正確な医療情報のお届け屋

医療業界のライター&編集者歴15年(現役中)。医療全般、精神系からアレルギー、循環器、…

正確な医療情報のお届け屋

医療業界のライター&編集者歴15年(現役中)。医療全般、精神系からアレルギー、循環器、婦人科、癌まで病気の解説記事はお任せ。クリニック様コンテンツ作成、インタビュー取材などお仕事承ります。なんでもお問い合わせください。@odUbRafgy455476

最近の記事

リカバリーを目指す認知療法で大切な「適応モード」と「アスピレーション」

この記事では、「リカバリーを目指す認知療法で大切な考え方」を解説していきます。 通常の認知療法と異なり、リカバリーを目指す認知療法では、治療よりも症状の背景にある「患者さんの思い」に焦点をあてることは前回の記事で解説しました。そのために大切な概念として「適応モード」というものがあります。 「適応モード」になることが重要日常に〇〇モードという用語を使うことがあるかと思います。仕事モードとか、お休みモードとか。 リカバリーを目指す認知療法では、「適応モード」というものが非常に

    • ギャンブル依存症の特徴。そして、人はなぜギャンブルに熱中するのか?

      一週間から日本国民とアメリカ野球界で目下の話題となっている「ギャンブル」。今回は「ギャンブル依存症(ギャンブル障害)」について考えていきます。 そもそも「依存症」とは? 「依存症(英語では”addiction”といいます)」は、特定の物質や活動に対して強い執着や衝動的な欲求を持ち、それらをコントロールすることが困難となる状態を指します。生活に支障をきたし、健康や社会的関係に悪影響を及ぼす可能性があります。 依存症は大きく2つに分けられます。 ①物質依存症 アルコール依存

      • 精神科の新しい治療「リカバリーを目指す認知療法」って知ってますか?

        「認知行動療法」は、精神科の治療だけでなく、最近では一般にも広まりつつありますね。 最近、精神科の領域では、「リカバリーを目指す認知療法」というスタイルも提唱されています。この記事ではこの新しいスタイルについて解説していきます。 そもそも、認知行動療法とは?「認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy;CBT)」とは、心理的な問題や精神障害を治療するためのアプローチの一つです。 認知行動療法は、思考(認知)と行動の関係に焦点を当て、思考(認知)と

        • 聞こえにくい→認知症を考える

          認知症の原因シリーズも佳境に入ってまいりました。 今回は、耳と認知症の関係について、です。(3月3日は耳の日でした) 難聴を放置すると、認知機能は7歳衰える耳の聞こえ具合と認知症の関係については、古くは1980年代から、非常に多くの研究がなされています。中には2つは関係がなかったという結果もありましたが、横断的に研究したメタ分析(複数の科学研究をまとめて分析する手法で信ぴょう性が高い)では、「難聴と認知症は関連があった」というものがほとんどです。 そういうこともあって、難聴

        リカバリーを目指す認知療法で大切な「適応モード」と「アスピレーション」

          汚れた空気、認知症。

          空気の汚れは、認知症の原因の一つ認知症のリスクが上がる原因の一つに、「大気汚染」があることをご存知でしょうか? 大気汚染が体に及ぼす悪影響というと、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギーの病気のイメージが強いのではないでしょうか。 運動不足や孤独、アルコールの過剰摂取というのは、認知症の原因として知られていますが、大気汚染は一般的にはあまり知られていません。 しかし、WHOがたしかに認知症のリスクファクターの一つに大気汚染を挙げています。根拠となる研究を見ていきましょう。

          汚れた空気、認知症。

          うつ病と認知症は、とても近い

          うつ病は認知症のリスクを ほぼ 2 倍にする認知症が起こるとされる原因の中で、うつ病は特に大きな要因です。 「うつ病の存在は認知症のリスクをほぼ 2 倍にする」というデータがあります1)。 私の別の記事でも解説しているとおり、糖尿病や高血圧もうつ病の原因となり得るものですが、高血圧や糖尿病は認知症のリスクを1.5~1.6倍程度にする、とされる報告があります。その報告でうつ病は、1.9倍です2)。 つまり、こうした高血圧や糖尿病といった生活習慣病よりも、うつ病の方が認知症を

          うつ病と認知症は、とても近い

          血圧の認知症の関係

          血圧と認知症は関係しているのか? 「結論から言います」というフレーズは個人的には正直あまり好きではないのですが(みんな判を押したようにそればっかりというか…)、血圧は認知症と関係しているのか?という問いに対する結論は「現状なんとも言えない」です。この曖昧な解の背景としては、研究や認知症の種類によって結果が異なっている、という事情があります。 アルツハイマー型認知症と血圧の関係は? まず、アルツハイマー型認知症の場合。 日本で行われた久山町研究という有名な研究では、高血圧とア

          認知症と体の衰え(フレイル)

          認知症と体の衰えの深い関係認知症は、体の衰えととても深い関係にあります。アメリカの研究で、運動不足は認知症の大きなリスクとなることが分かりました1)。運動不足の人は1.82倍も認知症になるリスクがあるのです。 「フレイル」という状態を ご存知ですか?「フレイル」という言葉をご存知でしょうか? フレイルの語源は「frailty(虚弱)」です。フレイルは「加齢に伴う予備能力の低下のために、様々なストレスに対する抵抗力・回復力が低下した状態」とされています。つまり、高齢による体の

          認知症と体の衰え(フレイル)

          認知症は、なぜ起こるの?

          認知症では 脳に何が起こっているの?認知症は脳の病気、それは知っています。では脳の中で何が起こっているのでしょうか? 認知症は、原因となる病気や状態の違いから、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症、血管性認知症の4種類があります。このうち、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症の3つでは、「神経変性」が起きていると考えられています。 神経変性(英語ではNeurodegenerationといいます)というのは、「神経細胞が異常な機能

          認知症は、なぜ起こるの?

          認知症と糖尿病の関係

          認知症は糖尿病と関係している?認知症と糖尿病。この2つはどちらも、現代の日本で患者さんが非常に多いです。だとすると、この2つは関係しているのでしょうか? 認知症と糖尿病の関係を裏づけるデータがあります。高齢者(ほとんどが65歳以上)を糖尿病の人と糖尿病ではない人に分けてみたところ、糖尿病でない人と比べて糖尿病では、アルツハイマー病の人が1.54倍、血管性の認知症が2.48倍多いことがわかったというのです1)。 つまり、糖尿病の人は年を重ねると認知症になりやすいということ。断言

          認知症と糖尿病の関係

          認知症とタバコ

          タバコは健康によくない 認知症にも?タバコが健康に良くないことはもはや常識と言っていいでしょう。記事のタイトルからして、読まなくても「タバコが認知症に悪影響を及ぼすのでは?」ということが想像できるのではないでしょうか。ご想像どおりです。2023年現在までの研究で、タバコは認知症の原因になり、進行を早めることが分かっています。 65歳以上の人がタバコを吸うことは 認知症のリスクになる認知症ではない平均年齢72歳(年齢の範囲は65~84歳)の高齢者の人々を17年間調査した日本の

          認知症とアルコール

          お酒を飲むと認知症にならない? 実は「少量のアルコールを摂取することは認知機能に良い影響を与える可能性がある」というデータがあります。飲酒と認知症発症について欧米で研究を分析した結果によると、アルコールを少量摂取している人では、認知症のリスクが0.72倍、アルツハイマー病のリスクが0.75倍、血管性認知症のリスクが0.72倍になるという結果が出ました1)。つまり、少なめのアルコール摂取によって認知症になるリスクが25%程度下がる可能性があるのです。 お酒を飲むと認知症になる