見出し画像

ホロコースト否定論にどのように対抗するか。映画「否定と肯定」

映画「否定と肯定」(2016年 英米)
を紹介します。
事実を元にした映画です。


実際にあったユダヤ人歴史学者とホロコースト否定論者の裁判を描いた映画です。
根拠のない嘘でも、何度も声高に主張すれば世論に認められてしまいかねないという怖さを感じさせる映画です。

Story

1994年、ジョージア州アトランタのエモリー大学のユダヤ人歴史学者デボラ・リップシュタットは、ホロコースト否定論を強く批判していました。
その講演会にイギリスのホロコースト否定論者デイヴィッド・アーヴィングが乗り込み、ホロコースト否定論者とは討論しないというリップシュタットを強く非難します。

そして1996年、アーヴィングはイギリスの法廷にリップシュタットを名誉毀損で訴えます。
リップシュタトが彼のことを著書で「ヒトラーの信奉者で証拠を歪め歴史を偽造している」と書いていたからです。
これまで否定論者を無視してきたリップシュタットでしたが彼が嘘つきであることを暴こうと訴訟を受けて立つことに決めます。

しかし、イギリスでは被告が原告の過ちを証明しなくてはなりません。
これはかなりハードルの高いことでした。
そこで彼女の主張が正しいことを証明しようとします。
リップシュタットはホロコースト生存者が証人として法廷に立つことを望みましたが、弁護人はアーヴィングが直接生存者を尋問して侮辱することを懸念し反対します。

弁護側はアーヴィングの日記や著書を徹底的に調べ、アウシュビッツ収容所跡地にも出かけて実地調査しアーヴィングの主張の正確さ、信頼度を崩そうとします。
そして2000年1月王立裁判所で裁判が開始されるのでした・・・


ホロコースト否定論者アーヴィングは裁判で被告側の弁護人から尋問され、窮地に陥ると、思いつきで書いただけとか言うのです。
ヒトラーの専門家でホロコーストの専門家ではないとかドイツ語がうまくないとか軽いジョーダンだったとか……まったく悪びれず居直るだけです。

そして判決後も、判決の結果などどこ吹く風でホロコースト否定をやめようとしません。


裁判でもわずかな事実のくいちがいを取り上げてホロコースト否定論の存在を印象づけます。否定論者がいるということを認めさせただけで成功なのです。
 

このような手法はホロコーストだけでなく日本の過去の戦争の慰安婦問題や強制連行、また関東大 震災の時の朝鮮人殺害にも歴史修正主義者によって使われています。
疑念を抱かすだけで過去の事実をなかったことにしてしまう、このような動きには対抗していかなくてはなりません。



執筆者、ゆこりん


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?