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豆腐がおいしい 【中華風肉豆腐】

最近急に豆腐がおいしい。それは世の豆腐が急激においしくなったという訳ではもちろんなくて、おそらく自分の中の変化だろうと思う。
パック入りなら開けなければ思いの外日持ちもするし、近頃は季節を問わず大抵家に買い置きがあるようになった。

麻婆豆腐、チャンプルーなど手をかけた料理にもできるし、ただ冷奴で十分な気分の日もある。
一度やりだすとこんなに楽でおいしい料理も中々ないから冷奴の頻度が増え、そしてそうなればなったでガツンとしたのもまた食べたくなって、そんなときに作るのが中華風の肉豆腐。
いつもの豆腐料理とは一味違う新鮮な味がしてそれでいてなんだかほっとする家感もあり、豆腐がおいしいもたまのガツンも兼ね備えたお気に入り。こういう外で出会えない料理こそ家で作る甲斐がある。

肉と豆腐、メイン食材にそれぞれ少し下ごしらえが必要だけど、中華風といいながら材料は見慣れたものがほとんどでその点気楽。
もう1つ鍵になるのが「時間」で、といっても仕掛けてしまえばあとは放っておくだけ。
煮込む料理はそもそもある程度時間がかかるもの、時間がいつのまにかおいしくしてくれて、温め直して食べるのがまたおいしいのも時間のおかげ。

豆腐のあの柔らかさはそもそも崩れるのが前提とも思われるし、形がどうこうなったって大して気にしなくていい。
そういえば、崩れて当たり前のものだからか料理するのが苦手という人に会ったことがない。
料理を簡単にするのも難しくしているのも、そんな心持ちひとつじゃないかなと思う。

■中華風肉豆腐の作り方■

【使った材料】
●豚肩ロース…150g、
(生姜焼き用などやや厚みのあるスライスがあれば便利)
●塩(塩豚用)…1.5〜2g
●木綿豆腐…2丁、食べたいだけ
●しょうが…20g〜、1かけくらい、皮付をむいて千切りに
●にんにく…20g〜、2かけくらい、叩いて潰してから薄切りに
●鷹の爪(輪切り)…ひとつまみくらい、お好みで
●サラダ油…15~20g
●紹興酒…30g
●醤油…30g
●水…100g

肉と豆腐の地味な下ごしらえが最後のおいしさにつながります。
出汁を使わないので、肉自体にコク旨味が多い肩ロースがこのお料理には最適。


①まず肉の下ごしらえから、塩豚を作ります
豚肉を7〜8mm幅くらいに切り、全体に行き渡るように塩を振ってからぴっちりラップで包んで、冷蔵庫で置きます。
この肉に塩を振る+置くには、旨味を増してその上しっとりさせる効果もあって、こうして塩豚にしてから煮ると旨味が十分に出た後でもただの出汁がらにならず、ふっくら煮上がってくれるから具としてもおいしく食べられる。

置く時間は、塩がまず溶けてから肉に染み込んだ感じがするまで、1時間〜これだけ前日にやって一晩寝かせても大丈夫。
前の晩やって次の日のに使う、朝やって出かけ帰って夜使う、帰ったらすぐやって他のことをやりつついい感じになったらその日に使う、などタイミングさえ工夫すればあとのことは肉と塩と時間がやっておいてくれます。

ちなみにこの塩豚は、炒め物、汁物の旨味出しなんかにも使える。

②次は豆腐の下ごしらえ、下茹でします

鍋に、水、塩少々と大ぶりに切った豆腐を入れ、冷たいところから弱火にかけて豆腐がフツフツと揺れるくらいまで温めます。

はっきり言ってちょっと面倒に感じる豆腐の下茹で、しかしおいしさのためには省きたくない重要な一手間。
これをすると崩れにくくそれでいてなぜかふっくら柔らかく、適度に水気が抜けることで味も決まりやすくなって、やらない方がこの料理は突然難しくなる。
ぷるんとした弾力を感じたら、ザルに上げて水気を切ります。

普段は断然絹ごし派、だけどこのお料理だけは木綿です。
近頃絹と木綿のいいとこ取りのような、柔らかめの木綿しっかりめの絹も見かけて自分も色々試しはするけれど、できればそのまま食べておいしい豆腐でまずは試してみてほしい。このあと甘味を全く使わないしっかり目で少々尖った味付けにしていくのを、豆腐の甘さと旨さで完成するイメージです。

③豆腐以外を炒めます
サラダ油を入れたフライパンでまずしょうが、続いてにんにく・鷹の爪を入れ少し色づくくらいまで炒めたら、塩豚も加えてほぐしながら炒め合わせます。


にんにくを叩いて潰してから切るのは、炒めたときに香りがよく出るようヒビを入れて断面を増やすため。
ガツンと香りは出したいけど、小さく刻みすぎて溶けてなくなってしまうのも困るからある程度の大きさも必要、で叩いて薄切り。
潰す時に包丁でやる人も多いけど、私は過去の苦い経験から安全のために絶対に刃物ではやらずヘラを使っています。

③豆腐を入れて煮ます
肉の色が大方変わったら、紹興酒、醤油を入れて混ぜ、一煮立ちしたら下茹でした豆腐、水を入れて、オーブンシートなどで落し蓋をして煮始めます。
紹興酒は中華風と称する味のポイントの1つなので、苦手でなければぜひ使ってください。

火加減は豆腐がクツクツ揺れる程度弱めの中火くらい、15分経ったら一度豆腐をひっくり返してさらに15分、合計で30分ほど煮込む。
下茹でして崩れにくくなるとはいっても豆腐であることに変わりはないから、あまりグラグラと豆腐が動くほどでは火が強すぎるし裏返すときもなるたけ優しく。
でも少々崩れたとしてレンゲや匙で食べるんだしなんの問題もない。


④で、完成です
煮汁が減り、豆腐がその旨味を含んだ感じがしたら完成。残りの煮汁ごと盛り付けて、是非汁ごと一緒に食べましょう。

ごはんのせも絶対。温め直して次の日にもおいしく。

豆腐がおいしいに気付けたことは、齢を重ねて良かったと思えることの一つ。
突然の気付きも、きっと今それが必要になったから。


それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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