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"歴史" 系 note まとめ

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2021年6月の記事一覧

「神聖ローマ帝国の死亡証明書」の創作者/ヨハンネス・ハラー『ドイツ史概観 ドイツ史の諸時期』

最後にして最大の宗教戦争・三十年戦争を終結させたウェストファリア条約。神聖ローマ帝国を有名無実化したとされるこの条約は「神聖ローマ帝国の死亡証明書(死亡診断書)」と言われている。その言葉の出もとこそ戦前に出されたこの本である(たぶん)。教科書で知られるこの言葉は、著者:ヨハンネス・ハラーのナショナリズムからくる、辛辣な歴史意識に基づいた慨嘆だった――(文・二重川統光) 1648年、ウェストファリア条約(ヴェストファーレン条約)が締結され、ドイツを中心に戦われた“最後にして最

「お取り寄せ」つけめん!日本初は室町時代。体験記vol.53(厳選お取り寄せTOP100)

新しい生活様式が提唱され、三密を避けた新生活がスタートしています。そんな新生活の中で、今まで携わらなかった家事に携わる経験を積み日々の大変さを実感しました。そんな経験から週に一度は、私自身がおもてなしをすることで、家族や友人・愛する人を楽しませたいと考えるようになりました。 男(45歳)のプライドと品格を維持しながら家族や友人・愛する人が楽しく、喜んでもらえるおもてなしを実現するために、一流のプロが持つ技・味・盛り付け(名店レストランのお取り寄せ)の力を借りながら、学び、修業

中国歴史ドラマに学ぶ!安野モヨコが語る「幸せをつかむ強い女性」とは

こちらの記事は、2019年「PHPオンライン衆知」に掲載された安野モヨコのインタビューです。 当時チャンネル銀河で放送していた、中国の歴史ドラマ「独孤伽羅(どっこから)~皇后の願い」を通して「幸せをつかむ強い女性」について安野モヨコが語っています。(スタッフ) ・・・ 舞台は中国、時は6世紀・南北朝時代。独孤家の三姉妹の末娘・伽羅が隋の初代皇后になるまでを、二人の姉の人生とともに描く歴史ドラマ「独孤伽羅(どっこから)~皇后の願い」。 運命に翻弄されながらも強く生きる女性た

COLUMN:「縄文からの歴史が層になって見える都市、東京の魅力」 吉見俊哉(社会学者)

東京ビエンナーレでは「見なれぬ景色へ」というテーマを掲げ、東京という都市に眠る記憶をもう一度浮かび上がらせようとしています。私は昨年、東京ビエンナーレと同じような考え方で、『東京裏返し 社会学的街歩きガイド』(集英社文庫)という書籍を上梓しました。この本では、東京の街を歩きながら地史、歴史に潜り込み都市全体を考察しているのですが、今回の東京ビエンナーレが対象とするエリアと同じ部分が多いので、少し紹介させてもらいます。 東京は非常にいびつな発展の仕方をしてきた世界でも珍しい都

これだけ聞いておけばロック史がだいたい分かる50枚(または30枚)【33333文字】

前回の記事の続きです。書いているうちに予想外に長くなってしまいましたが、ロック史をなるべくエッセンスを抽出して振り返ってみたいと思います。前回、6アーティスト18枚のアルバムを選びましたが、それだけでは拾いきれない音像を追加で32枚選びました。前の記事と合わせると合計50枚。「これだけ聞いておけばロック史がだいたい分かる50枚」を目指しました。選ぶにあたって心がけたことは次の3点です。 ・同じジャンル、似た音像のものは1枚しか選ばない(あるサブジャンル≒ムーブメントの概要が

【ざっくり中国史㉔】「国民党」と「共産党」

中華民国が建国されてすぐの頃、第一次世界大戦が勃発します。 中国大陸に進出していたヨーロッパ各国は、ヨーロッパでの戦争にかかりきりになっていたため、ヨーロッパ各国による中国への圧迫が和らいだわけですが、これをしめしめと近寄ってきたのが日本です。 日本はドイツ帝国が保有していた中国内の工業や商業の権益を引き継ぐほか、中華民国の軍や警察に日本人の指導者を入れることなどを求めた「二十一カ条の要求」を中華民国政府に突きつけたのです。 その後、日本側が一部の条件を取り消したとはい

「ラジオと戦争」展

戦後70年の節目の年に、ラジオを通して戦争を振り返る企画展を開催しました。戦時下のラジオ及び関連資料を展示し、戦争の時代を戦争におけるラジオの役割という観点から考える展示としました。特に玉音放送については特別にコーナーを設けて貴重な資料を展示しました。(タイトル画像は、当時電力事業も行っていた伊那電気鉄道(戦時中に国鉄に譲渡され、現在の飯田線となった)が作成した戦時中のラジオのチラシ(部分)、1941(昭和16)年 この記事は「おうち平和ミュージアム」に参加しています。

世界史の教科書、山川派?東京書籍派?どっちを使うべき?

世界史の教材は沢山存在しており、どれを使用すればよいのか分からないという人も多いのではないでしょうか。そこでここでは現在学校教材として主に使われている世界史の教科書を取り上げてレビューを行いたいと思います。 世界史の主な教科書として挙げられるのは山川出版社のものと東京書籍の二つだと思います。そこで、ここではその二つを取り上げたいと思います。 【詳説世界史(山川出版社)】主な特徴 この教科書の一番の特徴は章ごとに概説が用意されていることです。概説が用意されていることで内容

アレクサンドロス ~ヒトの世界史~

1.アレクサンドロスとマケドニア 「父からはヘラクレス、母からはアキレウスの血が、あなたに流れているのです。」 アレクサンドロスは母オリュンピアスから、ことあるごとにそう教えられました。 アレクサンドロスは紀元前4世紀、前356年の生まれで、今からおよそ2400年前の人物です。日本は縄文時代末期で、そろそろ農耕の技術が大陸から入ってくる、そんな時期です。彼はマケドニアの国王で、のちに東方アジア世界に遠征し、エーゲ海からインダス川にいたる大帝国をつくりあげました。名前は知っ

難しいだけじゃない! 「東大世界史」で気づかされる歴史を読み解く新たな視点

暗記だけでは解けない東大世界史。緻密な論理が詰まった問題文は「読解力」がなければ読み解けず、時には具体的な事柄を抽象化して考える「思考力」も求めてきます。しかし、難しいだけではないのも東大世界史。答えを導く途中では、歴史を読み解く新たな視点に気づかせ、現代社会の出来事が深く歴史に根差していることを改めて教えてくれます。 光文社新書6月刊『夢中になる東大世界史』では、そんな東大の過去問約40年分から選りすぐりの15問をピックアップ。問題に挑む登場人物たちとともに、ナポレオンの時

東大日本史の解答例が見られるサイト・書籍まとめ

東大日本史は、受験対策面ではかなり恵まれている方だと思います。「東大日本史対策ならこの人」という先生がいらっしゃって、かつ、書籍やサイトも充実しているので独学が可能であるためです。 ここでは、そうした恵まれた環境を最大限利用できるよう、東大日本史の解答例が見られるサイト・書籍を集めてみました。解答例を見比べることは大変重要です。余す所なく利用しましょう。 ・野島博之先生note noteは有料ですが、昨年は全てそろえても1600円です。 こちらのレビューも参考にしてく

〈書評〉橋本寿哉『中世イタリア複式簿記生成史』(Kindle版)

「簿記会計」がわからなかった  私は、以前の記事で、公認会計士の林總氏の『不安な時代の家計管理』を取り上げた。  私が家計簿に関心を持ったのは、Youtube番組の一月万冊のホスト・清水有高氏と経済学者の安冨歩氏の対談動画で、「簿記会計」の重要性を語っていたからである。現在の資本主義社会では、お金の仕組みを知ることが生きるためには不可欠である、と云う趣旨だった。  一月万冊では、安冨氏の主著『複雑さを生きる』に付属して、「生きるための簿記会計」と云う、安冨氏が「簿記会計の仕

『黄熱の歴史』たいへんおもしろかった

黄熱病について調べていたらこんな本に出会ったのである。 序文をジョルジュ・カンギレムが書いていることからもわかるように、フーコーのように臨床医学のエピステーメーのパラダイム・シフトを語るものである。 さすがみすず書房って感じである。 閑話休題。 黄熱病とはどんな病気か。昨日紹介した『ビジュアル パンデミック・マップ』から引用する。 1900年、米軍幅な基地の軍医だった34歳のラジアーは、黄熱の原因を探るために節リルされた新たな委員会に加わることになった。1898年に

竹倉史人「土偶を読む」について

 本記事は、NHKのニュースで取り上げられるなど、大々的にプロモーションを展開して話題となった竹倉史人氏の著書『土偶を読む』(晶文社)について、筆者(白鳥兄弟=高橋健)の意見を述べるものである。 本記事の公開に至る経緯 竹倉史人氏の著書『土偶を読む』について、5月下旬に日本経済新聞社にコメントを求められ、取材に対応した。筆者は土偶の研究者ではないが、考古学を専門とする学芸員として博物館に勤務しており、「土偶マイム」のパフォーマンスを行っていることもあって、取材の依頼があった