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感性を形にする喜びを失いかけた時のFIRST AID|ブルーピリオド

絵ってさ
言葉だと伝わらないものが伝わるんだよ

世の中には面白いモノや考えが
たくさんあるって気づけるんだよ

「見る」以上に「知れて」
「描く」以上に「わかる」んだよ


山口つばさ作『ブルーピリオド』より

ブルーピリオドとは

『ブルーピリオド』は、DQNで成績優秀な高校2年生の男子が、絵を描くことで自分の感性を形にする喜びを知り、藝大(東京藝術大学)を目指す漫画です。

デッサンも遠近法も知らぬ主人公が、美術部で絵画の基礎技術から学び、予備校で様々な才能に触れ、時には絵画の本質に悩みながら成長していきます。

「月刊アフタヌーン」2017年8月号から連載が始まり、現在も連載中。
コミックスは4巻まで刊行されています。

思いがけずハマった

この漫画には、つい先日、出会ったばかりです。
Kindleで何気なく読んだサンプルに、思いがけずハマりました。
すぐに本編を購入。ただし、今はまだ2巻までしか読めていません。

オススメの作品をnoteで取り上げる時(とくに「右脳めし」の場合)は、たいてい刊行中の作品は全て読み終えておくのですが、冒頭の言葉をすぐに紹介したくて、急遽取り上げました。

冒頭の言葉は、主人公の矢口八虎(やぐち やとら)が、藝大への進学を訝しく思っている母親に対して、藝大に行きたい理由を説明している時のセリフです。

主人公のような絵描きでなくても、感性を形にするクリエイターであれば、この言葉が伝えている感覚を、肌で、ハートで理解できるのではないでしょうか。

感性に訴える「あるある」

『ブルーピリオド』は、感性に訴える「あるある」が満載です。
例えば...

見慣れた風景が、自分のイメージに沿って形になった時の気持ち。
「描かなければ」よりも「描きたい」が先立つ気持ち。
上手いか下手かではなく、描こうとしたものが見る人に通じた時の気持ち。

かつて自分が感じていた「気持ち」を1つ1つ再現していく主人公に対し、共感が絶えません。

“藝大を目指す”といった「出来事」への共感ではありません。
何かを創作した時の「気持ち」に対する共感です。

感性を形にする喜びを失いかけていませんか?

創作活動で最も楽しいことの1つは、自分の「好き」という形のない気持ち、感性を形にするところです。
そして、形になったものが、自分の気持ちに近いほど、喜びが得られます。

しかし、なまじテクニックやコツを覚え、〆切とか予算とか評価といった基準・制限を超えることばかりに注力していると、大きな達成感は得られるものの、よくわからない疲労感まで溜まっていきます。

その疲労感は、軽く運動して汗を流した時のような心地良いものではなく、溜まれば溜まるほど、本来の創作の喜びが減っていくような、妙な疲れ。

『ブルーピリオド』は、そんな感性の不健康状態を洗い流してくれます。

シャワーを浴びても、美味しいもの食べても、ぐっすり眠ってもスッキリしない時は、この漫画を読んでみてください。

FIEST AIDは“応急措置”という意味です。
ほんの一時でも、いつものココロを取り戻すことができれば幸いです。

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