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483.僕は絶対に、絶対に、負けませんよ!勝負しますよ!

coucouさんのお仕事論⑥

1.ひとりぼっち販売戦略②


 
ある8月の頃、coucouさんの顧問先の商店街の人たちと、緊急会議を行った。それは、前々から騒がれていた大型商業施設の開店のことだった。

そこが、いよいよ10月に大規模店舗約一万坪の大型商業施設が開店することが決定したからなんだ。開店日が近づけば、近づくほど近隣を巻き込み大騒ぎとなった。
さらに、2年後には、大規模店舗(三万坪)が開店し、地域間競争の激戦区になるからだ。近隣にはイオン系ダイエー、エコス、イトーヨーカードー、スーパーアルプスが並ぶ中心激戦区の中の商店街。

そのための緊急対策会議だった。
 
商店街はね、まさにひとりぼっち起業。
家族が力を合わせて営業している昔ながらの形態。
もちろん、今のままでは価格競争に巻き込まれてしまうのは目に見えている状況。
大手同業者、同内容の商品構成、大量商品、低価格戦略にはひとたまりもあない。ここが古くからの商店街の致命的な欠点だ。
 
さて、どう生きようか…。

この会議中においても、やっと生き残ってきた商店街。
「…もうやめるしかない」
「戦えない…」
「潰れてしまう…」
「諦める以外ない…」
「やめたくても借入金が残ってしまう…」

続けるも地獄、止めるのも地獄~

これが、多くのの商店主たちの意見だった。

これから、商店街としてどうする?
個々の個店としてどうする?

悩み続けた会議だった…。
そこでcoucouさんは、次の文書を製作して〈ひとりぼっち起業〉の長所、素晴らしさ、戦い方を伝授することにしたんだ。

そして、次の戦略をみんなにレクチャー(coucouさんの計画素案)した。

©NPО japan copyright association Hiroaki


 

2.現在の商店街の問題点

(1)coucouさんの計画素案
 日本における現在の商店の商品構成は、どこにでもある、ありふれた商品が多いのが特徴となっています。
同じような構成はコンビニなどでも見受けますが、コンビニとの違いは巨大な資本投下、宣伝、販促、圧倒的なサービス面(駐車場、AТM、公共料金等の支払い、営業時間帯、その他)やネームバリューなどです。
唯一、個店として違いが出せているお店は飲食店といえます。
飲食店の場合は、物販店とは異なり利益率が大きい事と、味や内容で違いが演出できているからです。
しかし、美味しくなければ、評判が悪ければ、お客様から厳しいジャッジが下り、すぐに他の店に行かれてしまいます。

(2)近隣への大型店参入。
また、この地域においては、駅南側都有地において、スーパーバリュー(約一万坪)が本年の10月にオープン(予定)することになり、アルバイト、従業員約300名の募集体制となりました。
 
この時点での店舗構成は、ホームセンターと食品スーパーの大型ショッピングセンター(駐車場約600台)です。スーパー(青果、精肉、鮮魚、惣菜、一般食品、お米、日配品(宅配サービス)、その他)、DIY用品、エクステリア及び園芸用品、レジャー用品、ペット(犬・猫販売)及びペット用品、家庭用品、大型家電製品、AV機器、家電小物、カー用品、自転車、ドラッグストア、灯油販売、インテリア用品、日用雑貨、文具、玩具、合かぎ・靴修理、資材販売、木材カット、ペットクリニック、ペットホテル、銀行AТM、などが現在の情報です。また、二年後には沖電気跡地にダイワハウス(約三万坪)が大型マンション及び戸建て住宅の建設と大型スーパーとホームセンター及び複合商業施設ビルが開店する予定です。
駅前の京王スーパー、イオングルメシティ、イトーヨーカ堂、エコスなどスーパー戦争の狭間でこの商店街が存在することになります。
 
 
(3)低価格、安売りの限界点
 しかし、これらのスーパー出店に対して、周辺スーパーには互いのメリットはなく、低価格、安売り商品販売競争の渦に巻き込まれるだけの様相です。また、低価格、安売り商品販売にはいずれ限界が来ますが、イメージ、宣伝、販促力(資金力)があり、現状のままの商店には限界があると考えられます。
 
ただ、2年後の大型商業施設(約3万坪)における店舗構成は、スーパーが中心ではなく、ファッション品、靴店、美容室、インテリアグッズ、化粧小物、衣料品、紳士用品、写真、本屋、家電、食器、各種フランチャイズ店、ファーストフード、有名飲食店(イタリア料理、日本料理、外国料理、パン屋、喫茶店)大型のフードコートなどを連ねる構成になると調査しました。
 
こちらの複合店は安売りでなく専門店として出店される予定です。

(4)商店街の長所
市内における商店街の場合は、少し離れた場所の市街に出来るイオン等の大型店進出(三万~五万坪)に対して、かなり悲観的に受け取っているようですが、大型店にはない商店街の長所もあります。大型店の欠点は、そのほとんどがアルバイト定員で構成されていることです。
 
研修等のマニアル教育により、一応の商品知識や接客術を学びますが、正社員でないため常に募集と教育が必要になります。また、常にローティションなどにも悩まされ続きます。
時間給なども土曜日、日曜日、祝日などは自給1,500円近く払うようですが、実際に高騰した人件費により採算はどうなるのでしょうか?
また、開店のための多額な設備投資、駅ビル並みの補償金、家賃、光熱費、共益費、そして高い人件費を考えると、駅ビル等に出店している店舗と同じように利幅が少なくなります。
 
現に、中心地駅前の東急スクエア、駅中のセレオなども退店、新店舗開店の繰り返しとなっていることでもわかります。

ここに商店街の長所が見い出せる気が致します。

(5)個人商店街の強さ
 では、商店街の長所と強さとは一体何なのでしょう?
前頁で記載した通り、商品としての魅力がない、どこでも手に入るありふれた商品構成という大欠点がありますが、投下資本が大手ほどかかっていないこと。人件費の割合が少ないこと(経営者が自ら店頭に立っていること)が強さの一つと考えられます。
 
つまり、大型店よりも固定経費が少なく、商品が売れれば利益率が高いといえるでしょう。 
 
また、大型店のようなマニュアル化された接客ではなく、地元商店街らしさ、あたたかさがあることです。商店街の方が安心して入りやすい、というお客様もおります。
それは、人としてのふれあいもなく、機械化された対応に不自然を感じるお客様もいるからです。
(問題はそのお客様が欲しいという商品がないということにあります。)
このように「欲しいと思う商品構成」があれば、大型店に商店が負ける要素がないことがわかります。
 
(6)新商品や独自商品等の開発
 お客様はいいます「欲しい商品がない・・」と。
日本全国どこの商店に行っても同じ声が聞こえます。
確かにお客様のニーズのすべてに答えられるわけはありませんが、少なくとも近隣店舗に置かれている同じ商品は避けるべきだと考えられるでしょう。
さらに、100円ショップにおかれている類似商品など、どんなに良い商品であっても太刀打ちできません。お客様は商品の良し悪しでなく、安い方を選ぶからです。
 
このように、商品構成には答えが出ています。
商店は新商品(近隣他店で売られていないもの)を中心とした商品構成に切り替える時期に来ています。決して、同じものは置かない、といった姿勢が必要になります。
 
また、利益率の大きい商品であれば独自商品として販売する方法もあります。
オリジナル商品の開発も良い事ですが、独自商品といっても完全なオリジナル商品ではありません。これらも他店にはない独自商品の一つになります。
 
極論ですが、☆写真屋さんがクッキーを販売する。おまんじゅうを販売する。Тシャツ、トレーナー、ジャンバーを販売する。そして、それらは名入れ可能といった具合に店内のイメージアップを図ると同時に、新しい演出も可能になります。
 
☆雑貨小物店でクリスマスにはケーキやお花の予約を取る。絵本やディズニーのDVD販売などプレゼントギフトを充実させる。花屋は、花に関する本の販売、花カレンダー等の販売、ハーブティなどの販売、健康食品などの販売などのコーナーを設ける事によって、新しいイメージの演出が可能になります。
 
☆音楽教室などはハーモニカ、ギター等の楽器販売、譜面販売などの充実を図ります。ある楽器さんなどは狭い売り場でコンサートを開いています。店内に楽器が置かれるとイメージが演出できます。(教室での生徒さんたちの楽しい風景や音楽コンサートの店内上映なども販促になります。)
 
☆最近は不況を反映してか、小さな工事をする業者さんがいなくなりました。電気屋さんなどは工事がらみが多い仕事だと思いますが、無理のない範囲で、「便利屋さんの復活」はどうでしよう。冷暖房工事、電気工事並びに小さな電球の交換から、トイレ回り、風呂回り、棚板一枚から物置まで、この町は高齢者ばかりです。
意外と小さな仕事が大きな仕事へと発展する可能性があります。
ホーマック(大手資材、ホームセンター)などの工事屋さんは下請けで安い価格で受けているようですが、ホーマック自体の工事費は高い費用です。現在の商店工事価格で充分に戦えると思います。
 
☆飲食店などは若者相手ではなく、高齢者を対象とした食べ物を中心としたメニュー構成なども考える必要があります。
現在の商店街にある飲食店の天狗飯店さん、ろばたさん、定食屋さんなどは和食を中心としていたため高齢者のみなさまには随分と喜ばれています。
(ランチ時はいつもお客さんがいっぱいでした)
やはり、味噌汁やお新香、お刺身や魚料理は強いのかもしれません。
近隣店舗は洋食やファーストフードが中心となるため、この地域では和食もしくは、和食を取り入れたメニュー構成が際立つかもしれません。
 
喫茶店なども近隣にはドドールコーヒー、マクドナルド、コンビニ等の低価格コーヒーが目立ち、価格では太刀打ち出来なくなりました。
また、これから開店する大型店やスーパー内にもコーヒーがまるでサービス品かのように並び、現在はコーヒー豆が急騰しているのに拘らず100円コーヒー、80円コーヒーが登場し始めています。
しかし、近隣周辺には和風の甘味処がありません。
喫茶でお饅頭、団子、お汁粉等の甘味類など、逆に価格競争とは関係なしに高齢者に喜ばれるメニューになります。
また、飲食店は食べ物を食べてもらうだけでなく、お土産品などの店販などは、イメージ演出効果と売り上げに貢献します。
郊外型のレストランの店販売品などは、一日に数万円の売上があるようです。
(個店の場合、大量在庫は要りません、必要な個数のみ)。
 
(7)ネット販売の強化
 現在、商店街のホームページのほとんどがイメージ宣伝ですが、本来、商店や商業店舗の場合のホームページは商品販売に主力を置いています。
 
確かにスーパーのような安売り広告は必要ありませんが、せっかく立派なホームページを公開しているのですから、ホームページを活用したネット販売を試してみる必要があります。
 
ただし、価格競争に巻き込まれない、アイデア商品や便利グッズ、おすすめ定番商品などのネットを活用した通信販売です。
古本屋さんなどは、ネット上での古書販売を行っています。商品は店頭、店内だけではなく、ネット上での商品通信販売なども充実させる必要があります。
そのための商品構成、販売方法、配送方法、支払い方法(代引き、カード決済、振込等)などを考えねばなりません。
商品は大量に選別する必要はありません。
販売しやすい、おすすめ商品を選定して、通信販売を行うのです。
現在、地方の物産品、地産品、土産品、独自商品販売などのほとんどが、ネット通信販売で収益を上げています。
具体的に何を売るか?は討議が必要となりますが、せっかくのホームページがあるわけですから、新しい販売戦略としての商品販売を計画するのも良い方法の一つと考えられます
 
(8)販売促進の充実
 どこの地域も販促費を捻出するのに苦労をしています。
しかし、その販売促進計画がなければ何も発信することができません。
 
今までの商店全体で行う売り出しなどは、商品券や景品などの戻り率を考えると成功に近い内容と思われます。ただ、全体の販促は各個店すべてに反映するかと言えば、やはりそのお店によるといえます。
ですから、全体販促は商店街全体を知らしめる目的、商店街に多くの方に入店してもらう事が大目的です。
あとは、それぞれの個店の販促が必要になります。
 
各個店の販促とは、せめて来店して下さるお客様、買い物して下さるお客様にいかに喜んで頂くか、というものです。
一番には、喜んでもらう商品構成にあり、二番はわざわざご来店下さり、買い物をして下さったお客様に感謝(気持ち)を差し上げるもの(ミカンひとつ、駄菓子というような10円、20円の物)を考えます。
(例・この街のはずれにに「10円ショップ」があります。そこで商品を選定)
三番は次につなげるためのお客様の希望(必要な商品)です。

出来る限り応えてあげる御用聞きの精神です。
 
 
(9)外部導入部分の強化
 この商業施設ができる前は大手の半導体工場(地方に移転)でした。その頃、は毎朝の出勤時間、帰宅時間を眺めていると、3,000人から4,000人規模の信じられない人通りの駅南口(この商店街は駅南口)でした。
スーパーバリュー、大手の商業施設が開店したとき、昔、イトーヨーカ堂が開店したときのように、駅周辺には閑古鳥が鳴くのでしょうか。
 
確かに商店街の売り上げは減少傾向のようでしたが、人通りには何ら変わりはなく、こんな街には多くの通行客がいるのだと驚いた記憶があります。
スパーバリューで300人~500人の従業員、アルバイト店員。大型商業施設の並びにはダイワハウスが建てる大規模マンションがあり、住民400~500世帯、商業施設には500人~800人の従業員、アルバイト店員によって、半導体工場時代が再現される通行量となるでしょう。
さらに、2カ所の大型店の駐車場が2,000台から3,000台の利用者、駅を降りて、それらに向かう通行客を考えると夢のような通りの入口(参道)に、私たちの商店街とイオングルメシティがあることになります。
おそらく年間50万から70万人となる、この地域の商店街にとって、チャンスといえるかもしれません。
 
10月にスーパーバリューがオーブンし、2年後にはダイワハウスサクラシティに新住民、大型商業施設オープン、駅もそれらに合わせて、5年後から7年後完成(南北自由通路となっています。
 
京王ストア、イオングルメシティの場合、入口導入部分の間口が広く分かりやすく、入りやすいのですが、私たちの商店街は入口の間口が小さいため目立たないという欠点があります。おそらく入口導入部分に関しては充分に考えているとは思うのですが。間口が狭いことには変わりがありません。
 
そこで、商店街の入り口、①右沿いの自転車置き場の壁面の全面利用、②入口2階外部の利用③線路側裏口外部利用③イオングルメシティ入口正面利用(現在看板が通路側のため)として看板、表示等の再見直し、活用の強化が必要となります。

coucouさんの分析未来提案書より

©NPО japan copyright association Hiroaki



©NPО japan copyright association 

coucouさんです~
みなさん、ごきげんよう~

どうしても、ちゃんとお話ししたくて、長くなってしまう~
これが少しでもお役に立つのならいいんだけれど、お役に立ちそうになければすぐにやめるので、お許しくださいね。

でもね、きっと何かにお役に立つんじゃあないかと勝手に想像しています。


とても長くなりましたが、今回は、これが、coucouさんの顧問先である商店街をテーマにした販売戦略(お仕事論)。

そして、最後の最後に、
「商店街は強い!」
「小さなお店が大きなお店より有利なんだ!」
「しっかりとした商品構成であれば、大型店に負けるわけがない!」
「毎月の経費が違う!」
「小さいから強いんだ!」と説明した。

 
すると、参加者から、
「そうだ、おれたちは有利なんだ!」
「僕は負けない」
「大型店と勝負してやる」という頼もしい声が聞こえた。
 
そうなんだよ~

「ひとりぼっち起業」は負けるわけがないんだよ。

©NPО japan copyright association Hiroaki

 3.ひとりぼっちの闘いはじめ


僕は負けませんよ!
勝負しますよ!

最初に商店街の花屋さんが口火を切った~



 
前項では、大型店に対する地元商店街とのレクチャーを行った内容を、皆さまにお伝えしたんだ。
ただでさえ、大不況の真っただ中。10月に大々的にオープンする大型店(1万坪)の驚異に対して、退店者も出始め、商店街には希望がなくなったかのように見える。

さらに追い打ちをかけるかのように、2年後には約3万坪規模の大型店が開店するので、地域を同じくする商店街は、圧倒的な物量及び大量資金力、規模において勝負にならないというのが大半の意見だった。

これはcoucouさんの顧問先だけではなく、他の近隣の商店街なども同じダメージを受ける。
 
でも、「coucouさんのお仕事論」でも唱え続けている〈ひとりぼっち起業〉の考え方ならば、逆に追い風となるはず。

一見、大きなマイナスと見られがちの状況下だけれど、見方を変える事ができるのなら、とても大きなプラス作用が働くと考えている。
 
レクチャー後には、同業者(同類の商品を扱う大型店)に対して、
「僕は負けません。勝負しますよ!」
そのような発言がお花屋さんから出た。

coucouさんはとても心強く感じた。
みんながやがてこのような考え方をしてくれれば、大型店の驚異などなくなる気がする。
 
大企業より強い者は「個人(ひとりぼっち起業)」なんだよ。

本当は、負ける要素なんてない。
大型店は多額の投資をし、多額の人件費を投入し、多額の借入、多額の家賃・固定経費、大量の商品仕入れ、大量の在庫が必要となる。
そして、多額の固定経費は純利益をかなり薄くし、最終的には薄利多売の売上勝負となってしまう。
この地域では大型店三か所が喰い合い、低価格競争という資金力だけの勝負となるからなんだ。
 
一人の人間の強さ、たった一人で何十人、何百人、何千人を相手にする「ひとりぼっち起業」の強さを証明したいと考えています。
 
 

Forever Young (Live On Tour / 1975)

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