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#95 2023年10月に読んだ本【読書日記】

こんにちは☺️

1ヶ月をあっという間のように感じるか、それとも長いと感じるか。
どちらも感じるのは僕だけでしょうか?

単純に数字を見るだけではあっという間だけど、読んだ本を振り返った時には長いと感じるんです。
「あの本、もっと前に読んだ気がするけど、今月読んでたんだ」みたいな。
読んだ分だけ実際の時間も長くなって欲しいなあと振り返りながら思います。

そんな当記事は、読んだ本の振り返りです。
僕が10月に読んだ本の中から10冊をまとめました。

それぞれの本で、読んだきっかけ、このような方にオススメ、感想、印象的なフレーズを書きました。読む本を迷っている方にとって、参考になっていただけたら幸いです。


1.『いい子のあくび』(著:高瀬隼子)

📖読んだきっかけ
きっかけは、高瀬さんのデビュー作『犬のかたちをしているもの』を読んだことです。他の作品も読みたい気持ちがわき、夏頃に本作が発売されたことで気になり、今回手に取りました。

📖このような方にオススメの本です
・世の中の当たり前に対して違和感を抱えながら生きている
・考えさせられる小説を探している

📖感想
人は、誰だってあくびをする。やな子の面を持っていながら、いい子の着ぐるみを被って生きている。心の闇の部分に共感しつつも、心を見透かされているような感じがして胸がゾクッとしました。生きていくうえで、時にドライになることも必要なのかなとも思います。ありのままの自分を見せることの難しさを感じました。
3篇の中で一番印象的だったのは表題作の『いい子のあくび』ですが、「末永い幸せ」も短編ながらインパクトがありました。社会生活における潜在的な違和感が繊細に描かれていると思います。男性の側から見ると、普段の生活では意識しないことがたくさんあって刺さりました。1つ1つの表現も印象的です。

📖印象的なフレーズ

心は、どうしてこんなにばらばらなんだろう。ばらばらで、全部が全部本当であるために、引き裂かれるというよりは、元々ばらばらだったものを集めてきて、心のかたちに並べたみたいだった。ばらばらのものは、パズルのピースじゃなくて石ころで、だからいくら隙間なく並べたってぴったりとははまらないし、こつこつ音がする。だけど別に石は痛くない。痛くもかゆくもない。

『いい子のあくび』

いい子の反対は悪い子じゃない。やな子だ。

『いい子のあくび』


2.『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(著:花田菜々子)

📖読んだきっかけ
タイトルは以前から知っていたのですが、出会い系の文字に引っかかっていたことで手が出せずにいました。どこか恋愛色が強いイメージがあったからです(実際にはほとんどなかった)。そんな中で今月は色んな本を読もうと思い、ふと頭に浮かんだのが本作でした。

📖このような方にオススメの本です
・自分のこれからの人生に思い悩んでいる
・何か新しいことに挑戦したい
・幸せについて考えたい
・本が好き、本を紹介することも好き

📖感想
「ヴィレッジヴァンガード」の店長を務めていた花田さんの実体験に基づく私小説。
たくさんの知らない人に会って、本を紹介する。そんな未知の世界を冒険する著者の花田さんに、僕自身も新たな世界が拓けていく感じがしました。最近はオンラインが普及していますが、人は直接会うからこそ、悩みや良い部分などが分かるものだと思います。オフラインでの交流も大切にしたいと思いました。
誰かに本をすすめるって難しいし、奥が深い。本を知っているだけでは、相手にとって最適な本はすすめられない。本作に出てくる個性的な人たちに笑えたり引いたりしたけど、本を介して交流するって素敵ですね。そして、予想以上のワクワクと感動に夢中になって読み、力がわいてくる感覚がありました。人生に思い悩んでいる時にそっと手を差し伸べてくれるのではないかと思います。
手元に残したい、大切にしたい1冊になりました。

📖印象的なフレーズ

彼らの多くが、私がかつて敬遠していたSNSでどんどん会社の垣根を越え、横につながっていた。そこをたどると、素敵な仕事をしている人や尊敬できる人はいくらでもいた。
また新しい世界への扉がひとつ増えていた。

『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』


3.『777 トリプルセブン』(著:伊坂幸太郎)

📖読んだきっかけ
伊坂さんの作品の中でも「殺し屋シリーズ」にはすっかりハマり、今回の最新作も楽しみにしていました。発売直後に購入はしたのですが、先月に『AX アックス』を読んだばかりだったので、少し期間を空けてから読みました。

📖このような方にオススメの本です
・『マリアビートル』を読んだことがある
・誰かと比較してしまう
・自分は不運だと思っている
・痛快さがある小説を探している

📖感想
今回の舞台はホテル。頭脳を駆使したスリリングな攻防は、過去シリーズと同様に目が離せない緊張感があります。そして、恐怖に怯えながらのラストの展開は、これ以上ない痛快さを感じました。読み返したくなる数々の伏線は今回も凄かったです。
誰かと比較しないとはよく言われますが、本作で示される形が僕にとっては何よりも響きました。バラはバラ、リンゴはリンゴ。誰かと比較したところから不幸は始まるんですよね。実は自分のことって、相手のこと以上に知らないのかもと思いました。
今回登場する二人組も個性的で忘れられないものとなったけど、やっぱり七尾と真莉亜の組み合わせが一番好きですね。
それにしても、チーズケーキに柚子胡椒が気になります

📖印象的なフレーズ

「七というのは不思議な数字だよ」
「一週間は七日だし、七福神もいれば、七つの海という言い方もある。G7もあれば、七不思議にとも言う」
「ラッキーセブンも」

『777 トリプルセブン』

「梅の木が、隣のリンゴの木を気にしてどうするんだよ」
「梅は梅になればいい。リンゴはリンゴになればいい。バラの花と比べてどうする」

『777 トリプルセブン』

「他人と比べた時点で、不幸は始まりますね」

『777 トリプルセブン』


4.『あと少し、もう少し』(著:瀬尾まいこ)

📖読んだきっかけ
先日マラソン大会の補助をしたことで、来年フルマラソンを走りたい気持ちがわき、走ることに関する作品を読みたいと思っていました。箱根駅伝が舞台となっている三浦しをんさんの『風が強く吹いている』は読了済なので、それ以外の作品を調べ、気になったのが本作でした。

📖このような方にオススメの本です
・胸が熱くなる青春小説が読みたい
・駅伝、陸上(長距離)が好き

📖感想
スポーツと青春の掛け合わせでまず思い浮かぶのが爽やかさ。でも決して爽やかだけでありません。みんな飄々としているように見えて、不安やぎこちなさなどを抱えています。特に、思春期真っ只中の中学生はなおさら。6人が抱えているもの、どれもが共感できるものでした。その中で、互いに支え合いながら築いた絆が、襷が繋がるにつれて、深く、濃くあらわになっていく。 胸が熱くなり、心の中で「頑張れ」と声援を送っていました。
瀬尾まいこさんの作品は、心に寄り添ってくれるような安心感があって定期的に読みたくなります。
さらに、これ以上ないくらい最適な方の解説✨

📖印象的なフレーズ

「桝井君さ、自分の深さ三センチのところで勝負してるんだよ。だから、さわやかに見える。それだけしか開放しないで、生きていけるわけないのにね」

『あと少し、もう少し』


5.『容疑者Xの献身』(著:東野圭吾)

📖読んだきっかけ
久しぶりに東野圭吾さんの作品を読みたいと思っていた今日この頃(1年半読んでなかった)。
「ガリレオシリーズ」では『沈黙のパレード』は読了済みで、その中に本作の苦い経験が書かれている(記憶違いでしたらすいません)のを思い出し手に取りました。

📖このような方にオススメの本です
・驚愕の真相が待っているミステリ作品を探している
・「ガリレオシリーズ」が気になっているが、どの作品から読み始めるか迷っている

📖感想
天才石神による、思い込みによる盲点をついた驚愕のトリックに声が出そうになりました。序盤の伏線、湯川だからこそ分かったことなど、終盤は目が離せなかったです。それ以上に、真相が明らかになった時の辛くて切ない感情は忘れられないものとなり、胸が強く締め付けられました。 こんなにも残酷な結末があるのだろうか、そう思わざるをえません。
また、恋愛小説ではないですが愛を強く感じた気がします。
湯川がこんなに感情的になったり、登場人物たちの気持ちを考えると言葉が出ないですね……。

📖印象的なフレーズ

「森岡じゃなくても、ここにいるほかの誰かがなるかもしれない。その誰かのために数学という授業はある。いっておくが、俺が君たちに教えているのは、数学という世界のほんの入り口にすぎない。それがどこにあるかわからないんじゃ、中に入ることもできないからな。もちろん、嫌な者は中に入らなくていい。俺が試験をするのは、入口の場所ぐらいはわかったかどうかを確認したいからだ」

『容疑者Xの献身』

6.『うるうの朝顔』(著:水庭れん)

📖読んだきっかけ
「王様のブランチ」のブックコーナーで本作が紹介されていたのを見たのがきっかけです。「1秒が、あなたを変える」というフレーズから、どのような物語なのか気になりました。

📖このような方にオススメの本です
・日々流されて生きているような感じがする
・前を向ける作品を探している

📖感想
喧騒の日々の中で、気づかないうちに「ズレ」が生じていると思います。登場人物たちの「ズレ」を通じて、自分自身のモヤモヤとした感情に向き合っているような感じがしました。
何気ない物事に対する、凪の言葉が響きます。1つ1つの物事を、当たり前にように受け入れていることに気がつきハッとさせられました。
全体的に晴れやかさや美しさがありながらも、どこか儚さを感じさせる物語でした。

📖印象的なフレーズ

「幸せは絶対的であると同時に、流動的なものでもあると思います。『幸せを摑む』って言葉は、レールに乗りさえすればあとは目的地に送り届けてもらえる、みたいに聞こえてモヤッとします。大抵、ゴールってスタートでもあるのに。幸せは日々生まれたり消えたり、膨らんだり萎んだりします。細胞みたいに、分裂も変異も突然死もある。摑むんじゃなくて、握り締めていなくちゃいけない」

『うるうの朝顔』


7.『ペンギン・ハイウェイ』(著:森見登美彦)

📖読んだきっかけ
先日読んだ『夜は短し歩けよ乙女』が印象的で、他の作品も読みたいと思っていました。今回は、本作のタイトルが目に留まったのがきっかけで手に取りました。

📖このような方にオススメの本です
・想像力をかき立てる小説を読みたい
・小さい頃の純粋な気持ちを思い出したい

📖感想
好奇心旺盛で利口だけど、隠しきれない欲望を所々で滲ませている。そんなアオヤマ君が何よりも愛おしかったです。そして、小さい頃の純粋な気持ちを思い出させてくれた気がします。
何気ない日常も、捉え方次第で無限に広がる。彼の視点から描かれる1つ1つの表現から、壮大な冒険をしているような感覚になりました。
ほんのり切なさも感じるけど、読了感は爽やか。昨日の自分に負けないようにと前向きな気持ちにさせてくれました。

📖印象的なフレーズ

「あるときいろいろなものが突然つながるときがくるよ。一つのメモがもう一つのメモにつながって、そこにまたべつのメモが吸いよせられてくる。そして、エウレカだ」

『ペンギン・ハイウェイ』


8.『まなの本棚』(著:芦田愛菜)

📖読んだきっかけ
本作の中で、辻村深月先生との対談や作品が紹介されていたのをちらっと見たのがきっかけで手に取りました。また、僕は読書好きの方がどんな本を読んでいるのかを知ることが好きで、本作をきっかけに何かしらの作品を読んでみたいことで読みたい気持ちが増しました。

📖このような方にオススメの本です
・読書家の芦田愛菜さんがどんな本を読んでいるのか気になった
・普段は読書をしないけど、何かしらの本を手に取って読んでみたい
・辻村深月先生が好き

📖感想
分かりやすい本の紹介を通して、読了後には読みたい本が増え、本の魅力も改めて感じました。読書好きの方はもちろん、普段読書をしない方も、本作を読むと自然と本に手が伸びるかもしれません。また、芦田さんの本の選び方や読みながら感じることなど、普段読書をしている身にとって共感できることがいくつもあります。思わずうなずきながら読んでいました。
印象的だったのは、やはり辻村先生との対談ですね。対談で語られていた配役が実現していて興奮しました。
さらに初版発行年を見てびっくり!学業や仕事がある中で、幅広いジャンルの本をたくさん読んでいる芦田さんのすごさが分かる1冊です。

📖印象的なフレーズ

辻村さん:それと、これはだいぶ後になってから気づいたんですが、物語を表現するジャンルがいろいろある中で、小説って一人だけでは成り立たないものなんです。
愛菜:一人だけでは成り立たない?
辻村さん:小説って絵がない、映像がない表現ジャンルですよね?たとえば「ここにこんなふうにかわいい女の子がいます」って文章で書いた時に、読み手が想像してくれなければ、私がイメージしている女の子の姿は伝わらない。それって不自由さでもあるけれども、書き手と読み手が一緒になって一つの像を作り出そうとする営みがすごく魅力的に感じるんです。

『まなの本棚』
スペシャル対談 辻村深月さん(作家) より


9.『アナログ』(著:ビートたけし)

📖読んだきっかけ
今月公開された本作の映画版を見たのがきっかけです。感動や美しさがあり、余白を感じさせる素敵な映画で、鑑賞後に自然と手に取っていました。 先に映画を観た場合でも、文字を通して改めて読みたくなる作品はあるんですよね。

📖このような方にオススメの本です
・切ない恋愛小説が読みたい
・連絡先を交換しない「アナログ」な2人のやり取りが気になる

📖感想
映画を観た後からだと、純愛要素よりもユーモアさや友人の高木、山下との友情が色濃く出ていた印象がありました。
便利な世の中になったけど、アナログ的な要素によって人の心を動かすこともある。デジタルとアナログ、どちらが良いかではなくどちらも大切にしたいと思いました。
個人的には映画派ですが、ラストのみゆきの日記は原作の方が好きですね。ただ全体を通してだと、映画は原作にさらに厚みを増しているような感じがしました。それだけ映画は素晴らしかったのかも。
もう1回見ようかな🤔

📖印象的なフレーズ

「水島、何言ってるんだ。デートってのはこういう汚い焼き鳥屋がいいんだ。お互い気を遣わないし、本音で話せる。ましてここはこういう汚い店で無愛想なオヤジがいて、店員が馬鹿そうで、貧乏くさい客が、頭の中で食った焼き鳥の串の数と財布の中身を相談しながら、間抜けな仲間と上司の悪口や女房子供の愚痴を言い合う、自分の不運を浄化するところだ」

『アナログ』


10.『べつに怒ってない』(著:武田砂鉄)

📖読んだきっかけ
『今日拾った言葉たち』を読んだことがきっかけで、武田さんがパーソナリティーを務めるラジオ番組『武田砂鉄のプレ金ナイト』を毎週聴くほどになった自分。他の著書を読みたいと思って手に取ったのが本作でした。久しぶりにエッセイを読んでみたい気持ちもありました。

📖このような方にオススメの本です
何かしらの気づきを与えてくれるエッセイが読みたい
・日常生活で考えることをあまりしていないなと感じる
・全部読み切らなくても楽しめるエッセイを探している

📖感想
「日経MJ」の連載から厳選した武田さんのエッセイ。
どこか気になるけどわざわざ考えるほどでもない。そのようなことが深掘りされているような感じがしました。
武田さんの物事を見る視点は、いつも何かしらの気づきを与えてくれます。淡々とした文体だけど、共感したりツッコんだりと感情が活発に動いている自分がいました。
普段は受け流すようなことをじっくり考えてみるのは楽しいかもしれませんね。実際、武田さんの影響で色んなことを考えるクセがついた気がします。
中でも「マットの耳」が読んだ後から頭から離れなかったです(笑)。小学校の頃の思い出が瞬間的に蘇りました。
2ページで1話が完結する構成なので、全部読み切らなくても楽しめる、気軽に読める1冊です。

📖印象的なフレーズ

考えるのはタダ、ってお得ではないかと、毎日のように思う。「あの人がもしキセルをしている人だったら」と「あの人はキセルをしている」は、文字の構成要素としてはそんなに変わらないのに、意味は正反対だ。想像はいくらでもしてしまって構わない。頭の中で完結しているのだから。
(中略)
考えるのはタダ。誰も止められない。人間に存分に与えられた、とても贅沢なサービスである。

『べつに怒ってない』


10月の振り返り

10月は、いつになく不運や理不尽なことが積み重なったような気がする月でした……。

そんな時に思い出すあの主人公。
誰かと比較したところから不幸は始まるし、いつか振り返った時に実は幸運だったかもしれない。

そんな気持ちにさせてくれた『777 トリプルセブン』が今月のベスト本です🐞

また、10月28日には新潟市のみなとぴあで開催された「まるごとブックフェスタ」(ひとハコbase主催)へ行きました。僕はビブリオバトルのバトラーとして参加。

今回僕が紹介した本は、『書く習慣 〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜』(著:いしかわゆき)

ビブリオバトル in「まるごとブックフェスタ」

5分間で紹介しきれず手応えは全くなかったのですが、まさかのチャンプ本に!
ありがとうございます!
ギャラリーが大勢いる中で紹介するのは凄く緊張しました。
みなとぴあの中に入ったのは初めてでしたが、とても趣のある場所。これまでの読書会とは違う雰囲気で、貴重な体験になりました。
それにしても皆さん伝えるのが上手い!
僕ももっと上手く伝えられるようになりたいですね。

会場内は様々な催し物があって、外の雨を打ち消すかのように温かな空気が漂う素敵な空間でした。
滞在時間が長くなかったのもありますが、次回も開催があればじっくり回りたいですし、また何かしらの形で参加したいです。

ひとハコbaseの貸出カードも登録。
まだ行ったことがないので、今度ぜひ寄りたいと考えています。オーナーさんの本棚も気になりますね。

本との出会いは人との出会いに繋がる。
読書の楽しみがさらに増えた日になりました。

10月も色んな本に出会えたことに感謝😌

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