マガジンのカバー画像

木造昔話

22
木造のそんな遠くない時代のお話。過去の雑誌などからピックアップして紹介していきます。
運営しているクリエイター

記事一覧

マイホーム作りは、新技術に飛びつくのはリスクを伴います

マイホーム作りは、新技術に飛びつくのはリスクを伴います

おはようございます。さまざまな年代の木造住宅の耐震診断を行ってきました。また最近は特に案件が多く飛び回っています。耐震性を高めるのは大切なことですが、逆に未来が見えてくることがあります。

新型の建材や、工法が出ると、建築家やビルダー、工務店はそれを取り入れるのは自然なことです。しかしそれが長年住み続けるにあたって良い物なのか?はその時点ではわからないことがあります。また施工方法を間違ってしまうこ

もっとみる
施工方法を間違っている筋かいの効能

施工方法を間違っている筋かいの効能

こんにちは。昨日青梅市に行ってきたのですが、まだ雪が残っていましたね。結構積もったそうです。春が近くなって花粉も飛び始めていますが、これからも雪があるかもしれません。

今日は、木造住宅の筋かいの話。我々耐震診断をしている建築士は、昔の建物の筋かいの施工方法を間違っているケースを良く見かけます。診断では、耐力に加えないこともしばしば。特に、柱に付けず梁間だけで接続している筋かいは、評点に加えないで

もっとみる
耐震診断のグレーゾーンとは?

耐震診断のグレーゾーンとは?

おはようございます。本日は雪ですね。滑りやすくなっていますので、外出の際は気をつけてお出かけくださいませ。

さて、最近よく聞く用語に、「グレーゾーン」というのがあります。様々な使い方がありますが、木造耐震診断であれば、1981年(昭和56年)6月の建築基準法改正後かつ、2000年(平成12年)6月の建築基準法改正前(5月末)までに建てられた木造住宅のことをいいます。

一般的に、1981年6月以

もっとみる
新築木造の壁量計算の変化 2025年改正を見据えて(1)

新築木造の壁量計算の変化 2025年改正を見据えて(1)

新築木造の壁量計算の変化 2025年改正を見据えて(2)
新築木造の壁量計算の変化 2025年改正を見据えて(3)

2025年の省エネ義務化に合わせて、木造住宅の壁量計算が変わるかもしれません。まだ決定ではありませんが、2022年10月28日に「木造建築物における省エネ化等による建築物の重量化に対応するための必要な壁量等の基準(案)の概要」が発表され、必要な壁量に関する規定案が公になりました。ま

もっとみる
閑話休題 建築系図書カフェを作りたい

閑話休題 建築系図書カフェを作りたい

私は、元々建築系の人間ではなく、スキでもなかったので、この歳まで建築やっているとは思っても居ませんでした。そこでサードステージに何をやるか?はいろいろ考えていました(建築はセカンドステージ)。しかし今となっては、転職も難しいので、今の仕事をしていながら何か・・・という方向で考えています。

その1つが、建築系図書カフェです。文学部(史学化)出身なので古書が好きです。古書を収集したり飾っておく趣味は

もっとみる
危険な木造の間取りの例(4)

危険な木造の間取りの例(4)

第1回 北側玄関に多い例
第2回 2階建ての壁なしビルトインガレージ
第3回 階段が短辺にある建物

第4回 ビルトインガレージの外壁線が2階とずれている

近年の木造3階建てでも、まだ見られます。雨漏りや床の不陸が多いので構造設計者は避けたいですが、敷地に制限がある場合は仕方がありません。メリットとしては、車庫を広く取れる事でしょうか?

 今回の建物は、ビルトインガレージ面が、他の壁などがあり

もっとみる
危険な木造の間取りの例(3)

危険な木造の間取りの例(3)

第1回 北側玄関に多い例
第2回 2階建ての壁なしビルトインガレージ
第3回 階段が短辺にある建物
第4回 ビルトインガレージの外壁線が2階とずれている

第3回 階段が短辺にある建物

昭和後半に多い間取りです。間口が更に狭い場合が多いです。北側は居室にしにくいので階段にしてしまうパターンです。

間口が比較的狭くて、玄関の並びなどの短辺に階段がある建物は、実は危険です。今回の例は、北側玄関で、

もっとみる
危険な木造の間取りの例(2)

危険な木造の間取りの例(2)

第1回 北側玄関に多い例

第2回 2階建ての壁なしビルトインガレージ

 今回は新耐震に多い、2階建てのビルトインガレージの例です。木造3階建てだと構造計算しているので、全面に1枚くらい壁があるものが多いのですが、2階建てだとその制約がなく、壁量計算もしない場合、このような間取りの建物が建つ場合があります。揺れますし大丈夫なのでしょうか?

 一応、玄関の通りの浴室に一箇所壁が作れそうですが、ガ

もっとみる
危険な木造の間取りの例(1)

危険な木造の間取りの例(1)

 新耐震だと安心しているそこのアナタ!自分の家がまさか・・・ということがないことを祈りますが、これから代表的な耐震性の薄い間取りの例を紹介していこうと思います。

第1回 北側玄関に多い例
第2回 2階建ての壁なしビルトインガレージ
第3回 階段が短辺にある建物
第4回 ビルトインガレージの外壁線が2階とずれている

第1回 北側玄関に多い例

 これは、昭和53年~平成3年あたりに多い間取りです

もっとみる
新耐震基準以降なのに、なぜ耐震性不足?木造編

新耐震基準以降なのに、なぜ耐震性不足?木造編

阪神大震災の被災状況から、新耐震基準以降は比較的耐震性がある、とされ、旧耐震基準の建物に絞り耐震化を進めてきました。しかし阪神大震災発生は1995年。新耐震基準で建てられた最古の住宅は1981年で、まだ築15年も経っていません。そのため老朽化がなかったから・・・という側面も見て取れます。現在、新耐震基準の建物は、築40年を超えるものが出てきており、老朽化は確実に進んでいると思われます。この点でも新

もっとみる
中古の木造3階建ては2010年以降のものを選ぼう

中古の木造3階建ては2010年以降のものを選ぼう

過去にも、同じような記事を書いていますが、今回は木造3階建てに特化して書いてみます。

 木造2階建てに比べて、各階の高さに制限がある木造3階建ては、バルコニーの余裕がないため、特に雨漏りの被害が大きいです。その大部分がバルコニーの掃き出し窓の立上り、バルコニー笠木などと、軒です。軒の出がほとんどない木造3階建てが多いですからね・・・。

 そのあたりのトラブルが少なくなってきたのは、2010年頃

もっとみる
古い木造耐震診断ソフト

古い木造耐震診断ソフト

耐震診断やリフォームをしていると古い図面などとともに、昔の耐震診断書がでてくることがあります。1階しか診断しない、壁倍率ベース、など今の耐震診断のシステムからすると非常に簡素です。その中でも多く発見されるものを紹介いたします。

DOC-W for Windows

構造システムの耐震診断ソフトで、HOUSE-DOCが出るまで主力でした。東京都都市計画局建築指導部推薦ということもあり、それなりに見

もっとみる
古い中古住宅の購入は公庫仕様を選ぶのも手

古い中古住宅の購入は公庫仕様を選ぶのも手

耐震診断で、古い木造住宅を見ていると図面通りになっていなかったり壁量計算されていなかったり・・・いろいろと不備があります。経年劣化もありますし。なかなか理想的なものは少ないものです。

さて、その中でも比較的信用できる指標は、公庫仕様(住宅金融公庫)の住宅かどうかということ。公庫仕様の住宅を建てる場合、それなりに勉強して施工をするためか?全体的に同時代の平均的建物より状態や仕様が良かったりします。

もっとみる
起震車と実際の地震

起震車と実際の地震

町の防災のイベントなどで、起震車に乗ったことがある人は多いはず。運転じゃなくて体験のほうで・・・。

こんなに揺れるのか!と思った方も多いと思います。しかし起震車とは、あくまで地震っぽいものを体感できるだけで、本当の地震ではないです。また得意な揺れ、不得意な揺れもあります。あの体験だけで震度6とか7とかを理解するのは、いささか乱暴です。もし、いろんな地震を正確に再現できたとしても、その体験会で乗ら

もっとみる