ファラ

主に音楽を聴いたりカレーを食べたり子育てを頑張ったりしています。 http://sik…

ファラ

主に音楽を聴いたりカレーを食べたり子育てを頑張ったりしています。 http://sikeimusic.hatenablog.jp/

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BIG|BRAVE "A Chaos of Flowers"

カナダ・モントリオール出身のメタルバンドによる、約1年フルレンス7作目。 「最大限の音量が最大限の成果を生み出す」と喝破したのはドゥームメタルデュオ Sunn O))) だが、それは確かにひとつの真理である。ただ Sunn O))) の場合は、ギタリスト2人のみという至極ミニマルな編成で、自身の鳴らす音のみを徹底的にブーストし、それ以外の音数を(クワイアや管弦楽器といった装飾を効果的に用いる以外は)ストイックに削ぎ落とすことも最大限の成果を生み出す秘訣となっていた。轟音と無

    • Still House Plants "If I don't make it, I love u"

      イギリス・ロンドン出身のロックバンドによる、約3年半ぶりフルレンス3作目。 「最大限の音量が最大限の成果を生み出す」と喝破したのはドゥームメタルデュオ Sunn O))) だが、それは確かにひとつの真理である。しかしその一方で、最小限の音数で最大限の成果を生み出さんとする野心的なアクトも数多く存在し、そちらはそちらでまた別の真理を突いている。パッと思いつくところで例を挙げてみると、スロウコア/サッドコアの代表格として US インディロックの歴史に名を刻んだ Low 、ドリー

      • Khruangbin "A La Sala"

        アメリカ・テキサス出身のロックバンドによる、約4年ぶりフルレンス4作目。 2020年、コロナ禍でおよそ全てのライブ活動が途絶えてしまっていた年、自分はフジロックが過去のアーカイブ映像を YouTube で配信しているのを見ていた。その中に2019年の Khruangbin のライブが含まれていた。自分はこれまで逃し続けていた念願の The Cure を拝むため、この時の Khruangbin を生で体感することはできなかったのだが、彼らのステージは後追いの映像越しであっても

        • ファースト満3歳10ヶ月&セカンド満1ヶ月

          近況。セカンドアルバムを我が家に納品してから、ファーストアルバムは特に気にせずマイペースにひとりで遊んでいる…かと思えば、ゆりかごを覗き込んで頭をよしよししてみたり、セカンドアルバムの授乳やだっこをしているときは「ぼくもぼくも!」と言わんばかりにベタベタすり寄ってきたりする。予想はしていたが、赤ちゃん返りが始まっている。それと保育園卒業、幼稚園入園のタイミングも重なって、環境の大きな変化でストレスが重なってきてるのか、前よりもかんしゃくが激しくなってきた。気に入らないことが起

        BIG|BRAVE "A Chaos of Flowers"

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        • 音楽
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        • 子育て
          61本

        記事

          清春 "ETERNAL"

          ソロ名義としては4年ぶりとなるフルレンス11作目。 今回の新譜を一巡したあとにインタビューを読んでみると、現在の清春の音楽性や活動スタンスに対する理解が深まった、と言うか、ああ確かに清春は昔からこういう人間だったなと改めて認識するに至った。今作の一番の特徴は、アルバム全編でフィーチャーされているフラメンコギターやパーカッションによるスパニッシュ要素。2018年作 "夜、カルメンの詩集" でも同様の音楽性は提示されていたが、その時はまだドラムとベースが存在し、アンプリファイア

          清春 "ETERNAL"

          ファーストアルバム満3歳9ヶ月

          3月1日。ついにセカンドアルバムが我が家に納品された。前々から「ママのおなかには赤ちゃんがいるんだよ~もうすぐ出てくるんだよ~」とは話していて、ただどこまで理解しているのかは分からなかったのだが、実際にセカンドアルバムを目の当たりにしたファーストアルバムは、妻のおなかをさすって(うまれたんだ!)と言わんばかりにニコニコしており、状況の把握はしっかりしていたようだった。最初は非常に照れくさそうな様子でなかなか近づこうとせず、部屋のすみっこでひとりでわちゃわちゃ遊んでおり、しかし

          ファーストアルバム満3歳9ヶ月

          Sheer Mag "Playing Favorites"

          アメリカ・フィラデルフィア出身のロックバンドによる、約4年半ぶりフルレンス3作目。 「70年代の名曲〇選」というお題があれば、そこではきっと David Bowie であったり Pink Floyd であったり、Marvin Gaye であったり Stevie Wonder であったりが挙がることだと思う。かくいう自分にとっては70年代はパンク隆盛期/ポストパンク黎明期という印象が最も強いので必然的にそのあたりの楽曲を挙げがちなのだが、その一方でヘヴィメタル以前のハードロッ

          Sheer Mag "Playing Favorites"

          セカンドアルバム完成

          2月25日。おりしも満月の夜だった。妻が午前4時に腹部に痛みを感じ、それから1時間ほど計測したところ、だんだん痛みが規則的になってきた。いよいよ陣痛が始まった。すぐさまタクシーを呼びつけ、妻は病院に、自分はファーストアルバムをいったん義父母の家に送ってから、遅れて病院に向かった。ファーストアルバムの出産の時はちょうどパンデミック真っ只中の時期だったので、出産に立ち合うことは叶わなかった。なので今回が初の立ち合いとなる。 経産婦なので1人目よりもスムーズに生まれるだろうという

          セカンドアルバム完成

          Mk.gee "Two Star & The Dream Police"

          アメリカ・ニュージャージー出身のシンガーソングライターによる初フルレンス。 最初はなんとも掴みどころのない音楽だという印象だった。ボーカルは鼻歌のように力が抜けていて、リズムの拍は取りにくく、すべての音の輪郭がぼやけていて、何を思ってこういう曲を作ったのかがすぐには把握できなかった。だがこれは、個人的には My Bloody Valentine "Isn't Anything" を初めて聴いた時の印象に近いかもしれないと、ふと思った。自分が今までに聴いてきた音楽とはおよそか

          Mk.gee "Two Star & The Dream Police"

          ファーストアルバム満3歳8ヶ月

          1月10日。4月から入る幼稚園の説明会に家族で馳せ参じる。みんなで制服や帽子のサイズを合わせ、Mサイズがいいかな~Lサイズがいいかな~どっちもかわいいね~などとわちゃわちゃする。家からすぐ近くの幼稚園なのだが、今通っている保育園から同じ転入コースをたどる子がほとんどのようで、見知った顔ばかりの子で一安心する。特に男の子はファーストアルバム含めてみんな電車好きで、待ち時間の暇つぶしのために持ってきた電車図鑑を広げると男子みんなが食いつき、一緒に仲良く眺めていた。ファーストアルバ

          ファーストアルバム満3歳8ヶ月

          ZAZEN BOYS "らんど"

          日本のロックバンドによる、約11年半ぶりフルレンス6作目。 詩人としての向井秀徳について。「知らん俺は知らん 傍観者」向井は昔からずっとこのスタンスだったと思う。NUMBER GIRL 初期の頃は、おそらく彼の実体験と空想を綯い交ぜにしたであろう夕暮れの情景を描いていた楽曲もあったが、その歌詞も第三者的というか、俯瞰からの視点を効果的に交えたものだった。それが冷凍都市の暮らしを極めてドライな語り口で切り取ったものにだんだんシフトし、ZAZEN BOYS を結成してからはそれ

          ZAZEN BOYS "らんど"

          Mary Halvorson "Cloudward"

          アメリカ・マサチューセッツ出身のジャズギタリストによる、リーダー作としては1年8ヶ月ぶり13作目。 自分が Mary Halvorson の存在を知ったのは、これの前作に当たる2枚同時リリースの "Amaryllis" "Belladonna" からだったのだが、彼女の持つ個性がいかにオリジナルなものであるかは、聴いてすぐに感じ取れた。明るいようで暗い、可愛らしいようで妖しい、知的なようで本能的…といった、あらゆる質感の中間地点、白と黒の狭間のグレーな領域ばかりを捉えた、何

          Mary Halvorson "Cloudward"

          @ "Are You There God? It's Me, @"

          アメリカ・フィラデルフィア出身のギタリスト Victoria Rose と、ボルチモア出身のプロデューサー Stone Filipczak によるユニットの初 EP 作。 昨年の初フルレンス作 "Mind Palace Music" は、厳密には2021年にリリースした作品のリイシューということだったので年間ベストのリストからは除外したのだが、なかなかにインパクトの強い代物だった。匿名性の極みのようなユニット名、Web1.0 時代へのオマージュと思しきシュールなアートワーク

          @ "Are You There God? It's Me, @"

          SPRINTS "Letter To Self"

          アイルランド・ダブリン出身のロックバンドによる初フルレンス。 このアルバムを聴いたあとに「もしや…」と思って bandcamp を覗いてみると、解説文に "Inspired by Savages" 、そして Bauhaus や Siouxsie Sioux といった文字列が並んでいるのを発見した。この瞬間に、ああ自分はこのバンドと出会うべくして出会ったのだなと、宿命のようなものを勝手に感じたのであった。2024年の年明け早々に、それこそ Bauhaus から Savages

          SPRINTS "Letter To Self"

          ファーストアルバム満3歳7ヶ月

          12月17日。梅田芸術劇場にて開催された Family Dream Live 2023 に行ってきた。最近はEテレをほとんど見なくなってしまっているファーストアルバムだが、福尾誠おにいさんは馴染みがあるし、この手のライブに行くのは自分も初めてだったので、親子ともどもワクワクしながら会場へ向かった。SS席の客にはルミトンがついてくる。ピカピカ光るデカい棒を見たファーストアルバムはすでにテンションかち上げ。そして始まったライブは、ミュージカルよろしく演者全員が歌い踊り、みんなが知

          ファーストアルバム満3歳7ヶ月

          2023年間ベストアルバム50選

          2023年も争いは絶えず、生活はパッとせず、クソみたいな年だった。でも音楽は最高だった。そうだろう?というわけで、性懲りもなく今年もあちこちをディグした中で、自分が特に素晴らしいと感じたアルバム作品50枚を以下に選出し、あまつさえ順位をつけた。それぞれの視聴リンクも添えてある。この年末恒例の個人的なリストが皆さんの音楽ライフの手助けになれたなら幸い。また、それに準じたプレイリストも Spotify と Apple Music で作成してあるので、時間のある方はこちらもぜひチェ

          2023年間ベストアルバム50選