臼杵ともがら

検査などで異常はないのに、挿入後は(1週間後)、1ヶ月後または3ヶ月後、6ヶ月後に受診…

臼杵ともがら

検査などで異常はないのに、挿入後は(1週間後)、1ヶ月後または3ヶ月後、6ヶ月後に受診が必要、その後は6ヶ月毎に香炉を(かゆの煮えくずれたように)入れ替える。うろこ状の子供に多い。

記事一覧

褒めマウンティング

 Backroomsとは何か。ゲームなのか、映像作品なのか、芸術なのか、3DCGデザイナー学科の卒業制作なのか。Wikipediaを読んでもよくわからない。YouTubeの映像を見る限り、…

臼杵ともがら
19時間前
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本当に解決しなければならない問題

ドストエフスキー『虐げられた人々』感想文  冒頭でお爺さんが死んだ場面の後は、ひたすら地味な内容だった。ストーリーのラインがぼんやりしているわけではなく、むしろ…

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生きててよかった肌鬼。

 昔むかしあるところに、肌色の肌をした鬼、肌鬼がいました。肌鬼は、いつも一人ぼっちでした。人間と同じ肌の色をしていたので、鬼たちの仲間に入れてもらえなかったので…

臼杵ともがら
2か月前
3

あそこに良い所。

 秋、家にネズミが出た。天井裏から足音がする。毒餌を放り投げる。静まり返る。別ネズミが来る。家族を作る。毒餌を放り投げる。静まり返る。別ネズミが来る。  冬、足…

臼杵ともがら
2か月前
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手の力だけで、優しく。

 赤ちゃんを吸いすぎている、犬猫の生殖器を切りすぎている、と言うと怒る人がいて、傷つく人がいる。汚れに敏感な私たちに、どういうやり方で成功したのだろう。  動物…

臼杵ともがら
2か月前
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群れ

 中年になって初めて川の傍に立たされた私は、よく子供を諌める際に巨大な摂理の例として引き合いに出される話とは大きく違うことに驚いた。当然、老人を食べる小麦色の渦…

臼杵ともがら
2か月前
4

ネズミのことば。

その信頼、どっこいリーチでした。 でも演技してた訳じゃありません。 制服をお返しできず済みません。 でも誰かが返却してくれたかもです。 クリーニングできず済みま…

臼杵ともがら
3か月前
3

だれでもよかった。

 生々しさは全くなくて  光に包み込まれるような  それを前にしたら  なんの感情もわかないような  元々何もなかったみたいに。  どこか遠くに離れているけど  私…

臼杵ともがら
3か月前
2

映画『PERFECT DAYS』に関して

 映画『PERFECT DAYS』に関して思うこと。  トイレ清掃員は不浄を扱う故に不幸なのではない。  それに聖人でもない。  真に受けて「私たちの代わりに言ってくれてあり…

臼杵ともがら
3か月前
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少しして男子の番。

 私は事務的な会話からそろそろ踏み込めそうな頃合いに、 「ごっつはよく観てましたよ」  と同世代の相手に持ちかけることを交流の定番にしていた。同意を得られる確信と…

臼杵ともがら
3か月前
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≒親友

 茶色いイガイガのあるうろこ状の鉄球が、こちらに向かって転がり続ける様子を眺めながら、自然な間が不穏な空白へと変わるほんの二、三秒間のうちに、バカと呼ばれてない…

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家族:Vol.3-ラットサイン

「もうすぐ殺されるかもしれない」  今ではこの感覚がよくわかる。隣人トラブルの被害者が、殺害の数日前に予言めいてそう言い残す感覚が、すごくわかる。恐怖というより…

4

Good Vibrations

 徹底して餌を与えない。なぜなら要求はエスカレートしていく。切りのない「もっと、もっと」が続く。小さなきっかけの時点で潰すのが最善だ。絡み合いながら海の底に沈ま…

5

家族:Vol.2-na na na…big loaderrr

 窓が開いている、怪しい。挨拶している、怪しい。頭を下げた、怪しい。微笑んでいる、怪しい。麦茶を出した、怪しい。話を聞いている、怪しい。椎茸を受け取った、怪しい…

4

家族:Vol.1-ご準備が間に合わない場合はこちら

 待っているハガキは、その日も入っていなかった。木屑が底にうっすら積もっているだけの自宅ポストのアルミニウムの蓋を閉め、鍵を閉めながら、私は軽く首をかしげる。 …

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令和 RED LINEs in (T)&(C) :2/2

『小田原FC』アマゾン物流拠点、第三ホーム&キッチン棟、16:43。 「急げ、いそげ! ヨドバシ・コムは十円最安値を潜ってくるぞ、カスタマーに気取られる前に、出荷タ…

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褒めマウンティング

 Backroomsとは何か。ゲームなのか、映像作品なのか、芸術なのか、3DCGデザイナー学科の卒業制作なのか。Wikipediaを読んでもよくわからない。YouTubeの映像を見る限り、窓のない黄色っぽいオフィスや廊下の無機質な空間を歩く、というストーリーもあるようなないような感じだ。様々な部屋があるが代わり映えせず、共通の基本ブロックの組み合わせで作られているように見える。それが自己増殖してい

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本当に解決しなければならない問題

ドストエフスキー『虐げられた人々』感想文

 冒頭でお爺さんが死んだ場面の後は、ひたすら地味な内容だった。ストーリーのラインがぼんやりしているわけではなく、むしろサービス精神旺盛なくらいに起伏に富んでいるが、主なテーマである結婚する・しない、家族を許す・許さない、財産を騙し取られた等といった話に、私は全く興味がないのである。登場人物たちはことあるごとに叫んで、泣いて、痙攣して、失神して、抱擁して、

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生きててよかった肌鬼。

 昔むかしあるところに、肌色の肌をした鬼、肌鬼がいました。肌鬼は、いつも一人ぼっちでした。人間と同じ肌の色をしていたので、鬼たちの仲間に入れてもらえなかったのです。人間と仲良くしようとしても、頭にツノが生えているので、それもできません。
 孤独のまま中年になった肌鬼は、ある日ふと思いました。
 俺はだまされてきたんじゃないか。
 鬼は鬼なりに、人間は人間なりに、誰もが幸せそうに見えます。仲間同士で

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あそこに良い所。

 秋、家にネズミが出た。天井裏から足音がする。毒餌を放り投げる。静まり返る。別ネズミが来る。家族を作る。毒餌を放り投げる。静まり返る。別ネズミが来る。
 冬、足音はいっそう増えた。毒餌を投げ入れる天井の穴が光り出した。
 毒餌が尽き、年が明けて元旦の朝、お爺さんが靄の中から出てきた。早足で物凄い音で雪を踏みながら物凄い顔をしていた。近所に住んでいるお爺さんだった。
 玄関の鍵を閉めるのが間に合わな

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手の力だけで、優しく。

 赤ちゃんを吸いすぎている、犬猫の生殖器を切りすぎている、と言うと怒る人がいて、傷つく人がいる。汚れに敏感な私たちに、どういうやり方で成功したのだろう。
 動物を殺しすぎている。
 毎日、何頭も殺す。食べる、食べない関係なく殺す。産ませて殺す。増やして殺す。戦争よりも殺す。犯罪よりも殺す。数万、数百万のやり返さない、武器を持たない、人間に好意を抱き、助け合うこともある優しい生き物を殺す。
 蓋をし

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群れ

 中年になって初めて川の傍に立たされた私は、よく子供を諌める際に巨大な摂理の例として引き合いに出される話とは大きく違うことに驚いた。当然、老人を食べる小麦色の渦なんて存在しない。変装する人間を機械にしたり堕落に誘うといったことがデタラメなのは、夜の街を急ぐマムたちの背を見てもわかる。月の光を浴びて配給のリュックが青く発光するのは、ヘソの緒を何年も行き来してきたことの証拠だ。彼女たちが笑いながらブラ

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ネズミのことば。

その信頼、どっこいリーチでした。

でも演技してた訳じゃありません。

制服をお返しできず済みません。

でも誰かが返却してくれたかもです。

クリーニングできず済みません。

流れ弾、当たってしまい済みません。

去年の暮れあたりから時々あれ?

と思ったらしいですね。正解です。

でもあなた達が聞いたという警告。

あれは間違いです。無理もない。

冷たくされたことは恨んでません。

あなた達

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だれでもよかった。

 生々しさは全くなくて
 光に包み込まれるような
 それを前にしたら
 なんの感情もわかないような
 元々何もなかったみたいに。

 どこか遠くに離れているけど
 私がいないと起きない仕組みで。

 痛みは感じないし
 誰も悲しまないし
 服が汚れることもない。

 たくさんの人たちが
 死なないで
 ちゃんと見ていて。

 摂理だったのかもね。
 摂理じゃしょうがないね。
 なんて微笑み合って。

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映画『PERFECT DAYS』に関して

 映画『PERFECT DAYS』に関して思うこと。
 トイレ清掃員は不浄を扱う故に不幸なのではない。
 それに聖人でもない。
 真に受けて「私たちの代わりに言ってくれてありがたい」などと抜かしている場合ではない。
 本当の彼の不幸は、プラ素材の小さな蓋の性質上、蓋を床に置いた時に思いの外音が響いて、建物内の若い女性に箱を覗いたことが伝わってしまうことである。
 常時人手不足の業界であり、開く時に

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少しして男子の番。

 私は事務的な会話からそろそろ踏み込めそうな頃合いに、
「ごっつはよく観てましたよ」
 と同世代の相手に持ちかけることを交流の定番にしていた。同意を得られる確信と期待を込めて、実際思った通り、ネット普及前の暇つぶしなど大体がテレビ一択の上、その中から数個の似たり寄ったりの番組をぷちぷち回していたのだし、労働者階級の私と縁のある放映当時中高生だった頭頂部が薄くなり始めた決して目を合わせることのない男

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≒親友

 茶色いイガイガのあるうろこ状の鉄球が、こちらに向かって転がり続ける様子を眺めながら、自然な間が不穏な空白へと変わるほんの二、三秒間のうちに、バカと呼ばれてないか、イラつかせてないか、膿栓臭が鼻腔を刺激してないか、と貧相な数少ない選択肢の中から、少しでもましと思われるものを差し出す作業を、少しでもヘマをしたら安全な場所を確実に取り上げられるルールの下で、まだ恨まれているか、うまく笑えているか、愛さ

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家族:Vol.3-ラットサイン

「もうすぐ殺されるかもしれない」
 今ではこの感覚がよくわかる。隣人トラブルの被害者が、殺害の数日前に予言めいてそう言い残す感覚が、すごくわかる。恐怖というより、どことなく冷めたような感じの、やれることはやったけど、すべては無駄だった、理屈の通じない相手だった、警察も役に立たなかった、と知った時の、不思議と涼しいような感覚。フッ、と自嘲的に苦笑を漏らしてしまうあの感じが、すごくしっくりくる。

 

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Good Vibrations

 徹底して餌を与えない。なぜなら要求はエスカレートしていく。切りのない「もっと、もっと」が続く。小さなきっかけの時点で潰すのが最善だ。絡み合いながら海の底に沈まないためでもある。しかしご馳走を与えなければ、今度はそれを面白くないと思う者が少なからず現れる。ただし、ライフラインを共有していない以上、感知しようのない完全に分離した空間で、彼らが勝手に踊っている状態だ。ノーダメージ。反応しようがない。そ

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家族:Vol.2-na na na…big loaderrr

 窓が開いている、怪しい。挨拶している、怪しい。頭を下げた、怪しい。微笑んでいる、怪しい。麦茶を出した、怪しい。話を聞いている、怪しい。椎茸を受け取った、怪しい。餅を返した、怪しい。物干し竿を買い替えた、怪しい。布団を新しくした、怪しい。灰色のパーカー、怪しい。今日はスニーカー、怪しい。髪を切った、怪しい。バイクがない、怪しい。置き場が移動した、怪しい。土間を掃いている、怪しい。ソファの位置を変え

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家族:Vol.1-ご準備が間に合わない場合はこちら

 待っているハガキは、その日も入っていなかった。木屑が底にうっすら積もっているだけの自宅ポストのアルミニウムの蓋を閉め、鍵を閉めながら、私は軽く首をかしげる。
 このひと月ほど、毎日がこの繰り返しである。辺りが薄暗くなってから、集落の老人たちが家路につき、ある者は風呂に薪を焚べ、またある者はその日の県内の疫病感染者数を報じるテレビの前に着座し始める頃。私は林道に人影がなくなったのを見計らって家を出

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令和 RED LINEs in (T)&(C) :2/2

『小田原FC』アマゾン物流拠点、第三ホーム&キッチン棟、16:43。
「急げ、いそげ! ヨドバシ・コムは十円最安値を潜ってくるぞ、カスタマーに気取られる前に、出荷タスクを完了しろ!」
 ラッパ型のスピーカーが割れるほどの声が、石造りの壮麗な神殿を思わせる巨大な倉庫内に響く。十階建てビルの高さほどもある鋼鉄製のパレットラックが、戦没者慰霊碑のように整然と立ち並び、広大な灰色の空間を升目状に区切ってい

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