記事一覧
世界が「べき乗則」で動いていると知った日にコーヒーが届く
マーク・ブキャナンという人の『歴史は「べき乗則」で動く』という本を読む。それによると、戦争も、地震も、火災も、種の絶滅も、みんな予測できない。
それは起きるときは起きるし、起きないときには起きない。それだけ。
けれども、俯瞰してみると、べき乗則(y=a^x)には従っているのだという。たとえば、戦争の規模とその発生数の関係など。
自分もたいへん気掛かりである地震も同様。地震予想は不可能だし、おそ
ピンクのポルシェとセブンスコード
街を歩いていたら、向こうから奇抜なピンク色のスポーツカーが走ってくるのが目にとまった。
私は車にはあまり詳しくないけれど、あれはたぶんポルシェだった。
乗っていたのは白髪のおばあさんだった。颯爽と、バスを追い抜いていった。
じょわーっと体内に泡がたって、元気がわいてきた。
というわけで久々の更新だ。おばあさんのおかげかせいか、ふと日記を書きたくなった。いつまで続くかわからないが、書き続けてみる。
自分がいない映画、『ハッピー・アワー』
いつか観ようと思っていながら5時間というボリュームに尻込みしていた濱口竜介監督の『ハッピー・アワー』をようやく観た。通して観る時間がなく、何回かに分けて観た。一秒たりとも観るのをやめようかなと迷いさえしなかった。飽き性のはずの自分に驚いている。そして本作を観ていた数日、夜が待ち遠しかった。
この作品は、いわゆる細雪型のフィクションだ。谷崎潤一郎の『細雪』にちなんで勝手にそう呼びたい。
何人か(3
約20年ぶりの『もののけ姫』
初めて『もののけ姫』を観たのはおよそ20年まえのことだ。
なんとなく劇場に足を運び、結果、あまりに圧倒されて身動きできなくなった。その意味が知りたくて、何度も劇場に足を運んだ。あれだけ執着した映画だったのに、それ以来、観ることはなかった。たぶん、なんとなく観たくなかったのだと思う。ちょっとしたトラウマみたいな。
思い出してみると、冒頭から主人公アシタカが「タタリガミ」の呪いにかかるシーンに打ち
ひっさびさにDVDで映画を観る
生来あまのじゃくなのだろうか。
ご存知のように新型コロナウィルスが蔓延し、ステイホームが叫ばれ始めて以降、めっきり、DVDでさえ映画を観なくなった。
都心に住んでるわけでもあるまいし、とっとと有料動画配信サイトと契約すればいいものを、どうも私の身体は、わざわざレンタルショップまで出向いて観たい作品を借りてくることに何らかの意義を見出しているらしい。
それはおそらく、近年、ますます映画館で映画
「時間は存在しない」件について、「忘却」の謎について
ぼくは頭が良くないので、実感からしかものを考えることができない。
「時間は存在しない」という実感にここ10年くらい、とらわれ続けている。1年が経てば1歳としをとるけれど、そんなの嘘だと思っている。あえて年齢という視点で見れば、老いというのは規則的に進むものではなくて、ある時突然きて、そのまま2週間もしないうちに死んでしまう、というケースをいくつも見てきた。そしてそれは、環境の変化という負荷による
J.S.バッハ『無伴奏チェロ組曲』が気になって
先日、ピーター・バラカン氏がパーソナリティーを務めるラジオ番組を聴いていたら、ある本を薦めていた。
Eric Sibling,"The Cello Suites: In Search of a Baroque Masterpiece"
という本。
J.S.バッハと、チェリスト、パブロ・カザルスファンの間では常識となっている話だけれど、
バッハの『無伴奏チェロ組曲』、つまり、チェロ1本だけで
VIVA!養老孟司の番組
ふだんテレビはあまり観ない。極力観ない。
でも、たまたま見つけた養老孟司とその飼い猫「まる」を特集した番組にハマった。そしたら3回だけで終わってしまった。残念。
養老孟司は、言わずと知れた(!?)元解剖学者。80歳を超えている。飼い猫まるも良い勝負。養老孟司というと、『バカの壁』。バカの壁というと、最近とみに、「バカのABE」という言葉ばかりが連想されて仕方がないのだけれど、それはひとまず忘れ
濱口竜介の短編映画、『天国はまだ遠い』
世間的に間接的に物議をかもしているらしい映画『寝ても覚めても』の監督、濱口竜介の撮った30分強の短編映画『天国はまだ遠い』が無料公開されているのを知って、観た。
原作者、柴崎友香のファンであり、『寝ても冷めても』を現代日本文学の傑作のひとつとして数えている自分からすれば、本作が映画化されるとなれば観ないわけにはいかない。そうして、濱口竜介映画に出会った。観終わったあと、ところどころ不満はあるもの
トッド・フィリップス監督『ジョーカー』を観た。一粒の涙を滴らせて。
子どもの頃、父に連れられて行った、ドイツにまつわるイベントで、奇妙な仮面をつけたピエロに会った。サーカスも観た。ピエロは、頭の上でヴァイオリンを弾いていた。曲まで覚えている。ヴィヴァルディの「春」だった。魅了された。
その夜、ピエロの夢を観た。内容は覚えていないが、まるで現実みたいな夢だった。その幻想的な夢がさめたとき、がっかりしさえした。
それ以来、ピエロは私にとって原光景のひとつになった。
検査に行こう! という暴力
まず自分は医療の専門家ではないということを断っておきたいと思う。というのは、責任逃れのためではない。逆に、なまじっかな知識があると思われたらたまらないからだ。また、私は科学としての医療を否定する者ではないということも断っておきたい。
それにしてもだ。私のパートナーは、悩んでいる。それを見るにつけ、この、社会的な広報活動が有害なものに思えて仕方ないのだ。
というのは、詳しくは書かないけれども、婦
ニューヨーク公共図書館
フレデリック・ワイズマン監督のドキュメンタリー『ニューヨーク公共図書館 エクスリブリス』を観た。ちなみに、エクスリブリスとは、ラテン語で、蔵書票を意味するらしい。
3時間強ある上映時間。でも、まったく飽きることがなかった。
ニューヨーク公共図書館というのは、ずいぶん大規模な図書館らしい。まったく知らなかった。分館がたくさんあり、それぞれが地域に密着した活動をしている。
「公共」図書館とはいえ