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>「でも、なぜ?という疑問が襲ってきたのです。あなたは経験がおありですか。この、なぜ、という一語のせいで、ほとんど__狂気に陥った経験が?」葉巻の火が消えていた。
トマス・ピンチョン, V.(上),小山太一・佐藤良明 訳, p.253
>面識もない人の人生にズカズカと割って入って他人の貴重な時間を奪い取るということを、この好色の歯科医はフランチャイズ方式でやっている。
ヴァインランド, トマス・ピンチョン著, 佐藤良明訳, p.328
>初めて目にする我が子の顔は、片眼はまだピッタリ閉ざしたまま、もう片方はグリグリとかなり激しく動いている。すげえ、オレにウィンクしてる、とゾイドは解した。
ヴァインランド, トマス・ピンチョン, 佐藤良明訳,p.408
>天秤の雪と釣り合ふ天使かな
花と夜盗, 小津夜景
>「コワントローを一杯やりませんか、神父さん」
>「コワントローはいけません」神父が言った。「教えによって禁じられています。だが、もし差しさわりがなければ、自分宛に特例許可を出そうと思いますが」
北京の秋, ボリス・ヴィアン, 野崎歓 訳, p.153
>「シェーンメイカーが一銭も出してくれないって? そんな当たり前のこと言うなよ。ねえ、賭けをしないか。生まれてくる子は、きっとデカい鉤鼻つきだぜ」
>このひと言でエスターは黙り込んだ。心優しいスラッブは、ショック療法の信奉者である。
ピンチョン, V.(下), p.166
>話を続けたくて降りてきたグルームズマンは、毛ジラミに関する新説を披露する。土曜の晩、連中は陰毛の木立の中でカントリー・ダンスを踊るというのだ。
トマス・ピンチョン, V.(下),小山太一・佐藤良明 訳, p.201
>目がよだれを垂らしているとでもいうか、まぶたはしなびた花の花びらが、軽く押しつぶされてくにゃりとなって、半透明になっているみたいだった。
北京の秋, ボリス・ヴィアン, 野崎歓 訳, p.119
>自由時間とは、その間に人びとが行うすべての遊び的活動のことのように思われるが、それは何よりもまず時間を無駄にする自由、時間をつぶしたり、純粋に浪費したりする自由のことなのである
消費社会の神話と構造, ボードリヤール, p.266
>だれだって当然、やつはあなたに似ていますねって言われるほうを好むもので、その逆の、あなたはやつに似ていますねじゃない。
絶望, ナボコフ, 貝澤哉, p.24