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#エッセイ

「クインテット」「マツケンサンバⅡ」など数々のヒット曲を生んだ作曲家“アキラさん”が音楽と歩んだ紆余曲折の半生とは――

「クインテット」「マツケンサンバⅡ」など数々のヒット曲を生んだ作曲家“アキラさん”が音楽と歩んだ紆余曲折の半生とは――

「パパのようにヒット曲をたくさん作って有名人になりたい」。幼い頃のぼくはそう思っていた。『シャボン玉ホリデー』に映る父のように、飛び跳ねて指揮をして身をよじってピアノを弾く。そんなことをぼくもやってみたかったし、自分の作った曲を誰もが知っているなんて凄いと思っていた。通りすがりの他人が振り向くなんてこともあり、そんな父のやることなすことがぼくを魅了した。いつかぼくもああなりたい、と思ったものだ。

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ねずみに倣う

ねずみに倣う

アレックスwhy?
というアニメーションをご存知でしょうか。

フランスを舞台にしたドイツ製の作品で日本ではTV放映されておらず、VHS(古!)全10巻が国内で販売されていた模様。

二十数年前、そのうちの2本が我が家にあった。両親の記憶によると入手経路はどうやら西友の景品とのこと。他に引き換えたいと思えるものがなかったからという、少々可哀想な理由で選ばれたこのビデオ。

それでも私は夢中になって

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父

ゆうべ久しぶりに父を夢に見たので、思い出話でも書こうかと思う。

いつもふざけている人だった。コテコテの関西弁、大の酒飲みで、阪神タイガースを心から愛していた。とにかくよく飲んだ。赤ら顔、とろんとした目、舌のまわらぬ物言い。休みの日は朝から飲んでいたのではないだろうか。
休みの日、と言っても、子どもの頃の私は父がいつ休みでいつ仕事に出かけているのか、まったく知らなかった。ネクタイを締めたスーツ姿の

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自分のこと、『幸運の女神はアナタ』

自分のこと、『幸運の女神はアナタ』

近所のスーパーにごっつ元気の良いオバチャン店員さんがいてはんねん。
わからんけどたぶん60歳くらいの方。
「いらっしゃいませー!! おはようございまぁーす!!」
言うて。
「ありがとうございまぁ〜す!!」
言うて。
ホームセンターとかと一緒になってるスーパーやから結構デカイねんけど、そのオバチャンの声が響いてんのよな。
あー、あのオバチャンいてはるなぁ〜、って一発でわかる。

それがうるさいって感

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100日間マンガを描いたら、キャラクターがこちらに語りかけてきた

100日間マンガを描いたら、キャラクターがこちらに語りかけてきた

水島新司は、原稿を描き終えるまで、そのストーリーに出てくる試合がどんな結果になるのかわからないらしい。
浦沢直樹は、自分のマンガのキャラクターがいつも勝手な行動を取るので困ってしまうそうだ。
「左ききのエレン」のかっぴーさんはインタビューで、「脳内にいるキャラクター達が会話しているのを聞いてセリフに書いているだけ」と言っていた。

いや、さすがに無理あるでしょ

正直そう思ってました。物語やキャラ

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自分を薄めるのをやめた。(夏休み、途中報告)

自分を薄めるのをやめた。(夏休み、途中報告)

自分を濃くする事は、嬉しくて怖い事だ。

SNSを離れて1週間。たった1週間で、ちょっと人と話が通じなくなった。話題についていけないとか、そういうんじゃない。

SNSには反応があって、その反応を先回りして言葉を選ぶ事になる。言葉だけじゃない。私は行動も選んでる。行動する時点で、反応の事を考えてる。

そうやってSNSで自分を薄めないから、遠慮というもんがなくなって、自分が楽しい話ばかりを口にして

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