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大学入試/進路指導関連

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私が書いた入試や進路関係の記事のまとめ。九州の受験事情も。
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記事一覧

姫路獨協大学、薬学部の募集停止は薬学部の不人気か、それともそれ以外の要因か。

姫路獨協大学、薬学部の募集停止は薬学部の不人気か、それともそれ以外の要因か。


姫路獨協大学の薬学部募集停止先日、姫路獨協大学の薬学部募集停止がニュースになりました。

本年度は募集定員60人に対して20人と三分の一しか学生が集まっておらず、経営的に厳しいという判断になったようです。

そもそも、この姫路獨協大学はここ数年経営難が不安視されていました。昨年度の1年生は60人に対して7人、2年生は39人、3年生は23人と定員割れが続いており、限界であったことは明らかでした。

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合格発表の時期だからこそ伝える、国立大学を後期まで受験をしてほしい4つの理由

合格発表の時期だからこそ伝える、国立大学を後期まで受験をしてほしい4つの理由


国立大学の前期発表ここ数日、国立大学の前期試験の合格発表が続いています。3月10日の東大、京大の発表まで気もそぞろな受験生も多いことでしょう。

さて、近年の多くの高校生は私立大学に進学します。学力的に中間層以下の生徒はほとんどが私立大学への進学ですし、高学力層であっても私立大学への進学者は少なくありません。

早慶、MARCHや関関同立を目標に大学受験をする高校生は非常に多いことだろうと思いま

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【予告】九州内の国立大学受験に向けての学習法の記事をUPしていきます。【告知】

【予告】九州内の国立大学受験に向けての学習法の記事をUPしていきます。【告知】


九州内の受験情報の少なさ沖縄を除く九州の人口は2023年現在において約1257万人、単純に考えると日本の10分の1に相当する経済圏となっています。

そのため本州とは異なる独自の文化圏を形成しており、人口動態に関してもその影響は大きく、進学や就職もそれに伴って本州とは異なる動きを見せています。

しかし、その一方でネット上においてもパイの少なさからか受験情報が乏しいのが実情です。

本州からの受

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佐賀県立大構想は自県進学率九州ワースト1位の解決手段になり得るか

佐賀県立大構想は自県進学率九州ワースト1位の解決手段になり得るか


佐賀県立大構想佐賀県が佐賀県立大学の設置構想があることを明らかにしました。

設置の目的として、県内での人材育成を行うことを第一に挙げています。

佐賀県知事も記事内で以下のようにコメントしています。

九州の自県進学率九州の自県進学率は他の地域と比べて高いのが特徴です。

これは関東関西の大都市へのアクセスが悪く、良くも悪くも文化圏が独立していることが起因しています。

その代わりに福岡が九州

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「福大ぐらい、日大ぐらいなら合格する」という言葉に見る、大学進学は簡単であるという大きな勘違い

「福大ぐらい、日大ぐらいなら合格する」という言葉に見る、大学進学は簡単であるという大きな勘違い


面談でよく出る話題担任として進路相談、面談を行っているときに具体的な大学名を参考にして進路指導を行うことは少なくありません。

もちろん、模擬試験の成績で入試の合否を完全に占うことはできませんが、ある程度の参考資料としては十分に活用できます。

その時に保護者や本人から聞く言葉の一つが以下のようなものです。

「最低でも福大ぐらいは通りますよね」

教員という仕事を何年もしていますが、この言葉を

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筑波大学の入試改革こそが社会構造の変化に沿ったモデルケースになるべき

筑波大学の入試改革こそが社会構造の変化に沿ったモデルケースになるべき

センター試験が共通テストに変わり、高校では新教育課程がスタートしています。

新しい学力観が問われて久しくなりますが、従来型の受験勉強強者を評価する入試制度はなかなか変化を見せません。

その理由の一つは、国公立大学が従来型の入試制度をあくまでも主軸に設定しているからです。

そんな状況を打破する取り組みを打ち出したのが筑波大学です。

共通テストで学力を測る代わりに、面接や小論文を重視するスタイ

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コロナ緩和の大学入試、要項発表

コロナ緩和の大学入試、要項発表

文科省は令和6年度の大学入試に関しての要項を発表し、コロナ対策のガイドラインを廃止することを公表しました。

ここ数年行ってきたコロナ対応の入試から一転、従来型の試験を実施することとしています。

これまでのコロナ対応策この4年間、入試対応はすべてコロナを前提としたシステムに置き換わっていました。

各大学に対しては、受験生のマスク着用や座席間距離の確保といった感染対策だけでなく無症状の濃厚接触者

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そこそこ平均的な学力の新高校1年生(+その保護者)向けの大学受験の勉強のスタート法

そこそこ平均的な学力の新高校1年生(+その保護者)向けの大学受験の勉強のスタート法

インターネットの発達によって、個人でのYouTubeでの情報発信や書籍の出版などのハードルが下がり、多くの情報が広く公開されるようになりました。

大学受験の勉強法もその一つで、以前は有名進学校や予備校でしか共有されていなかった知識やノウハウに簡単にアクセスでき流ようになっています。

リンク先のCASTDICE TVはそうした受験情報発信の代表例で、私も多くの動画を視聴して受験指導の参考にしてい

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大学の歴史を調べてから大学を選ぶという進路学習:旧帝国大学編

大学の歴史を調べてから大学を選ぶという進路学習:旧帝国大学編

日本に始めて大学ができたのはいつごろでしょうか。

おそらく東大が最も古く、明治時代だということは見当がつくと思いますが、詳しく調べている人はどれほどいるでしょうか。

私は高校で進路指導をしていますが、実際に大学の歴史を調べてまで進学先を考える生徒はほとんどいません。

ところが、稀にそうした歴史を調べる生徒がいることがあります。

その生徒が間違いなく志望大学に合格する、とは言えませんが歴史を

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恵泉女学園大学募集停止で顕在化した「女子大冬の時代」と「あえての女子大」のすゝめ

恵泉女学園大学募集停止で顕在化した「女子大冬の時代」と「あえての女子大」のすゝめ

恵泉女学園が次年度以降の募集を停止するという報道がありました。

全国的に見ても女子大の定員充足率は低下傾向にある中で、ある程度知名度のある大学でもその波に抗えなくなったということなのでしょう。

名門女子大の歴史日本の女子大の中でも最も古い歴史を誇るのが1875年(明治8年)に開学した東京女子師範学校を源流に持つお茶の水女子大学です。

お茶の水女子大学を中心として、日本の官立の女子教育は主に女

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大学選びは「教育力が高い大学ランキング」ではなく、「マッチング」を意識すべき

大学選びは「教育力が高い大学ランキング」ではなく、「マッチング」を意識すべき

大学通信ONLINEが毎年出しているランキングには「教育力が高い大学ランキング」というものがあります。

これの2022年版が公開されていました。

大学選びが多様化する中で、何を基準に選んでよいか悩んでいる生徒や保護者にとっては基準となる指標のようにも見えます。

「進路指導教諭」が評価するという謎このランキングの最も注意すべきはいかにして選考されたものか、ということです。

記事内には以下のよ

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併願受験校を減らすべきでない5つの理由

併願受験校を減らすべきでない5つの理由

私立大学の合否発表がほとんど終わり、国公立大学の後期発表を待ったのち、追加合格や二次募集が行われる時期になっています。

最近の受験傾向として、推薦や総合選抜で早期に合格を勝ち取る生徒が増える一方、私立大学は難化し、合否が3月後半まで確定しないというケースも増えています。

併願受験校の数を減らすトレンドそうした厳しい状況にもかかわらず、近年は受験先を減らす生徒が増えています。

さすがに国公立一

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国公立大学を後期日程まで受験すべき3つの理由

国公立大学を後期日程まで受験すべき3つの理由

先日、国公立大学の後期日程が終了しました。

日本中のほとんどの受験生はこれをもって一先ず今年の受験が終了となったのではないでしょうか。

本当にお疲れ様でした。

国公立大学の入試は主に2回大学受験の知識がある人ならば当然の話ですが、国公立大学の一般入試には二つの日程が存在します。

2月25日に実施される前期試験と、3月12日に実施される後期試験です。

ほとんどの国公立大学のこの二つの日程で

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ブランド名で大学を選択することの是非

ブランド名で大学を選択することの是非

日本には非常に多くの大学が存在します。

2023年現在において、その数は800弱を数えるほどになっているようです。

その中には有名大学と呼ばれる大学が存在し、東京大学や慶應義塾大学など誰もが知っている大学もその中の一つです。

大学名というブランド大学名にはある種のブランド的な価値が存在するものがあります。

先述の東京大学をはじめとした「旧帝国大学」(明治期に作られた旧制大学)はその筆頭でし

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