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[小児科医ママが解説] 「アトピー」と「湿疹」の見分け方。

薬ぬらないと、すぐ赤くなる。
うちの子、アトピーなのかな?

私がアトピーだったので、
この子にも、遺伝しちゃったかなと思って。
不安です。

今日はこんなご心配に、お答えしていきます。

「かゆそう」「乾燥」はアトピーの診断基準だけど…


こちらに詳しく書きましたが、
アトピーの診断基準は、世界中で様々なものがあります。

ただ、どの診断基準にもだいたい共通しているのは

・かゆそう
・乾燥している

という項目です。

でもこれ、乳児湿疹でも出る症状です。

(そもそも、乳児湿疹というのは「赤ちゃんに起こる、何らかの肌トラブル」の総称です。この中に、アトピーも含まれます。)

つまり、アトピーでも、アトピーではない湿疹でも、
いずれも「かゆそう」「乾燥している」といった症状はでます。

どちらも、肌に炎症が起きている状態だからですね。

赤ちゃんのアトピーは「顔」に出る。でもただの湿疹も「顔」に出る。


「かゆそう」「乾燥」では、アトピーかどうかは判断できない。

では、湿疹が出ている場所では、判断できるか?
これも、実はむずかしいです。

というのも、特に赤ちゃんのアトピーは、顔から湿疹が出るからです。

大人のアトピーというと、腕や足のイメージがあると思います。
が、3歳以下のお子さんは、ほっぺたやおでこなどにアトピーの症状が出ます

一方、アトピーでない湿疹でも、赤ちゃんはお顔に湿疹が出やすいですよね。顔は乾燥やよだれなどによって、湿疹が出やすい場所です。

ということで

「湿疹が出てるのは顔だから、これはアトピーじゃないよね?」

とは言えないのです。

「グジュグジュ」かどうかは、関係ない。


また「アトピー」というと

液が出てるような
グジュグジュした感じ

をイメージする人もいるかも知れません。

ただアトピーの初期症状は、「ただの赤みだけ」です。

これは、アトピー以外の湿疹と、ぱっと見ただけでは区別できません。

ということで、ここまでの話では

アトピーか、アトピーでないかは、
「肌の見た目では、区別できない。」

ということになります。

家族がアトピーだと、アトピーになる?


家族がアトピーだと、その子もアトピー?というのも、
気になるところですね。

結論からいうと

両親や兄弟が
・アトピー
・アレルギー性鼻炎 / 結膜炎
・食物アレルギー
・喘息
などがあれば

アトピーの可能性は高くなる

ということです。

これは過去noteでご紹介した、
世界各国のアトピー性皮膚炎の診断基準にも、含まれていましたね。

ただ、もちろんご両親や兄弟がアトピーだからといって、
すべてのお子さんがアトピーになるわけではありません。

ただ、ご両親や兄弟に全く上記のような疾患がないお子さんに比べると、

湿疹を見た時、
「この子アトピーかもしれないな?」と、
医師が考える確率が高くなりますよ。

というニュアンスです。

ちなみにお子さん自身が、アレルギー性鼻炎/結膜炎や食べ物のアレルギー、喘息などをお持ちの場合も、「この子は、アトピーもありそうかな?」と考えます。

「アトピーかどうか」よりも、肌に合わせて「正しく薬を使うこと」が大事。


…ということで、アトピーかどうかの判断は、
医師でも正直むずかしいです、ということをお話ししてきました。

アトピーかどうか、診断できなかったら、
治療が手遅れになっちゃうんじゃないの?!

と思うかもしれません。

が、実は「アトピーかどうか」の診断は重要ではありません。

というのも、基本のケアは「アトピーかどうか」に関係なく、共通しています。

どんなお肌にも

・保湿
・洗浄
・赤み(炎症)が強い場合は、ステロイド

が大事なんですね。
これはアトピーかどうか、は関係ありません。

(最近はアトピー専用の、免疫を調節するような塗り薬も開発されてきました。そうした専用のお薬は、こういうケアでも良くならない場合に、アトピーと診断したうえで、使うものです。)

なお保湿のポイントは、過去noteにまとめました。

また「アトピーを予防できるかどうか?」「受診の目安」などについても、
過去noteをご覧ください。


正しい医学的な知識をもつことで、
赤ちゃんのケアが毎日安心しておこなえるように、
これからも発信していきたいと思います。

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