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日記

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まいにちのなかで感じたこと思ったことの記録
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SUMMER!

SUMMER!

窓の外を見ている息子がふいに、かじ?と私に尋ねてくる。
発せられた言葉をすぐに変換できなくて、慌てて外の景色をさぐる。かじ?家事、火事?外に建ち並ぶ真っ赤なビル。

あれはゆうがたのいろだよ。ビルにおひさまのいろがうつってるんだよ。きれいだね。

言葉にするとあっという間だけど、その小さな枠にはとてもおさまりきらないような、光っていて透明な赤だった。

音も熱もぜんぶが空に引き寄せられ、吸い

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短くても長くても役に立っても立たなくても

短くても長くても役に立っても立たなくても

やっぱり私には書くということが必要で、気がつくといろんなものが中にずんずん溜まっていってしまうからやはりちゃんと定期的に出口を設けようと思った。一度止まってしまうと表出するのが難しくなるし怖くなる。それからぐるぐると苦しい。

毎日はあっという間に過ぎていき、一方でじりりとなかなか進まない重たい時間もたくさんあって、不均一。なるべく濃い時間をたくさん過ごしたいなと思うけど、だらんと間延びした時間

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日々

日々

街のまんなかはがらんどうで、人も少なく活気がない。

久々に通りがかったお気に入りのお店はつぶれて閉店していた。見上げた空には雲がずっしりと並んでいる。心なしか吸い込む空気も少し薄くなったような、全体的に淡いような。

透明になってしまったお店の数々が歩くたびに目に入り、この現実を突きつけられる。私たちの毎日に少しずつ追加されていく、あたらしい日常。

「もうお客さんとはその話しかしていないですよ

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朔日

朔日

あっという間に過ぎていく。信じられない速さで。 

それなのに毎日はのんびりとふやけていて、1日の流れは遅く感じる。 

日差しとともに張り付くセミたちの声は日々穏やかになり、吹く風の中にほんのりと秋の気配が感じられるようになった。 

まだまだ暑いけれど、たしかにやって来る新しい季節の訪れ。

発散しきれなかったエネルギーを放出するかのように
空からはいきおいよく雨がほとばしり、
閃光が走って夜

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ぐん、と手を伸ばして外側の世界に触れること

ぐん、と手を伸ばして外側の世界に触れること

買い物に出かけたら、隣の本屋さんが久しぶりに開いていた。

本屋さんに立ち寄るのもとてつもなく久しぶりだった。コロナ以前から本の購入はすっかりオンラインばかりになっていて、読みたい本は指先でスライドし、ピンポイントで指名買いすることがほとんどだった。

ぼんやりと棚を眺めていると、パチンパチンと心の中でなにかが弾けていくのがわかった。
自分の好きなものや興味のあるもの、ここ最近漠然と考えていたこと

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通過してしまう前にとどめておくための短い日記

通過してしまう前にとどめておくための短い日記

毎日生活してるって感じ。

うまく言えないけれど、夫もいて子どももいて三食みんなでお家でご飯食べて、寝て笑って毎日を生きている。

家にいても季節の変化は感じるし、最近は外の空気はあったかくて入ってくる風は涼しくて、そのバランスがとても気持ちいい。

近くで鳥の鳴く声が聞こえる。それから水が流れるような、さらさらと軽くて淡い音。
この近くには川もせせらぎもなにもないのになんだろう、どこかの家の水を

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波をつかまえようとする白くて小さな手

波をつかまえようとする白くて小さな手

子どもが眠る時間になっていつも、ああもう今日のこの子に会えなくなる、と思って寂しくなる。

だっこしてよー! とえんえん泣いたとき、もっと早く手を止めたらよかった。洗濯物なんて後回しにすればよかった。もっとたくさん絵本を読んだらよかった。もっと抱っこしてあげたらよかった。
なーんていつも思うのだけれど、たぶんどんなにやっても足りない。
どれだけ一緒に遊んでも抱きしめても、この時間になるともっと遊ん

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