記事一覧

日本の大学の「ダブルスタンダード」を非難する東大パレスチナ連帯キャンプと、アメリカの学生運動に希望を見る人々

 東京大学駒場キャンパスでもパレスチナに連帯するキャンプが張られるようになった。運営委員の学生は大学が虐殺とアパルトヘイトを行うイスラエルを非難すべきだと主張し…

宮田律
7時間前
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アルジャズィーラを禁止するイスラエルと、エドワード・サイードが語る「イスラム報道」

私は君の意見に賛成しない。 しかし、君がそれを言う権利は命を賭けても守ろう。  これはフランス啓蒙主義の思想家ヴォルテール(1694~1778年)の言葉である。…

宮田律
1日前
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フランス「革命の5月」 ―ガザでの即時停戦を求める運動はフランスの高校生にまで波及

 イスラエルのネタニヤフ政権がラファ侵攻を行う構えでいる中で、フランスでは高校生にもガザでの即時停戦を訴える運動が広がっている。5月5日、高等学校連合のマネス・…

宮田律
2日前
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中村哲医師の精神は生き続ける ―アフガニスタン・ナンガルハル州で新たな用水路の完成

 5月4日、アフガニスタンのナンガルハル州で中村哲医師が現地代表を務めていたペシャワール会の支援で1年半にわたる工事が行われていた新しい用水路が完成して、5月4…

宮田律
3日前
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アメリカの大学生に謝意を表明するガザの子どもたち ―日本では子どもの幸福を図る「子供の日」だが・・・

 「セーブ・ザ・チルドレン」によれば、昨年10月7日から今年4月4日までにガザでは13、800人の子どもたちが犠牲になった。まさに現代におけるジェノサイドである…

宮田律
4日前
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総統閣下と連携しようとしたシオニストたち -ナショナリズムを共通項に似通うナチズムとシオニズム

 パレスチナのアラブ人たちの完全な排除や殺害を考えるイスラエルの極右の主張は、ユダヤ人の絶滅を考えたナチズムのイデオロギーと似通っている。本質的にはナチズムと、…

宮田律
5日前
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イスラエルの歴史学者ハラリ氏 ―イスラエルは復讐のためにだけ生き、自滅したサムソンに酷似してきた

 イスラエルの『ハアレツ』紙(24年4月18日付)に歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏の「From Gaza to Iran, the Netanyahu Government Is Endangering Israel's Su…

宮田律
6日前
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親イスラエル勢力に襲撃されたUCLAの学生たちと、政府の中東政策を批判するアメリカの学問的良心

 アメリカのブラウン大学では、学生たちのパレスチナ連帯キャンプを受けて、学長がガザ攻撃で利益を上げる企業からの投資撤収を検討すると学生たちに約束した。学生たちの…

宮田律
7日前
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アメリカは良心を取り戻そうとしている ―アメリカ全土を席巻するガザ反戦のうねり

 ガザと連帯するアメリカの学生運動の高揚は、ベトナム戦争を終わらせるのにアメリカの学生たちが果たした役割を思い起こさせるという声が上がるほどになっている。コロン…

宮田律
8日前
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パレスチナの人々はイギリスの歴史的・道義的責任を追及する ―浮桟橋での物資搬入よりも停戦と物資輸送の正常化を求めるPFL…

 ガザ攻撃への反戦運動の盛り上がりに応える目的もあって、バイデン政権はガザに浮桟橋をつくり、そこから物資を搬入し、ガザ住民に人道支援を行おうとしている。残念なが…

宮田律
9日前
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アメリカのキャンパスでのガザ反戦運動を支持するバーニー・サンダース議員

 イスラエルのネタニヤフ首相は4月24日、ビデオ・メッセージを出し、ガザの即時停戦やイスラエル関連企業からの投資撤収を求めるアメリカの学生たちを「反ユダヤ主義の…

宮田律
10日前
8

ナオミ・クライン「シオニズムは偽りの偶像である」

 カナダの著名なジャーナリストで、作家のナオミ・クラインはユダヤ人の家庭的背景をもつが、『ガーディアン』に「我々はシオニズムからの脱出を必要とする(We need an e…

宮田律
11日前
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イスラエルへの抗議はフランスの大学にも飛び火 ―学生の運動がアメリカ・イスラエルの「特殊関係」を変えるか?

 ガザ停戦やイスラエル企業からの投資撤収を求めるアメリカの学生たちの運動は、フランスにも飛び火し、マクロン大統領などを輩出してきたフランスの名門パリ政治学院でも…

宮田律
12日前
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「いちご白書をもう一度」 ―コロンビア大学の学生たちは「パレスチナ問題の公正」を訴える

1969年7月にジョン・レノンはプラスティック・オノ・バンドの名前でベトナム反戦歌の「平和を我等に(Give Peace a Chance)」をリリースし世界的にヒットさせ、この…

宮田律
13日前
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欧米とは異なる姿勢でイスラム世界の評価を受けた明治期の日本

 明治期の日本は植民地主義の欧米とは異なる、独立した姿を見せ、ヨーロッパ支配の下に置かれていたアジア、中東イスラム世界の人々に勇気を与えていた。  イランのメフ…

宮田律
2週間前
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アメリカの学生たちはイスラエルのジェノサイドへの抗議に立ち上がる

アメリカの大学ではイスラエルのガザ攻撃に抗議するデモが広がりを見せつつある。コロンビア大学では、4月18日、イスラエルのアパルトヘイト政策やジェノサイド、パレス…

宮田律
2週間前
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日本の大学の「ダブルスタンダード」を非難する東大パレスチナ連帯キャンプと、アメリカの学生運動に希望を見る人々

日本の大学の「ダブルスタンダード」を非難する東大パレスチナ連帯キャンプと、アメリカの学生運動に希望を見る人々

 東京大学駒場キャンパスでもパレスチナに連帯するキャンプが張られるようになった。運営委員の学生は大学が虐殺とアパルトヘイトを行うイスラエルを非難すべきだと主張し、ロシアのウクライナ侵攻を非難した大学がイスラエルに声を上げないのはダブルスタンダード(二重基準)だと述べた。(東京新聞、毎日新聞)

 アメリカの大学から始まったテントを張ってパレスチナとの連帯を訴える運動は、イスラエルの攻撃によってテン

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アルジャズィーラを禁止するイスラエルと、エドワード・サイードが語る「イスラム報道」

アルジャズィーラを禁止するイスラエルと、エドワード・サイードが語る「イスラム報道」

私は君の意見に賛成しない。
しかし、君がそれを言う権利は命を賭けても守ろう。

 これはフランス啓蒙主義の思想家ヴォルテール(1694~1778年)の言葉である。啓蒙思想には人間の理性の力でもって世界の秩序を肯定的に変えるという確信があった。

 イスラエルは、このヴォルテールの言葉に反するように、その国内におけるアルジャズィーラの活動を禁止した。「世界報道の自由デー」の2日後のことだった。イスラ

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フランス「革命の5月」 ―ガザでの即時停戦を求める運動はフランスの高校生にまで波及

フランス「革命の5月」 ―ガザでの即時停戦を求める運動はフランスの高校生にまで波及

 イスラエルのネタニヤフ政権がラファ侵攻を行う構えでいる中で、フランスでは高校生にもガザでの即時停戦を訴える運動が広がっている。5月5日、高等学校連合のマネス・ナデル副会長はBFMTV(フランスのテレビ局)で、「明日からかなりの数の高校が閉鎖される」、「およそ数十校」になるだろうと語った。その動画は

https://twitter.com/BFMTV/status/178714711339194

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中村哲医師の精神は生き続ける ―アフガニスタン・ナンガルハル州で新たな用水路の完成

中村哲医師の精神は生き続ける ―アフガニスタン・ナンガルハル州で新たな用水路の完成

 5月4日、アフガニスタンのナンガルハル州で中村哲医師が現地代表を務めていたペシャワール会の支援で1年半にわたる工事が行われていた新しい用水路が完成して、5月4日、完成記念の式典が行われた。タリバン暫定政権のマンスール水・エネルー相代行は式典で、ペシャワール会がアフガニスタンの人々の困難を忘れることなく、支援してくれることに感謝の言葉を述べた。用水路が完成した地域はかつてISが活発に活動したところ

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アメリカの大学生に謝意を表明するガザの子どもたち ―日本では子どもの幸福を図る「子供の日」だが・・・

アメリカの大学生に謝意を表明するガザの子どもたち ―日本では子どもの幸福を図る「子供の日」だが・・・

 「セーブ・ザ・チルドレン」によれば、昨年10月7日から今年4月4日までにガザでは13、800人の子どもたちが犠牲になった。まさに現代におけるジェノサイドである。日本では、今日子どもの幸福を図る「子どもの日」だったが、ガザでは毎日のように、子どもたちが殺害されている。

 5月1日、ガザ中部のデイル・アル=バラのアル・アクサー殉教者病院の前で医師、看護師など医療スタッフや子どもたちが集まり、「子ど

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総統閣下と連携しようとしたシオニストたち -ナショナリズムを共通項に似通うナチズムとシオニズム

総統閣下と連携しようとしたシオニストたち -ナショナリズムを共通項に似通うナチズムとシオニズム

 パレスチナのアラブ人たちの完全な排除や殺害を考えるイスラエルの極右の主張は、ユダヤ人の絶滅を考えたナチズムのイデオロギーと似通っている。本質的にはナチズムと、イスラエル建国のイデオロギーであるシオニズムは、ナショナリズムを共通項にするために、同じ発想に立つのだから当然とも言える。

 手塚治虫の「アドルフに告ぐ」はヒトラーにユダヤ人の血が流れているという機密文書をめぐるストーリー展開だった。この

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イスラエルの歴史学者ハラリ氏 ―イスラエルは復讐のためにだけ生き、自滅したサムソンに酷似してきた

イスラエルの歴史学者ハラリ氏 ―イスラエルは復讐のためにだけ生き、自滅したサムソンに酷似してきた

 イスラエルの『ハアレツ』紙(24年4月18日付)に歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏の「From Gaza to Iran, the Netanyahu Government Is Endangering Israel's Survival(ガザからイランまで:ネタニヤフ政権はイスラエルの存続を危うくしている)」という文章が掲載された。(『クーリエ・ジャポン』に「孤立したイスラエルは完全敗北に近

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親イスラエル勢力に襲撃されたUCLAの学生たちと、政府の中東政策を批判するアメリカの学問的良心

親イスラエル勢力に襲撃されたUCLAの学生たちと、政府の中東政策を批判するアメリカの学問的良心

 アメリカのブラウン大学では、学生たちのパレスチナ連帯キャンプを受けて、学長がガザ攻撃で利益を上げる企業からの投資撤収を検討すると学生たちに約束した。学生たちのガザ停戦を求める運動は一定の成果を上げ始めている。

 カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)では、4月30日、パレスチナ連帯のキャンプを行う学生たちに親イスラエル勢力が花火を撃ち込んだり、強制的に排除しようとしたりするなど暴力的襲

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アメリカは良心を取り戻そうとしている ―アメリカ全土を席巻するガザ反戦のうねり

アメリカは良心を取り戻そうとしている ―アメリカ全土を席巻するガザ反戦のうねり

 ガザと連帯するアメリカの学生運動の高揚は、ベトナム戦争を終わらせるのにアメリカの学生たちが果たした役割を思い起こさせるという声が上がるほどになっている。コロンビア大学当局は安全を理由に学生を処分するようになったが、学生は圧力に従わないと抗議活動を継続する徹底抗戦の構えだ。アメリカ全土に広がるパレスチナとの連帯のキャンプを設営する運動は、第二次世界大戦後最大のジェノサイドをガザで行うイスラエルをバ

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パレスチナの人々はイギリスの歴史的・道義的責任を追及する ―浮桟橋での物資搬入よりも停戦と物資輸送の正常化を求めるPFLP

パレスチナの人々はイギリスの歴史的・道義的責任を追及する ―浮桟橋での物資搬入よりも停戦と物資輸送の正常化を求めるPFLP

 ガザ攻撃への反戦運動の盛り上がりに応える目的もあって、バイデン政権はガザに浮桟橋をつくり、そこから物資を搬入し、ガザ住民に人道支援を行おうとしている。残念ながらこのバイデン政権の取り組みは本末転倒していると言わざるを得ない。物資搬入以前にこれ以上の犠牲者を出さないために、イスラエルに停戦圧力をかけなければならないだろう。この浮桟橋を通じて、イギリス軍もガザに上陸する可能性もあるが、これに対してP

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アメリカのキャンパスでのガザ反戦運動を支持するバーニー・サンダース議員

アメリカのキャンパスでのガザ反戦運動を支持するバーニー・サンダース議員

 イスラエルのネタニヤフ首相は4月24日、ビデオ・メッセージを出し、ガザの即時停戦やイスラエル関連企業からの投資撤収を求めるアメリカの学生たちを「反ユダヤ主義の暴徒」と決めつけ、ユダヤ人の学生や教職員を攻撃していると非難した。また「これは1930年代にドイツの大学で起こったことを思い出させ、不謹慎なものだ。止めさせなければならない。」と述べた。

 これに対してアメリカのユダヤ系のバーニー・サンダ

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ナオミ・クライン「シオニズムは偽りの偶像である」

ナオミ・クライン「シオニズムは偽りの偶像である」

 カナダの著名なジャーナリストで、作家のナオミ・クラインはユダヤ人の家庭的背景をもつが、『ガーディアン』に「我々はシオニズムからの脱出を必要とする(We need an exodus from Zionism)」というオピニオン記事を書いた(4月24日)。

 その中で「シオニズムは虚偽の偶像であり、正義と奴隷からの解放(過ぎ越し)という我々の最も深遠な旧約聖書の物語を植民地主義的な土地の窃盗、民

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イスラエルへの抗議はフランスの大学にも飛び火 ―学生の運動がアメリカ・イスラエルの「特殊関係」を変えるか?

イスラエルへの抗議はフランスの大学にも飛び火 ―学生の運動がアメリカ・イスラエルの「特殊関係」を変えるか?

 ガザ停戦やイスラエル企業からの投資撤収を求めるアメリカの学生たちの運動は、フランスにも飛び火し、マクロン大統領などを輩出してきたフランスの名門パリ政治学院でもガザでの戦闘に反対するが学生たちが建物の一部を占拠した。

 占領地におけるイスラエルによる国際法違反の行為すら容認するアメリカ政府の姿勢がパレスチナ和平の停滞をもたらしてきたことはまぎれもない。アメリカはロシアのウクライナ侵攻を非難するが

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「いちご白書をもう一度」 ―コロンビア大学の学生たちは「パレスチナ問題の公正」を訴える

「いちご白書をもう一度」 ―コロンビア大学の学生たちは「パレスチナ問題の公正」を訴える

1969年7月にジョン・レノンはプラスティック・オノ・バンドの名前でベトナム反戦歌の「平和を我等に(Give Peace a Chance)」をリリースし世界的にヒットさせ、この歌の中で繰り返される「All we are saying is give peace a chance/言いたいことは平和に機会をってことさ」というフレーズとともに、平和のメッセージを世界に浸透させることに成功した。「平和

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欧米とは異なる姿勢でイスラム世界の評価を受けた明治期の日本

欧米とは異なる姿勢でイスラム世界の評価を受けた明治期の日本

 明治期の日本は植民地主義の欧米とは異なる、独立した姿を見せ、ヨーロッパ支配の下に置かれていたアジア、中東イスラム世界の人々に勇気を与えていた。

 イランのメフディ・ゴリー・ヘダーヤト(1863~1955年)はパフラヴィ―朝時代の1927年から33年まで首相であった人物で、政治回想録やイランの音楽、教育などに関する著作を残している。その紀行文の『メッカへの旅』の中で、1903年末から04年初頭に

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アメリカの学生たちはイスラエルのジェノサイドへの抗議に立ち上がる

アメリカの学生たちはイスラエルのジェノサイドへの抗議に立ち上がる

アメリカの大学ではイスラエルのガザ攻撃に抗議するデモが広がりを見せつつある。コロンビア大学では、4月18日、イスラエルのアパルトヘイト政策やジェノサイド、パレスチナ占領から利益を得る投資から撤退するよう大学側に求めるデモが行われると、警察が投入された。100人が逮捕される事態になると、抗議デモはいっそう勢いづき、コロンビア大学は対面授業を断念し、オンライン授業に切り替えざるを得なくなった。デモは、

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