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「わがままだなんて分かってるの。でも、どうしてもさみしかったの。」


深夜に送った明らかに恥ずかしすぎる文面を思い出し赤面しながら、

なんともバツの悪い様子で答えた私。

君は、私の方を見てちょっとだけ微笑むと、ふわりと包み込むように

優しく抱き寄せてくれた。

君の鎖骨あたりに来る私の耳はピタッとくっついていて、

動脈の中を流れていく血液に触れる感覚がした。

ドクッドクッと脈打つ度に、耳の奥までこだまする。


その深くこもった様な低い音は、あなたの命そのもので、

とても尊く愛しくて、このままずっとそばに居て聴いていたい気持ちになった。

私は欲張りにも、一秒後にはけしてもどれない刹那に、

そこはかとない不安と恐怖を覚えつつも、同時に、

この欠けがえのない幸せな時間と言い表せない安堵感を、

自分だけのものにしたいと思っていた。


貴方が愛してくれている事くらい分かっているの。

でもね、私欲張りだから貴方の全てが欲しい。

貴方が発する言葉だけじゃなくて、その息遣いも温もりも肌に触れる手の感触も。
忘れるのなんて嫌。

だから今だけは貴方のこと独り占めしてもいいでしょう?

ねぇ、いいよね?

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