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"歴史" 系 note まとめ

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2020年4月の記事一覧

出版するメリットって何?

3年前に歴史+医療のエッセイ本を出した経験から、出版のメリットをお話いたします。 1. 金銭的メリット 印税 言わずもがなですが、印税が入ります。額は契約にもよりますが定価の10%前後です。定価1000円の本であれば1冊100円です。1000冊で10万円、1万冊で100万円の印税ですが、私の出したジャンルで1万冊売れればベストセラーです。もちろん私の本がそんなに売れるハズはなく最初の1年の印税が10万円で、次年度からは1-2万円程度です。買ってください(切実)。 経費

西洋古代史オンライン史料集

 現在、COVID-19の影響で、休業・閉館している書店や図書館が多く、またAmazonでは洋書の多くが入荷時期未定の状態にあり、古代史を勉強する上で必要となる古典史料を入手したり閲覧したりが困難になっています。  この記事は、ご自宅にいながら閲覧可能な古典文献・碑文・パピルス史料・古銭のデータベースを紹介するものです。皆様の興味・関心にあわせて色々試してみてください。 【古典文献】 Perseus http://www.perseus.tufts.edu/hopper/

ベトナム軍事歴史博物館の日本製四一式山砲

 ハノイのホーチミン廟にほど近い軍事歴史博物館。その構内にあるベトナム国旗はためく「旗の塔」の下に、大砲が誇らしげに陳列されている。説明プレートには次のように書かれている。  「755大隊675砲兵中団所属の英雄フン・ヴァン・ハウ率いる第二砲兵中隊は1954年3月24日から5月7日まで戦闘に参加、ディエンビエンフーの中心に位置するフランス軍の105mm砲5門、弾薬庫1箇所を破壊した。」  ディエンビエンフーの戦いは、フランス植民地主義との戦いでの決戦となった。フランス軍は

(2020年6月19日追記)日本語で学ぶアメリカ史 noteの目的

アメリカ史を学びたい皆様、こんにちは。 Twitterで「日本語で学ぶアメリカ史」をスレッド投稿しています。教材はDavid M. Kennedy and Lizabeth Cohen "The American Pageant" 16th ed.でしたが、2020年6月19日よりJoseph L. Locke and Ben Wright, eds, "The American Wawp"へと変更しました。 noteでは以下の活動を予定しています。 1. ツイートをま

カレーから見る世界史5(ジャガイモの伝播②)

北海道での栽培と全国展開ジャガイモは、18世紀には北海道で栽培されるようになった。 長崎から伝わったものと考えられますが、ロシアから持ち込まれたという説もある。 その後、天保7(1836)年に蘭学者の高野長英が『勧農備荒二物考』を表し、穀物の不作に備える救荒作物としてソバとジャガイモの栽培を提唱するなどして、主に東日本に普及した。 一方、同じ救荒作物で、青木昆陽が享保20(1735)年に『蕃薯考』で提唱したサツマイモは17世紀初頭に沖縄に、18世紀初頭に鹿児島に伝わり、そ

縄文人に見る “祈りと感謝” の精神文化〜その1〜

執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰 縄文人は、祈りと感謝の精神文化を頑なに守り続け、1万年もの長きにわたって自然循環型文明を築きあげてきた。「縄文とは何か?」の始まりは、小林達雄氏が著した「縄文の思考」からの引用を始まりとしたい。 小林氏は「日本列島に人類が姿を現したのは、一体、いつのことか。人類学・考古学の最大の関心事ではあるが、依然としてその詳細を見極めることはできない。少なくとも約3万年前から1万5000年前までの、いわゆる後期石器時代に相当する遺跡は北海道から九州

【時代区分】「歴史の地図」を手に入れよう!

「聞くタイミングが分からなかったのですが……今、どこの話をしているのですか?」 歴史のストーリーを説明しているときにこの質問を聞くと やってしまった〜 という気持ちになってしまいます。今、どの時代のことを扱っているのか、迷子状態にしてしまったという気持ちになってしまいます。 そこで活躍するのが、時代区分です。ちょっと難しいかもしれないけど、この時代区分を知っているだけでも、勉強しやすくなるはず。 話のPointをかいつまんで説明すると ・時代区分が分かっていると、

近代日本舞踊史 関東大震災から戦前まで Ⅰ

第三節 新舞踊の隆盛 大正12年(1923)関東大震災によって江戸時代以来の建物の多くが灰燼に帰した。これによって東京はモダンな帝都へと変貌を遂げていくこととなる。そして、舞踊もこれと無関係でいることは不可能であった。有楽座や帝国劇場も甚大な被害を受け、以後、公演の場として帝国ホテルの演芸場がその重要性を増してゆくのである。 一、藤蔭会と勝本清一郎 静枝の病に加え、関東大震災と立て続けに予期せぬアクシデントに見舞われた藤蔭会だったが、震災の直後に早くも第十三回と第十四回を

【読書と旅行】歴史を知らずに旅行なんて出来ないと思ってる

このところ、読書コラムなるものを書き始めて、基本的にはビジネス書を中心とした書籍の紹介をしているんだけど、小説でも旅行記でも歴史本でもカテゴリを問わずに結構な本を読んでいる。 何かを調べるリサーチ業務を職業のメインにしてきたので、情報を集めることが好きだし、だいたい何にでも好奇心を持つことができる。 で、旅行というものについて考えてみると、私は1回の旅行には3つの楽しむべきステージがあると思っていて、「下調べ」「現地」「深堀り」みたいな感じに分けられる。すべての旅行者が楽

東大生ラッパーと大雑把につかむ世界史【おわりに】

 こんにちは!東大生ラッパーの法念です。前回は「第17章」で「冷戦」の話をしました。(目次はこちら)  今回は、ついに最終章ですよ! ではいきましょう。  「はじめに」で、古代地球上にいくつもの「世界」ができたというお話をしました。今は世界といったら「地球」を思いうかべるけど、昔の人は違うはずだ、というお話を覚えていますか?  いくつもの「世界」が地球という一つの「世界」にまとまっていく様子をみるのが、この講座の目的でした。その際、バラバラの経済が一つの経済になる流れ、バ

なぜどの世界史の教科書も「アテネ」と「スパルタ」しか扱わないのか?〜ポリスの与太話〜

こんにちは、皆さんは高校などで世界史を学んだことはあるでしょうか? 世界史を学ばれた方なら必ず通るのが「古代ギリシア」です。 少ししかやってない!という人も古代ギリシアというフレーズについては覚えているでしょう。 ○アテネとスパルタ古代ギリシアについて学ぶことはそう多くはありませんが、だいたいどの教科書にもこのようなことが書いてあると思います。 「古代ギリシア人たちは、それぞれ都市国家(ポリス)を建設し、交流を行いながらもしばしば戦争を行った」 皆さんは、この文から「あ

ジャパニーズ ギャルの大研究

はじめに私が初めて「ギャル」という言葉に重く触れたのは、高校生の時だった。学校の図書室で上野千鶴子の『セクシィギャルの大研究』を読み、その時に1982年発行という表記を見て、随分と昔からギャルという言葉が使われていたことを知った。しかし『セクシィギャルの大研究』から40年近くが経ち、当時使われていた「ギャル」という言葉の指す意味は大きく変わり、膨大なコンテクストを背景にもつビッグワードとなった。特に2010年代に、ギャルは大きくその形を変えた。死を宣告されたこともあったし、様

長期戦になるかもしれないときの心のもちよう

「スペイン風邪」について言及されている記事をいくつか読んだ。 スペイン風邪とは、第一次世界大戦中の1918年に大流行したインフルエンザで、世界中で5億人が感染し、2000万〜4500万人が亡くなった。 当時の人口は20億人だから、現在なら1億人が亡くなるに近い大規模なパンデミックであった。 この100年前のパンデミックが、いま、不気味に語られるようになってきたのは、スペイン風邪のウイルスは、途中で変異し、第二波、第三波の流行を引き起こしたからである。 それがくり返され

『発酵』×『ジェンダー』 農村における主婦の誕生と味噌の製法の関わりと伝統

コロナ禍は非常に厳しい状態で、なかなか普通の発酵コンテンツを書くタイミングを逸していましたが、今日は発酵です。『発酵』×『ジェンダー』で組み合わせるお話。 と言っても、今日は本の感想と紹介です。ご紹介するのは、矢野敬一著「家庭の味」の戦後民俗誌―主婦と団欒の時代 (越境する近代)という本、 『主婦』『家庭』の誕生を書いた本ですが、その流れの説明として、味噌の製法の変遷が載っていました。 元々、この本を手に取ったのはnoteに、個別の発酵食品の歴史でも書こうと思ってたとこ