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《超適当雑記109》2022年4月11日(月)【新生活は雪の中】

〚1327文字〛
こんばんわ。入谷です。
通勤途中、すれ違う人々の中に、真新しい制服やスーツを着た新入生、新社会人であろう人たちを見掛けます。
春といえば、誰にとっても節目であり、それぞれが新しい環境に慣れようと奮闘している時期ですよね。

もう13年も前になりますが、僕が社会人として働き始めたのは、春ではなく、寒い冬の真っ只中で、大雪の降った次の日でした。

大学卒業後、緑内障の病気療養と新卒入社というレールに乗れなかった失望感から、しばらく実家や友人宅に転がり込んでのニート生活しておりました。
恥ずかしながら大〜変怠惰な日々を過ごしており、昼夜逆転は当たり前。部屋に篭って輪廻転生に関する小説を只管書き散らし、それだけが自分の世界の中心でした。

結局小説は完成しないままほっぽり投げてしまうのですが、変なこだわりを手放してしまえば、今度は労働という現実的な問題が焦りを伴って頭を擡げてきます。

それでたまたま目にした人材派遣系の警備会社の求人に応募します。
講習の後、シフトに入るわけですが、初出勤は、住宅展示場の案内看板を持って駅前の遊歩道に立っているというものでした。

前日に雪が降り、薄曇りの空の下、都心でも気温は0度。一応ヒートテック的なものを下に履いていたのですが対策が甘く開始早々10分で全身の体温が奪われていきます。
貸与された長靴は穴が空いており、雪が染み、震えと鼻水は止まらず、今までの怠惰な生活のツケを一気に払わされている気分になりました。 

8時間勤務でしたが、1分過ぎるのが途方もなく遅く寒すぎて微妙な走馬灯を視界の端に見ながら、学生時代興味のなかった相対性理論を突然理解しました。 

次第に悴む手足に感覚が無くなり、途中からミゾレも降って来たので、カッパを着るのですが、それから先の記憶はありません

気が付く交代の人がやって来て、昼食は何も考えずに駅のそば屋に直行しました。安いかけ蕎麦がこんなにも有難いと感じたことは初めての経験です。一杯のかけ蕎麦ですね。違うか。

やがて「兄ちゃん、上がりだ」と声を掛けられ、ワゴンに押し込まれたと思ったら、いつの間にか事務所にいて、退勤を打って着替えていました。

冬の間はその現場でした。 
街中でずっと直立不動で立っていると、なかなか目立つものです。
行き交う人たちは様々な視線を僕に向けてきます。あからさまに見下す人、哀れむ人、絡んでくる人、目の前で唾を吐き捨てる人、慈悲深くも差し入れのコーヒーと温かい言葉を掛けてくれた人。
この労働を通して学ぶことは非常に多かったように思います。

それから派遣・契約社員として工場やテレアポ、オフィスワークなど経て、大学時代のバイト先であったバー併設のレストランの店長を務めた後、現在の職場に転職しました。

思い返すと、最初にした仕事がそれで非常に良かったと思っています。
何が良かったかと言うと、寒くてひもじい中で、どのくらい耐えて我慢できるかを知れたからです。また社会復帰の洗礼に相応しいものでしたから、その後働いていくための覚悟にもなりました。

下の写真は、まぁ卑しい!と思う方もいるかもしれませんが、あの時の初任給は今でも大切に取って手元に置いております。

ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。そして明日が皆様にとって素晴らしい1日になりますように。。


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