンシーズ」
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――百合世界とは異なる世界から僕たちは彼女たちを見ていた。
ある理由から青い髪である僕は、なぜ彼女たちが帝と戦うのか、その理由を知っていた。
呪いである。
彼女たちは二十歳を超える前に呪いで死んでしまう――そう思っている。
それが世界の常識であると信じている。
大人になれない少女たちが帝を倒すこと、薔薇世界の侵略から解放されること……それが百合世界を救うための方法で
LSD《リリーサイド・ディメンション》第45話「地帝との戦い」
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――割れた断罪の壁から地帝が出現した。
なんてタイミングの悪いオレたち……まだランディアと知り合って間もないのに。
「これが地帝ですの!?」
「ああ、そうみたいだな。マリアン、あの心器を開錠しろ」
「聖母黄金花の鎚ですわね! わかりましたわ!!」
マリアンは空想の箱を構え――。
「――咲《さ》きなさい! 聖母《せいぼ》の黄金《おうごん》の花《はな》よ! 空想の箱、開錠《
LSD《リリーサイド・ディメンション》第44話「地のエルフ――ランディア・アースグラウンド」
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――アリーシャ・クラウン・ヘヴンズパイルとの戦いが終わったあと、オレたちは次に現れるであろう地帝との戦いに備えて準備を始めていた。
マリアンには新たな心器である聖母黄金花の鎚を与えた。
聖母黄金花の鎚は、地属性であるマリアン・グレース・エンプレシアの能力を十二分に発揮できる形として鎚が採用されたのであった。
その威力は大地を割ることになるであろうほどのものだ。
地帝《ち
LSD《リリーサイド・ディメンション》第43話「百合の女王との戦い」
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――アリーシャ・クラウン・ヘヴンズパイルの放つ女王百合斬により、大ダメージをくらったオレは瞬時に自身に備わった超回復の能力を使い一命をとりとめた。
アリーシャはオレを殺す気だ。
本気でオレを敵だと認識している。
オレは彼女のことを敵だとは思っていないが、仕方ない。
こちらも本気を出すしかない。
「――咲け! 白百合の花よ! 空想の箱、開錠! 来い! 心器――白百合の剣
LSD《リリーサイド・ディメンション》第42話「百合の女王――アリーシャ・クラウン・ヘヴンズパイル」
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――名誉生徒会長、フィリス・セッジリーが人工的に作り出したハイブリッドクローンであるアリーシャ・クラウン・ヘヴンズパイルとオレ――ユリミチ・チハヤが決闘することになった。
王の座をかけてエーテル・アリーナで勝負する――。
「――って、わたくしが女王なんですけどっ! このっ、マリアン・グレース・エンプレシアがっ!! それを忘れてしまったのフィリス!?」
「これは、これは、マリアン
LSD《リリーサイド・ディメンション》第41話「複製計画《クローン・プロジェクト》」
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――のちにオレたちが知った話。
オレたちが炎帝と氷帝を戦っているとき、名誉生徒会長――フィリス・セッジリーは、ある計画を実行に移そうとしていた。
フィリス・セッジリーは、よく自分が使っている研究用のラボで、ユリミチ・チハヤに代わる救世主を生み出そうと実験を繰り返していた。
名誉生徒会長という称号はフィリス・セッジリーがエンプレシア騎士学院を卒業したことによって付けられた役職