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砂漠、砂、土 「壁」安部公房 ★3

シュールでアイロニカルでユーモアのある短編集。
なんだか存在が揺らぐ。

1951年「安部公房

第一部 「S・カルマ氏の犯罪」1951年
第二部 「バベルの塔の狸」1951年
第三部 「赤い繭」「洪水」「魔法のチョーク」「事業」1950年
(序文、石川淳 解説、佐々木基一)

だいぶ以前に読んだことあったんだけど、また読み直すと全然記憶がないことに気づく。初めて読むような感じ。うっすらチョークの話のイメージがあったくらい。たぶん当時、なんとなく流し気味で読んだんだな。よく分からない話だし、面白みを感じなかったんだろう。
改めて今回読んでみると、やっぱりよく分からない笑 おおかた話の筋は分かるんだけど、深いところの理解まで至れない。難解っぽい。とはいえ、以前よりはちゃんと読めたので、短編それぞれに面白みは感じた。さほど強くはないけれど。

解説によると、「砂漠的なもの」が安部公房の創作モチーフだと。

「砂漠は、壁と言い直すことができる。はるかな地平線のほかに何一つない広漠たる砂漠は、同時に、目の前にあって我々の目をさえぎっている壁と同じ。目の前の壁は、同時に、目をさえぎる何物もない砂漠と同じ。
壁によって仕切られた内部の空間と、壁の外に広がる空間とは、まったくの同質の素材からなる同質の空間ということになる」

分かるようで、よく分からないけれど笑。

「S・カルマ氏の犯罪」
名前を失った男。砂丘、育つ壁。

「バベルの塔の狸」
影を奪われ、透明人間(目だけある)になった貧しい詩人。

「赤い繭」
帰る家のない「おれ」、足から糸。

「洪水」
世界中で人類が液化。

「魔法のチョーク」
貧乏画家アルゴン。壁に描くと実物になる赤いチョーク。

「事業」
司祭で事業家の私。鼠肉。人肉。「食べることを目的として生物を殺すのは罪ではない」キリスト教の教え。

両極。世界の果てに旅立つものは、単にこの世界から脱出するものであるのみならず、同時に、この二つのポールを結びつけるという重大な使命を帯びた使者である…。あるいは、自己をメッセージとして自己に送り届ける使者である!

とりあえず、この奇妙な世界に身をゆだねよう。





★\(^^)/☆


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