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青春の後ろ姿#48 〜20代は、清志郎と、バイクと、文学以外に何もありませんでした〜『源氏物語評釈』

 ある方から、「楽しんで見ています」と声をかけられました。こんなマニアックというかマイナーなジャンルの、しかもただの本たちなのに、そういうものを楽しいなんて、やはりとても嬉しいです。

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 この、いかにも古本っぽい本ですが、もちろん古本だから買ったわけではなく、研究者の方々の論文の注で、わりにちょこちょこ見かけていた注釈書だと思いかった記憶があります。

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 萩原広道『源氏物語評釈』です。櫻園書院蔵版ということですが、他にもどこぞ版があるのか知りません。ただ、良い注釈書だと思います。
 萩原広道というと宣長と同じく国学者です。永らく唐風文化が栄え、国風文化は日陰に置かれていましたが、国学者たちがやまと言葉による国風を再評価して、国学が起こりました。

 個人的には大和魂は、戦時中に意味を歪められたもので、本来は古今集に代表されるような「たをやめぶり」がその本質だと思います。「漢」と書いて「おとこ」と読むぜ、みたいなものの対極、繊細で柔らかい感受性が「大和魂」だと思います。
 実際、やまとことばを支えている「ひらがな」は女性たちが発明した大傑作です。頭の硬い男性には、あんな大胆なくずし方は発想にすらなかったのではないかと思います。
 女性が発明した文字を「仮名」=「仮の文字」と下位に置き、ただの輸入品に過ぎない漢字を「真名」=「正式の文字」と呼び習わしたのは、男性が女性の知恵を搾取してきたことの証左だと言うのは言い過ぎでしょうか。
 仮名と真名にしても、通い婚にしても、女性の出家にしても、古文単語としての「世」「世の中」の語義にしても、古典文学を通して透かして見える男尊女卑的価値観から目を背けずに、まずはきちんと受け容れることから始めないと古典文学を読めたことにはならないと思います。

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