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《超適当雑記118》2023年12月2日(土)【交通死亡事故加害者の手】

〚3325文字〛
こんばんわ。入谷です。 
前回は免許のオンライン講習視力問題について書きましたが、その中で、僕が安全運転に注意を払っていると書いたと思います。
もっとも自分から安全運転しているなどと、おこがましい限り申し訳ないのですが、人間はやはり経験によって教訓を得えいくものだと思います。
今回はその教訓に至った交通事故に関する昔の出来事について書いてみたいと思います。

※ ※
今回はショッキングな内容を含むので、苦手な方は遠慮なく戻るを押して退避してください。
それでは宜しければお付き合いください。
※ ※

突然ですが、入谷は超安全運転野郎です。
自動車専用道路では60キロ未満、高速道路は常に第3通行帯(左側)を走り、一般道では、自分から見て遠い位置にいる歩行者や自転車、バイクにも注意し、30キロ指定の住宅街では、さらに注意深く確認と減速をしながらハンドルを握っております。
黄色信号ではゆっくり止まり矢印信号では決して急ぎません急ぐ用事があったとしても急ぎません
注意して運転する。それは当たり前といえば当たりなのですが。

左折時の巻き込み確認や飛び出しには注視しておりますので、僕の後続車のドライバーはさぞイラついていることでしょう。
そんな運転逆に危ない、と言う人もいるかも知れません。そうおっしゃる方のも言い分も理解できます。
しかし、僕には、安全運転しなければいけない“とある出来事”からの学びがあります。

それは一瞬であること。
時間は戻らないということ。
彼の目はひどく怯え、手は痙攣したように震えていたこと。

早い話が目の前で強烈な死亡事故を目撃したことです。  

        ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

大学3年の夏休み。なので今から十数年前の話です。当時僕は某ストアでバイトをしていました。 
その日は残暑の蒸した曇りの休日で、朝番のため開店前から店にいて、店頭で品出しをしていました。
そこは、向かいに大規模商業施設のある駅前大通りに面した、比較的交通量の多い場所にありました。

商業施設には早朝より営業しているスーパーも入っているため、近所の人が店の前の横断歩道を通って行き来するのが、よく見られました。

黙々とカゴテラに商品を並べていると、横断歩道の音楽が止んで信号が切り替わったらしいことを雰囲気で感じ取りました。

変わったんだな、信号

その時、大量の買い物袋を持った中年の男性が向こう岸からこちらへ渡って走ってくる様子を目尻に確認しながら、

あの人何か危ないな…。

そう思って振り返ると、

矢印信号が点滅しかけていたのか、猛スピードで右折してきた中型トラックも同時に目に入り、けたたましいブレーキ音が聞こえるやいなや、あっという間に二者が衝突
買い物袋を持った男性はぶつかった衝撃で突き飛ばされ、3mほど先の路面に強く叩き付けられました。

中型トラックは交差点に深いタイヤ痕を残してスリップしながら停車し、横断歩道には、被害者となってしまった男性のサンダルやメガネ、さっき買ったであろう食料品などが無残にも散乱していました。

一瞬の出来事でした。

目の前で一体何が起こったのか。
頭が真っ白になってフリーズし、その衝撃音に慌てて店内から出てきた先輩や店長から声をかけられてハッとしたくらいです。

事故の現場となった交差点では、すでに人だかりができ、駅へ向かうであろう筈だった人たちも立ち止まり、瞬く間に野次馬の輪が大きく広がっていきました。
おそらく150人から200人はいたと思います。

かすかな隙間から、横たわって動かない被害者と、彼を救護する人たちの姿がちらと見えた時、ようやく事故が起きて人が倒れているのだ、ということを認識しました。

警察救急車到着まだ
交通渋滞も起きていたことから、すぐさま野次馬の中の誰かが、折りたたみ傘を使って交通誘導を始めました。 
滞っていた車が動き始めて間もなく、野次馬を掻き分けて輪の外に飛び出してきたある男性と僕は目が合ってしまいます。

尋常じゃないほどの汗。
鬼気迫る形相。
血走って泳いだ目。

野次馬の喧騒で周囲は大分ガヤガヤしていたはずなのに、僕には彼のパニックで乱れた息づかいが鮮明に聞こえてきました。
彼は店頭で立っていた僕や店長らを見ると、こちらへ助けを求めるかのような様子崩れながら駆けて来ました

僕たちが何事かと思い、しかし呆然とするしかなかった合間に、彼は僕の横にいた店長の肩を両手で掴み切迫した声で叫びます。

「あの人が死んでしまう!」
「救急車をっ、ドライバー自分です!! 自分今日非番で、あの・・、会社のピッチ、持って出なかったんです!!」
「救急車呼んで!!」
「早くして!!!」
「もう息してないんだよ!!!!」
 


その男性は中型トラックの運転手でした。
野次馬に囲まれドーナツの中心にいるのが堪れなかったのでしょう。

店長の肩を掴んだ運転手の手はガチガチと震え、その振動と絶望感がこの場にいた僕たちにも非情なまでに伝わってきました。

「今呼びますから、ちょっと落ち着いて」
店長は、パニック状態の運転手を宥め、すでに持っていた電話の子機で119番に連絡しました。

その間、運転手「ぅああっ!」短く唸り声を上げ、膝から崩れ落ちてしまい、頭を抱えてしゃがみ込んでしまいました。

僕と先輩は運転手の悲惨な様子を正視することができず、代わりに消防に電話する店長の方へ視線をそらしていましたが、店長の手も震えていたのが忘れられません

事故発生わずか5〜6分くらいの出来事だったと思います。
ものすごい長い時間のように感じました。

交通事故の加害者となった人間の、何とも言えない、動揺焦りに満ちたその悲壮感漂う様子が何とも恐ろしくて、僕は冷や汗鳥肌が止まりませんでした。
先輩も店長も青白い表情をしていたので同じだったと思います。

 
すでに野次馬何人かが通報していたのか、しばらくして救急車やらパトカーやら消防車やら救急車が続々と到着しました。

各々の職務に基づいて救命措置や交通誘導、野次馬たちの整理など、スムーズに対処していく中、僕たちの前蹲って動かない運転手の所数名の警察官がやって来ました。
警察官は、うなだれる運転手から事情聞くと、すぐさまパトカーの方へ両脇を抱えて連れて行きました。

その日のことはそこまでしか記憶がありません。
この後、店の客で事故について聞いてきた人になんと答えたのか、交代のバイト仲間と何を話したとか全く覚えていません。

明確に刻まれたのは、あの加害者となってしまった運転手のひどく怯えた目や口もと、そしてずっと震えていた手だけ。

翌日の月曜日、交差点の中央分離帯には、丁度朝置かれたであろう複数の花束が添えられていました。店の従業員が朝刊で新聞にも載ったと言っていましたが自分は確認していません。

そこは大学の通学路であったので、その後もそこを通るたびに、あの運転手はどうなってしまったのだろうと考えていました。

        ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

僕は当時原付免許しか持っておらず、普通自動車免許の方を取ったのはそれから数年後のことでした。

教習所の学科で交通事故の恐ろしさを伝えるビデオもみましたが、あの時の現場の雰囲気や、交通事故の加害者の壮絶なまでの絶望感や後悔はそこにはありません。他の教習生が退屈そうにしていたのが印象的でした。

ビデオでは伝わらないリアルな体験。

車を運転する者は、誰もが加害者になる可能性があります。見ていると特に矢印信号で右折しようとする時にスピードを早める車は多いです。歩行者はいつだって、必ず車が止まるものだと思って歩いています。
判断を誤れば、誰もがあのトラック運転手にならぬとも限りません。

交通ルールを厳守
し、確認や状況に応じた速度調節を怠らず自らを律する心で、この体験から得た教訓胸に刻んていかなければいけないと常に思っております。

くどい話にはなりますが、皆様も車を運転する際、横断歩道を渡る際には気を付けてください。そして、明日が皆様にとって素晴らしい1日になりますように。。ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。

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