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展覧会レポ:GYRE GALLERY「アッシュ・カプーア_奪われた自由への眼差し_監視社会の未来」

【約3,300文字、写真約20枚】
表参道のGYREジャイル GALLERYへ初めて行き「アッシュ・カプーア_奪われた自由への眼差し_監視社会の未来」を鑑賞しました。その感想を書きます。

結論から言うと、良かったポイントは、❶GYRE GALLERYは表参道でショッピングのついでに無料で気軽に寄れること、❷イギリスの実力派で「両義性の作家」と言われるアニッシュ・カプーアの世界観をコンパクトに鑑賞できることでした。

展覧会名:アッシュ・カプーア_奪われた自由への眼差し_監視社会の未来
場所:GYREジャイル GALLERY
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★★☆
ベビーカー:ー
会期:2023年11月23日(木)〜2024年1月28日(日)
休館日:12月31日(日)、1月1日(月)
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
アクセス:表参道駅から徒歩約5分
入場料(一般):無料
事前予約:不要
展覧所要時間:約20分
混み具合:ストレスなし
展覧撮影:全て撮影可能
URL:https://gyre-omotesando.com/artandgallery/anish-kapoor/


▶︎訪問のきっかけ

1階にある立札

SNSでこの展覧会の情報を見た時、国立新美術館で実施された「テート美術館展」で見たアニッシュ・カプーアの作品を思い出しました。その作品を私はよく覚えており、彼の作品をまた見たいと思ったため、訪問しました。

「テート美術館展」では、最初の展示スペースで、ターナーなどの作品の近くに、デン!と3mを超えるカプーアの作品が展示されいました。それは非常にインパクトがありました。清廉かつ邪悪な二面性を感じる不思議な印象で、私が「アニッシュ・カプーア」の名前を覚えるきっかけになりました。

《Ishi’s Light》(引用元

▶︎アクセス

GYREの入口

GYRE GALLERYは、表参道駅から徒歩約5分。GYREというファッション複合ビルの3階にGYRE GALLERYはあります。ビルのテナントにMoMAデザインストアなども入っているため、表参道に行ったことがある人にとっては、よく知っているビルかもしれません。

ただし、GYRE内に、GYRE GALLERYがあることは、あまり知られていないのではないでしょうか。3階の分かりずらい角の位置にギャラリーがあります。ギャラリー目当てで行った私でも、3階で見当たらなかったため、4階や5階まで探しに行ってしまったほどでした😅

表参道のイルミネーション
GYRE GALLERYは、ビルの3階にあります

住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F

▶︎GYRE GALLERYとは

GYRE GALLERYの入口

2007年11月のGYRE創業以来、数々の先鋭的なエキシビションを開催してきたギャラリー「EYE OF GYRE」が、このたび「GYRE GALLERY」として生まれ変わり、3Fの新たなスペースにオープンしました。アートを主軸として、ファッション、写真、建築、メディアといったさまざまなジャンルを、引き続き自由に渉猟しながら、展示内容や作品コンセプトによって、より有機的に姿を変えることができる回遊型ギャラリーとして進化。

公式HPより

「Gyre」はを意味します。正確な発音は「ジャイア」だと思います。「ジャイル」と読む理由は分かりません。GYREビルは「回転しながら物事も集めていき、そしてこの場からあらゆる発信を行って行く」というコンセプトをもとに開発されました。ビルの見た目も少し渦っぽいですね。

表参道を歩きながら、今まで10年以上「Gyre」の読み方が分かりませんでした。このnoteを書くにあたり、知ることができて良かったです😅

Gyreの外観(引用元

ギャラリーは1部屋くらいしかないかな?と思っていました。しかし、実際は3部屋あり、想像していたよりも展示数は多かったです。20時まで運営していることもありがたいです。

▶︎「アッシュ・カプーア_奪われた自由への眼差し_監視社会の未来」感想

目に見えない監視体制で、 監視される側が芸術表現をどのように捉えていくのかということが、 今回のテーマである(略)人間存在そのものを映し出すカプーアの芸術作品(鏡)が、現代社会における監視メカニズムを浮かび上がらせる契機となり、そしてその作家が、 奪われた自由への眼差しを我々に向かって投げかけているということを示唆する試みとなる(略)アニッシュ・カプーアは、 ニューヨーカーのインタビューで「アーティスト達は、様々な形で資本主義によって絶えず剽窃されているのです。私たちはあらゆる場面で反撃しなければなりません」と語っている。

公式サイトより

アニッシュ・カプーアは、1954年インド・ムンバイ生まれ。1972年にロンドンに拠点を移し、現在もロンドンで活動中。1990年にヴェネチア・ビエンナーレでイギリス館代表として出展、翌年にイギリスの現代美術賞であるターナー賞を受賞するなど、実力のあるアーティストのようです。

カプーアは、ひとつの作品に二重の意味合いを込めた「両義性の作家」とも評されている、とのこと。まさに、「テート美術館展」で見た《Ishi’s Light》に対して、当時、私がそのように感じたことは冒頭に記載しました。

まずは、イントロダクションを見ずに展示作品を見回ってみました。

作品名は全て「Untitled」

全ての作品は「Untitled」(無題)。抽象的な絵画はどこか暴力的で悪そうです😎。床や壁に置かれた赤い立体物は、内臓のような色使いでどこかグロテスクでした。この立体物は、カプーアが来日したスタッフに遠隔指示して制作しました。一部の顔料は勢い余って、壁や床にまで飛び散っています。

これらから、私は人の内面にある邪悪な部分を描き出しているように感じました。また、なぜかファイナルファンタジーなどに登場するボスキャラのような印象も受けました。

本展の企画者の飯田高誉氏は開幕で「カプーアは本展に対する言葉としてのメッセージはない」としながら「戦争が起こったりグローバリゼーションが済んだり、世界がどんどん変わっていっている状況のなかで、カプーアは人間存在そのものに焦点を当てて作品をつくりたいと考えている。本展を皆さんの主体的な考え方に基づいて見ていただきたい」と述べたそうです。

分かるような分からないような…(分からない)。カプーア自身は、特に「監視社会」に言及はしていません。「監視社会」云々は、企画側の意見に過ぎず、何を感じ取るべきかは、観覧者に全て委ねられています

キャプションを見ず、これらの作品だけを見て「現代の監視社会って怖いなぁ😨」と感じられる人がいたら、感受性が異常に豊かですね。

なお、キャプションの大半は、書いてある意味が分かりませんでした

カプーアの作品は、断片化され混沌とした私たちの内奥に秘めた本質的な情動を映し出し、階層化された全体性に対する私たちの認識を混乱させます。

CHAPTER Ⅲ『全体性という怪物』より抜粋

このキャプションの方こそ私を混乱させます。具体的なメッセージを自ら説明しないカプーアの意図を、文字で表現するのは難しいと思います。その上、上記のように意味のあるようなないような解説をライティングするのは、ある意味、特殊な技術が要求されそうです(英訳も同様)。

看視員の方は、ずっとケータイ見るか、文庫本を読んでいました。目的を果たしてくれれば、どのような態度をしていようと、私は問題ないと思います。ただ、珍しい光景だったため、記憶に残りました。

お客さんは、ほぼ入ってきませんでした。その中でも、入ってくるお客さんは、韓国人観光客などが多い印象でした。立地が悪いことに加え、表参道に遊びにくる方は、アートよりもショッピングが目的だからでしょうか。

ビルの吹き抜けに展示されている作品

▶︎まとめ

作品を眺める来場者

いかがだったでしょうか?GYRE GALLERYは、表参道に来た際に、フラッと無料で寄れることに加え、実力あるアーティストのアニッシュ・カプーアの作品を見られるのはお得だと思いました。

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