奥日光 letter

奥日光や白根山などの自然の写真を添えて、不思議大好き 空nyan!へお手紙(奥日光le…

奥日光 letter

奥日光や白根山などの自然の写真を添えて、不思議大好き 空nyan!へお手紙(奥日光letter)します。 「雪迎え小さな資料館」では、雪迎えの自然観察資料の展示や自然観察活動をしています。 「gallery 遊糸」でも、自然の魅力を伝える写真などを定期的に展示します。

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雪迎えとは?

 晩秋の穏やかに晴れた日に、青空を背景に複数の糸が輝きながら流れて来る。それは、クモが空に舞い上がり移動するために流した糸で、山形県の置賜盆地などで「雪迎え」と呼ばれている自然現象だ。  徘徊性のクモは網を張らず、地面近くを動き回って餌を獲っている。そのようなクモの多くは、晩秋の快晴無風の日の上昇気流に乗せて、糸を空中に放出して舞い上がろうとする。自らの糸を移動手段に転換した飛行グモの行動に驚き感心する。  一方、造網性のクモは、種に応じて独特な網を造形する技を獲得した。ど

    • 中禅寺湖のオシドリ

      4月になり、冬期閉鎖中の「中禅寺湖畔ボートハウス」がオープンした。美しい形の建物で、国際避暑地として栄えた中禅寺湖畔の歴史に触れたり、展望デッキから碧い中禅寺湖を見渡すことが出来る。 先日、展望デッキでコーヒーを頂きながら風に吹かれていると、オシドリが遠くから飛んで来て湖に着水した。オシドリは仲良く2羽で行動していることが多い。 空nyan! 楽しみだね! Let's go see a female mandarin duck with her young.

      • サンショウウオと奥日光

        4月になり奥日光を歩くと、流れのない水場にクロサンショウウオの卵嚢がひっそりと沈んでいる。水中に落ちた枯れ枝などに産み付けられた不思議な塊に魅入ってしまう。 クロサンショウウオは、日光戦場ヶ原の湯川で発見され、当初は「ニッコウサンショウウオ(日光山椒魚)」と呼ばれていたようだ。しかし、仙台産の標本による「クロサンショウウオ(黒山椒魚)」が、ニッコウサンショウウオと同種でしかも新種発表が早いと判明したことで、正式和名がクロサンショウウオに移行したという。✳ このエピソードは、日

        • カタクリとヒカゲツツジの山と男体山

          宇都宮市の郊外にある古賀志山(583m)は岩場が多く、変化に富んだトレイルが沢山あって楽しい。春浅い頃には、カタクリの咲く野趣あふれる小道を歩く。沢の流れを聴きながら、湿り気のある山道を辿るのも心地よい。 カタクリが咲き、続いてヤマザクラやアカヤシオが咲く頃には、「二枚岩」から「標高点559m(地元呼称 斑根石山)」を巡り、岩陰に咲くヒカゲツツジを見に行こう。 少し休んで遠くを見渡すと、春霞に煙る日光連山が「こちらにもどうぞ」と語りかけてくる。 空nyan! 山に登るのは楽

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        雪迎えとは?

          カワガラス 竜頭ノ滝の忍者鳥

          「カワガラス」(河烏、カワガラス科、全長22cm程度)は留鳥で、春でも冬でも観察することが出来る。4月後半は「カワガラス」の子育ての時期になり見る機会が少し多くなる。渓流に似合う鳥で、見れば見るほど興味が増してくる鳥でもある。 最初の段階で、「カワガラス」だからカラスだろうと誤解することもある。カラスの仲間ではなく、渓流や水辺を好み、水生昆虫や小魚を食べている鳥になる。英名は「Brown Dipper」(茶色の水中に潜る鳥)、こちらのほうが特徴を表した名前と言える。 また、

          カワガラス 竜頭ノ滝の忍者鳥

          奥日光の冬のニホンジカ

          ニホンジカによる食害は深刻で、奥日光でも林床を覆うミヤコザサや貴重な植物が消えつつある。センジュガンピ(ナデシコ科の多年草)が千手ヶ浜の千手堂付近に咲いていてほしい、と願って探しても全く見つからない。小田代ヶ原のクガイソウ(オオバコ科の多年草)はシカの侵入防止柵でようやく復活してきたが、コヒョウモンモドキ(タテハチョウ科、幼虫の食草がクガイソウ)は消滅したままだ。 ところが不思議なことに、ニホンジカが食べない植物もあって、初秋の奥日光の千手の森などでは、シロヨメナ(キク科)の

          奥日光の冬のニホンジカ

          うすらい(薄氷)の季節 奥日光

          柔らかな光を感じる日と寒風に身震いする日を繰り返しながら、奥日光の冬がようやく終わろうとしている。 雪解けの道を歩くと、地面から急にコガラやヒガラが飛びたつ。細長い花弁のマンサクが枝に重なるように咲いている。残雪の上には黒く小さなセッケイカワゲラが動き、空には腹巻き模様のノスリが飛んでいる。 春浅い頃の奥日光は、雨混じりの雪が降ったかと思うと急に冷え込むことがあり、どの時点で「雪の果」になるのかよく分からない。 奥日光もようやく「春の氷」の季節になった。 空nyan! 春に

          うすらい(薄氷)の季節 奥日光

          冬から春へ セリバオウレンの群生を見る

          セリバオウレン(芹葉黄連、キンポウゲ科、高さ10cm程度)は、冬の終わりに咲き始める白い金平糖のような花で可愛らしい。奥日光では数株しか見たことがないが、木漏れ日が林床に影を落とす杉林など、条件の良い場所では群生するセリバオウレンを見ることができる。 セリバオウレンは、セリの葉に似ているからセリバ、オウレンとは生薬名でもあり、利用する地下茎が黄色味を帯びていることで付いたようだ。 栃木県日光市下板橋の杉林に咲いていたので、3月9日に撮影した。ここは戦国期の山城、板橋城跡(44

          冬から春へ セリバオウレンの群生を見る

          オオワシは来季も中禅寺湖に来るだろうか

          寒い季節になると、オオワシ(大鷲)の中禅寺湖への飛来情報が気になってしまう。 今季は雨不足の影響で、中禅寺湖の湖岸は極端に後退し、中禅寺湖から流れ落ちる華厳ノ滝では、水量調節や夜間停止などの対策がとられている。そして、湖の変化に伴うかのように、オオワシは観察ポイントの菖蒲ヶ浜には、ほとんど現れていない。 オオワシは、中禅寺湖の西に位置する千手ヶ浜や西ノ湖で、昨年の11月や12月に目撃情報があり、飛来していることは確かだ。今は餌を求めて一つ山を越えた足尾方面を飛んでいるのかもし

          オオワシは来季も中禅寺湖に来るだろうか

          朝の光で浮かび上がる「貴婦人」

          奥日光・小田代ヶ原には、有名な一本の白樺の木があり、枝を広げた樹形が美しく「貴婦人」と呼ばれている。 十数年前に望遠レンズで「貴婦人」を見ていて、樹幹の下方に黒い部分があることに気がついた。心配して問い合わせると、樹勢を回復させた痕跡とのことだった。樹齢は白樺の平均を遥かに超えていて、横に伸びた細い幹が折れ美しいバランスが少し崩れたときもあった。それでも春になれば変わらずに新緑の芽吹きや垂れ下がる花序を見せてくれる。「貴婦人」の四季折々の佇まいの陰には、それを見守り支える人た

          朝の光で浮かび上がる「貴婦人」

          単独行動を愛する静かなアオシギ

           寒い冬になると、奥日光の湯川上流などにアオシギ(青鷸)が渡来し、浅い水流域で水生昆虫などを細長い嘴で採食している。シギ類では珍しく山間部の渓流や湿地を好み、体を上下に揺らす特徴がある。日本の各地では単独の行動が主で、英名も「Solitary Snipe(独りぼっちのシギ)」になっている。  日本名の「青鷸:アオシギ」は、体下面などの羽毛が青みを帯びるとして名付けられた。淡い灰色を青としていた時代があったようで、アオシギのアオとは淡い灰色=青灰色と思われ、単独行動の静けさを反

          単独行動を愛する静かなアオシギ

          キンクロハジロは、ワルいカモ?

          キンクロハジロ(金黒羽白)は、中禅寺湖のほか全国に冬鳥として渡って来る。オスの体は白と黒のツートンカラーで、冠羽を頭の後ろに飾るように垂らしている。オシャレはこれだけではなく、顔や頭の羽は単に黒色ではなく、光が当たると光沢のある深い紫や緑色に見える。嘴は青灰色で、体の白黒にアウトフィットしてきれいだ。嘴の先の黒もポイントになっている。 面白いのは、普段は丸い目が、ある時は睨むような目に見えることだ。まぶたを少し閉じているのか、あるいは目の上の膨らみによる影で目が細く見えるのか

          キンクロハジロは、ワルいカモ?

          雪の日のイタリア大使館別荘記念公園

          奥日光の中禅寺湖畔は、明治中頃から昭和初期にかけて外国の別荘が建てられ、国際避暑地になっていた。中禅寺湖にヨットを浮かばせた古い白黒写真を見たことがある。現在では英国大使館とイタリア大使館の別荘は、復元と整備を経て一般公開されている。 イタリア大使館別荘は12月から3月末まで休館している。それでも冬は、大使館に付随した記念公園が静かなので行ってみるとよい。 タイミングが難しいが、雪の日に訪れると、特別な風景に出会うことができる。 空nyan! 奥日光の白い雪の道を歩いて、

          雪の日のイタリア大使館別荘記念公園

          ニホンザルの肖像

           奥日光に生息しているニホンザル(ホンドザル)は、大小の群れで行動していて、個体数は安定していると思われる。  随分前のことだが、奥日光に来た観光客が野生のサルに食べ物を与え、人を恐れないサルが増えた、という問題があった。現在は、「野生動物への餌やり禁止」の啓発活動で、サルは本来の野生の行動に戻っている。  奥日光には多様な生きものが生息する環境がある。例えばズミの木の小さな実は、ニホンザルの冬の貴重な食物になっている。サルは自然と共に生きている。  今回、「ニホンザルの肖

          ニホンザルの肖像

          奥日光の猿の親子

           奥日光では、ニホンザルの群れの中に、子猿を見る機会が多い。子猿の頃から目がくりくりで動きは素早く、生まれたての頃は体毛が短く艶々している。移動する時は、親の後を追いかけたり、親の背中にしがみついたり、背中に乗れないなら腹にしがみつくこともある。  一度だけだが、傷ついた子猿を背中に乗せて歩く母猿を見たことがある。子猿の悲しげな顔と背中にびったりとしがみつく様子が思い出される。クマタカなどの外敵に狙われた可能性も考えられる。    ところで、猿に遭遇した時の対応は、どうあるべ

          奥日光の猿の親子

          ヒレンジャクの群れが戦場ヶ原に来るようになった

           奥日光は関東の北部に位置しているので、冬に渡来するレンジャクは、キレンジャク(黄連雀、全長約20cm)が大部分を占めていた。しかし、今では関西に多く渡来するヒレンジャク(緋連雀、全長約18cm)の群れが多く見かけるようになった。思うに、いずれ戦場ヶ原は、キレンジャクは来なくなり、ヒレンジャクだけになるだろう。  レンジャク(キレンジャク、ヒレンジャク)は、黒い過眼線や黒い喉、頭の後ろに伸びた冠羽、柔らかな羽毛に覆われた太めの体、短い尾羽、やんちゃな目で、翼を大きく動かして飛

          ヒレンジャクの群れが戦場ヶ原に来るようになった