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本当に解決しなければならない問題
ドストエフスキー『虐げられた人々』感想文
冒頭でお爺さんが死んだ場面の後は、ひたすら地味な内容だった。ストーリーのラインがぼんやりしているわけではなく、むしろサービス精神旺盛なくらいに起伏に富んでいるが、主なテーマである結婚する・しない、家族を許す・許さない、財産を騙し取られた等といった話に、私は全く興味がないのである。登場人物たちはことあるごとに叫んで、泣いて、痙攣して、失神して、抱擁して、
手の力だけで、優しく。
赤ちゃんを吸いすぎている、犬猫の生殖器を切りすぎている、と言うと怒る人がいて、傷つく人がいる。汚れに敏感な私たちに、どういうやり方で成功したのだろう。
動物を殺しすぎている。
毎日、何頭も殺す。食べる、食べない関係なく殺す。産ませて殺す。増やして殺す。戦争よりも殺す。犯罪よりも殺す。数万、数百万のやり返さない、武器を持たない、人間に好意を抱き、助け合うこともある優しい生き物を殺す。
蓋をし
映画『PERFECT DAYS』に関して
映画『PERFECT DAYS』に関して思うこと。
トイレ清掃員は不浄を扱う故に不幸なのではない。
それに聖人でもない。
真に受けて「私たちの代わりに言ってくれてありがたい」などと抜かしている場合ではない。
本当の彼の不幸は、プラ素材の小さな蓋の性質上、蓋を床に置いた時に思いの外音が響いて、建物内の若い女性に箱を覗いたことが伝わってしまうことである。
常時人手不足の業界であり、開く時に
家族:Vol.3-ラットサイン
「もうすぐ殺されるかもしれない」
今ではこの感覚がよくわかる。隣人トラブルの被害者が、殺害の数日前に予言めいてそう言い残す感覚が、すごくわかる。恐怖というより、どことなく冷めたような感じの、やれることはやったけど、すべては無駄だった、理屈の通じない相手だった、警察も役に立たなかった、と知った時の、不思議と涼しいような感覚。フッ、と自嘲的に苦笑を漏らしてしまうあの感じが、すごくしっくりくる。
令和 RED LINEs in (T)&(C) :2/2
『小田原FC』アマゾン物流拠点、第三ホーム&キッチン棟、16:43。
「急げ、いそげ! ヨドバシ・コムは十円最安値を潜ってくるぞ、カスタマーに気取られる前に、出荷タスクを完了しろ!」
ラッパ型のスピーカーが割れるほどの声が、石造りの壮麗な神殿を思わせる巨大な倉庫内に響く。十階建てビルの高さほどもある鋼鉄製のパレットラックが、戦没者慰霊碑のように整然と立ち並び、広大な灰色の空間を升目状に区切ってい