鬼滅の刃と同じ時期に起きた福田村事件。関東大震災から100年。
一昨日の9/1、関東大震災から100年が経ちました。
関東大震災では「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「火をつけた」などの根拠ないデマが警察や政府から流され、それを信じた自警団や軍隊、警察の一部により朝鮮人が殺害されました。
朝鮮人と間違われて秋田や沖縄などの標準語を話さない地方出身者、上手く話せない聴覚障害の方たちも殺されました。
日本でルワンダやカンボジアの大虐殺のようなことが起きたのです。
一昨日、この映画を観てきました。
映画館は満席で、予約していなければ危うく観れないところでした=3
福田村事件とは、関東大震災の発生から5日後に、千葉県にある福田村というところで実際に起きた虐殺事件です。
大正時代なので、鬼滅の刃と同じ時期です。
利根川沿いに、香川県の讃岐から薬の行商に来ていた人たちが、地元の自警団によって殺害されました。
映画の中で、「15円50銭」という言葉がでてきます。
日本人と朝鮮人を識別するために使われた言葉で、発音できるかどうかが生死を分けました。語頭の濁音を発音しない朝鮮語の特徴を前提に、朝鮮人なのか問うものとして生まれましたが、現実には「標準語」を話せる「日本人」なのかを問うものとして機能しました。
殺された行商団が、私と同じ四国の人だったので、見ててつらい気持ちになりました。
(行商団が静子に売った薬は、道後温泉に浮かべた道後湯の花でした。道後湯の花は地元ではとても有名です。)
しかし、この映画の最も伝えたいこと、それは「朝鮮人なら殺してええんか」と行商団の新助が言ったことだと思います。
沼部新助の薬の行商団は被差別部落出身でした。とても差別に苦しんでいます。
「エタは死んでもエタ」「死ぬまで幸せにはなれん」と言いながら、それでも大正デモクラシーや人間皆平等をうったえた水平社宣言に希望を見出します。
新助はあらゆる差別をゆるしません。
ちなみに私の通っていた公立の小学校には、人権集会という行事がありました。
それは元々部落の人たちが、自分たちのことを知ってもらうことで始めた授業だったのですが、いじめ問題や障がい者問題、環境問題などあらゆることを扱っていました。
それは、部落の人たちはあらゆる人々への暴力や人権侵害をなくさなければ、差別はなくならないと考えたからです。
誰かが差別されている社会では、いつ自分たちが差別される側に立たされるか分かりません。
関東大震災後も、殺される対象は朝鮮人から、地方の人々、共産主義思想の人、障がい者まで多岐にわたりました。
自分たちだけが差別されないればよいと部落の人たちは考えなかったのです。
ルワンダ、カンボジア、ユーゴで聞いたような虐殺の話が日本でも起きたのです。
頭では知っていてもいざ映画でその流れを観ると衝撃的でした。
そしてそれは日本で今後も起こりうるなあと思いました。
現代でよく見る光景や態度、こういうやつおるわー、って場面がたくさんでありました。
だから歴史は繰り返しかねない、繰り返さないようにしなきゃと思いました。
それを明確に自覚させてくれる映画の力ってすごいなあと思いました。
戦争から差別が生まれる。
反戦や反差別のリアリティーのある意志を感じた映画でした。
また、映画のパンフレットを買ったのですが、なんと映画の脚本が掲載されていました!
これを使って劇ができたり、劇をしてyoutubeで流したりとかつて日本で起きたことを広めることができるようになっています。
不都合な歴史はどんどん消されていきます。
福田村事件が2度と起きぬよう、教訓になるよう伝えていくことは大切です。
このnoteで書ききれてない映画の観点、バックグラウンドや映画中に出てきた史実がたくさんあります。
ぜひ皆さん観に行ってほしいです!!🙏
執筆者、ゆこりん、ハイサイ・オ・ジサン
参考資料
映画『福田村事件』公式パンフレット
2023/9/1第一刷
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