芸術新潮 2024年3月号 「わたしたちには安部公房が必要だ」
雑人、雑兵の僕には雑誌ぐらいがちょうどいい。
集中力を欠いていても、完食しなくていいのがいい。
つまみ食いならまかせておけ。
安部公房は、高校生の頃に出会って以来、ずっと精神的な父とも慕う作家だ。
もちろん不肖の息子であり、御本尊はいい迷惑だとは思うが。
安部公房の作品は、そのほとんどが今でもくっきりとイメージを刻んでいる。
『砂の女』、『燃えつきた地図』、『他人の顔』、『壁』、『棒になった男』等々。
もちろん、ファンだから、安部公房スタジオの演劇や、勅使河原宏の映画などを何