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特別支援教育コーディネーターが「つながって良かった」と思う社会資源一覧

こんにちは。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。家族全員が新型コロナウイルスに罹患しまして、私も体調不良な日々が続きました。少しずつnoteも更新していけるかなと思います。
さて、今日は特別支援教育コーディネーターとして、「つながって良かった」と思う社会資源についてまとめてみました。

つながることって難しい~ニーズはどこにあるの?~

つなげる理由~学校でできることは多くない~

子育てをしていく上で、困難を感じることがあります。
学齢期に入ると、

  • 本人の発達の段階(思春期や反抗期)

  • 集団適応の困難

  • 障害の発覚など

子ども個人の発達課題による問題が増えます。
また、様々な理由で一人親となっている家庭や経済の二極化等によって貧困となっている家庭も増えてきており、個人の力ではどうしようもない理由で子育てに困難が生じていることも多くあります。
そのような際に、”学校”ができることはとても少ないです。もちろん学習上の配慮等は行います。しかし、

  • 学校でできても家ではできない

  • そもそも本人が学校へ行きたがらない

ということがあると、なかなか学校のみで支援を行うことは難しいのが実際のところです。また、学校には年限があります。小学校では6年間、中学校では3年間で卒業してしまいます。切れ目ない支援を一生涯続けるためには、”社会資源とつながる”ということは欠かせない視点になります。
ですので、特別支援教育コーディネーターは多くの機関に”つなげる”という業務を行います。

どことつながっていくか~大切なのは”ニーズ”~

”社会資源”という言葉は社会福祉の言葉です。

社会資源とは、利用者がニーズを充足したり、問題解決するために活用される各種の制度・施設・機関・設備・資金・物質・法律・情報・集団・個人の有する知識や技術等を総称していう。

『精神保健福祉用語辞典』中央法規より

このように、保護者や子どもにニーズがあった場合、それを充足させたり問題解決させたりするための資源のことを総称します。
大切なのは”ニーズは何なのか”です。そこをうまく整理することで、社会資源と結びつけることができます。

本来は社会福祉の領域

社会福祉士がこれらの社会資源の活用ルートを開拓することを”資源開発”と呼びます。現在のところ、特別支援教育コーディネーターはその役割から、資源開発をしていく必要があります。今後、少しずつスクールソーシャルワーカーが配置型に転換していくにつれて、この業務はスクールソーシャルワーカーに引き継いでいくべきでしょう。

今回は、私がつないできた社会資源について、個人情報に触れないよう、フェイクを交えたエピソード付きで紹介します。

行政的つながり

児童相談所

児童相談所は、児童福祉法に基づいて設置される行政機関です。
 原則18歳未満の子供に関する相談や通告について、子供本人・家族・学校の先生・地域の方々など、どなたからも受け付けています。
 児童相談所は、すべての子供が心身ともに健やかに育ち、その持てる力を最大限に発揮できるように家族等を援助し、ともに考え、問題を解決していく専門の相談機関です。

東京都福祉保健局 東京都児童相談センター・児童相談所より

学校と連携する組織としてよく挙げられるのは児童相談所ではないでしょうか?児童相談所、略称は児相(じそう)なんて言われます。
イメージとしては、虐待に関する通報や保護者と子どもの引き離しなどのものが強いかもしれません。しかし、本来業務は保護者の支援や子どもの健全育成のための相談機能です。地域によっては療育手帳(愛護手帳)の発行を行う機関として機能している場合もあります。
学校とその他の関係機関がケース会議を開くときに、中心として動いてくれることが多く、助かっています。

家庭児童相談室

家庭児童相談室は、家庭における適正な児童養育、その他家庭児童福祉の向上を図るため、福祉事務所の家庭児童福祉に関する相談指導業務を充実強化するために設けるものであること。

本来、都道府県等にある児童相談所がすべての相談業務をつかさどるということが改正前の児童福祉法の要旨でした。しかし、児童相談所の業務が膨れ上がり、ニーズに応えきれなくなってきたことで、平成17年から運用されているのが市区町村の家庭児童相談室(略称は家児相:かじそう)です。
ここはより相談しやすい”身近な相談所”というイメージです。保護者から相談を受けたケースの中で、学校だけでは解決できないことなどは、保護者の了承を得たうえで家庭児童相談室につなげることがあります。
保護者の方へ、”児童相談所とは異なる機関である”ということを丁寧に伝えると、「それなら相談してみようかな。」と言っていただけるケースが多いです。市区町村という小さな単位であることや、より身近な存在であるため親身に対応してもらえることなどの評判を保護者の方からよく聞きます。

福祉的つながり

スクールソーシャルワーカー

学校組織内にいるソーシャルワーカーです。

詳しくはこちらにまとめてあります!

児童家庭支援センター

児童家庭支援センターは、児童福祉法第44条第2項に基づいて設置され、子どもや家庭相談について、24時間体制で相談を受け、児童福祉の関係機関と一緒に、問題の解決をお手伝いする機関です。

北海道内の児童家庭支援センター一覧より

(児相や家児相もそうですが)児童の障害の有無にかかわらず、子どものことや家庭のことについて相談のできる機関です。24時間体制でお話を聞いてもらえる地域が多いです。
精神福祉士や社会福祉士などの専門職が対応してくれるため、非常に信頼できます。※最近、私は困ったら「児童家庭支援センター」か「特定相談支援事業」に電話をかけることが多いです。
下に紹介する「ひとりおや支援センター」の存在を教えてくれたのがこちらの児童家庭支援センターです。「ショートステイ」などの直接的な支援機能をもつ(場合もある)一方で、必要な支援機関につなげてくれる、頼れる機関です。

ひとりおや支援センター(NPO法人等)

こちらは「母子寡婦支援センター」などの名称で活動されているところもあるようです。母子家庭・父子家庭ならではの大変さをサポートしてくれる機関です。例えば

ひとり親で、どうしても仕事に出ている間子どもを見ることができない。

という相談を受けた場合、学校ではどうすることもできません。
以前相談させていただいたケースにおいて、ひとりおや支援センターでは、そんな際に子どもの見守りや、料理提供の支援をしてくれるといった具体的なサポートを提案してくれました。
NPO法人として存在することが多いため、得意とする分野が法人ごとに異なるようです。ホームページ等で確認してみてください。

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスとは、よく連携させていただいています。
児童が放課後等に利用する福祉サービスの一つです。それぞれの施設の得意分野に応じて児童の心身の発達を促進させる活動を行っています。
すでに通っている児童に関しては、長期休み等を使って実際に活動している様子を見に行きます
学校とは異なる場所での子どもの活動する姿は、やはり学校とは異なっていて指導の計画を立てる上での参考となります。
放課後等デイサービスは民間の福祉サービスであることが多いです。本当に今は多種多様で、

  • 運動系

  • 学習系

  • 生活経験系

  • E-Sports系

  • リハビリテーション系(PT・OT・ST常駐型等)

  • 調理系

などなど、本当に得意分野が多岐にわたっているため、選ぶことが難しいという保護者もいます。その際には見学することをおススメしています。
”保育所等訪問支援事業”という資格のあるデイサービス事業所に関しては、定期的に学校に来校していただき、福祉の観点からの支援方法について助言をもらうことがあります。

相談支援事業(相談室・自閉症自立センター等)

特定非営利法人 発達支援飛翔のもり リズム園 より

例えば、上記の”児童デイサービス、どれがうちの子の条件に合っているだろう?”ということを保護者だけで考えるのは本当に難しいです。数が多すぎます。学校にもあまり情報はありません。(そもそも民間サービスである放課後等デイサービスを学校が斡旋することはできません。)
そこで、特定相談支援事業という機関とつなげます。専門家が、直接保護者と話をしていく中で、子どもや家族のニーズをうまく引き出してデイサービスとつなげてくれることが多いです。
また、”授業中の支援をどうすれば良いだろうか。”ということや”今後の就労についてどのように計画していけば良いだろうか。”といった、児童に関する様々な悩みに、専門家としてのアドバイスをもらえたり、関連機関を紹介してくれることもたくさんあります。
大変頼りになる機関の一つです。

発達障害者支援センター

それぞれの都道府県にある発達障害者支援センターともつながることがあります。
学校や保護者がなかなか支援の手立てが立てづらい・手立ての実施がしにくいお子さんに対して、どのような支援を行うことができるのか、福祉の観点からアドバイスをもらうことがあります。

大切なのは根気強く「つながりつづける」ということ

一覧活用における注意事項

以上、今まで私がつながったことのある機関についての説明でした。
私の主観がかなり入っています・・・申し訳ありません。各自治体によって予算配分などが異なることから、活動内容が異なることもあります。ご了承ください。)
これらの機関は皆さんの自治体にもあるはずです。
「○○市 相談支援事業」などの検索ワードにすることで、たどり着けると思います。

特別支援教育コーディネーターとして、この記事を読まれる方は、

  • 保護者の方の同意は得られたか

  • 学校管理職の了承は得られたか

  • 本人のニーズはどこにあるのか

ということを常に念頭に置きながら、これらの一覧を活用していただければ幸いです。

保護者の方へ
上記の一覧は、全て保護者の方が直接つながることも可能な機関となっています。特に「子ども家庭支援センター」は保護者の方にとってはかなり救われる機関かと思います。
ただし、学校などの機関を通して相談することによって学校側の状況が適正に福祉側に伝わるなどのメリットもあります。上手く利用いただけると幸いです。

「一回の説明で分かってもらえる」ことは無かった!粘り強くつながり続けて!

これらの機関一覧は、私が13年間かけてつながってきた機関の一覧です。
(本当は”子ども食堂”や”就労支援事業”なども書きたかったのですが、少し趣旨と外れるので今回は割愛しました。)
一回の説明でつながりきれた経験は一度もありません。
粘り強く、何度も状況を説明しながら、情報を行き来させてつながりました。どの機関も、一度しっかりとつながれば安心できる専門家が必ず在籍しているはずです。
一番つらいのは、学校や保護者が抱え込むことです。ぜひ、どこかに”つながる”という選択肢をもっていただけると嬉しいです。
では、またね~!


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