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クラシック音楽歳時期 2021-2024

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毎日聴いたり演奏したクラシック音楽のためのノート。どんな音楽に触れて思い書いたかを思い出せば、あの頃の自分を思い出すことができる。もちろん誰に読んでもらえてどんな感想をいただける… もっと読む
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記事一覧

ちょいちょい書くかもしれない日記(フジコ・へミングさん)

ちょいちょい書くかもしれない日記(フジコ・へミングさん)

多くの人と同じだと思うが、私がフジコさんを知ったのは、例のNHKのドキュメンタリーだった。
何の気なしに見て、めちゃくちゃに衝撃を受けた。
かつて、「調律はプロがやっちゃうんだから、誰が弾いても同じ音が出てつまんない」なんて言いぐさでピアノをやめてしまった不見識な自分をどつき倒したいと思った。
画面の中で鍵盤を叩く人は、その指先にこれまで越えてきたすべてを込めていた。
テレビのスピーカーからの音で

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ピアノのバッハ(番外編2):リュートの弦を張ったチェンバロ

ピアノのバッハ(番外編2):リュートの弦を張ったチェンバロ

今回は短めのお話。

バッハの器楽曲はあらゆる楽器のために編曲され、どんな楽器で演奏されようとも「バッハだから」と許されてしまうのが「音楽の父」バッハの凄さ。

拍子のリズムを誰よりも重んじるバッハの音楽は規則正しいリズムの躍動感ゆえにどんな楽器で演奏されようとも素晴らしい。

電子楽器でも非西洋楽器の尺八や和笛でも。

あまりの汎用性の高さに脱帽するほかないのですが、やはり個性的な楽曲には楽器と

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ピアノのバッハ(番外編):知られざる楽器「モダンチェンバロ」

ピアノのバッハ(番外編):知られざる楽器「モダンチェンバロ」

「チェンバロ」または「ハープシコード」と呼ばれる楽器は、とても特徴的な鋭い金属的な音色が魅力的です。

狭義ではチェンバロとハープシコードは違う楽器なのだそうですが、一般的には「ハープシコード Harpsichord 」はラテン系言語、「チェンバロ Cembalo 」はドイツ(ゲルマン)系言語での呼び名、つまり同じ構造を持つ同じ楽器をどちらも意味しています。

ちなみに英語読みすると

ややこしい

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今日の1枚:ファリャ《ペドロ親方の人形芝居》、チェンバロ協奏曲ほか(エラス=カサド指揮)

今日の1枚:ファリャ《ペドロ親方の人形芝居》、チェンバロ協奏曲ほか(エラス=カサド指揮)

ファリャ:歌劇《ペドロ親方の人形芝居》全曲、チェンバロ協奏曲
ストラヴィンスキー:《プルチネルラ》組曲
Harmonia Mundi, HMM902653

バンジャマン・アラール(チェンバロ)
ペドロ親方:アイラム・エルナンデス(テノール)
ドン・キホーテ:ホセ・アントニオ・ロペス(バリトン)
口上:エクトル・ロペス・デ・アジャーラ・ウリベ(ボーイ・ソプラノ)
パブロ・エラス=カサド指揮マーラー

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偏愛の1曲:ヤナーチェク《カプリッチョ》

偏愛の1曲:ヤナーチェク《カプリッチョ》

レオシュ・ヤナーチェク:左手と管楽のための《カプリッチョ》
EMI Classics, CMS2376062
ミハイル・ルーディ(ピアノ)
チャールズ・マッケラス指揮パリ・オペラ座管のメンバー
録音:1995年6月

 好きな作曲家をひとり挙げるならば誰?という質問に対しては答えようがないけれども、「こういう作曲家になりたかった、という人をひとり」ならば、私の場合迷うことなく答えはレオシュ・ヤナー

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木のあれこれ。no.5 ピアノを知る、ベーゼンドルファー。

木のあれこれ。no.5 ピアノを知る、ベーゼンドルファー。

ピアノのほとんんどは木材でできている。
世界3大ピアノと呼ばれる、
「スタンウェイ」「ベーゼンドルファー」「ベヒシュタイン」
のピアノたちはどれも何人もの職人の手で1台を数年かけて作るような傑作である。木と音楽は切り離せない。
音でも木は昔から人々を楽しませてくれた。

ピアノの良し悪しを決めるのは
①設計
②素材
③製造方法
だそうだ、ものづくりはやはりこの3次元に集約される。

ピアノの木につ

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ヤーッコ・クーシストによる、「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」

ヤーッコ・クーシストによる、「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」

私のアマチュアとしての音楽活動における演奏楽器は、合唱と管弦楽のホルンである。どちらもとても発音(アーティキュレーション)の大切な楽器である。

きれいに発音された音は、はっきりとしつつ雑音の少ない音で始まり、中間部はきれいに伸びて、音の最後は雑音なく自然に消える。

私は、声楽と管楽器のホルンの経験から、口(アンブシュア)を活用した発音については、感覚的にも理論的にもある程度説明できる。しかし、

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モダンチェンバロと呼ばれている楽器について(フランス)

モダンチェンバロと呼ばれている楽器について(フランス)

「モダンチェンバロ」という名称に多少違和感がありまして、調べてみました。

この本の場合「Modern Harpsichord Makers]は現代(近代)のチェンバロ製作者たちということです。いわゆるモダンチェンバロも製作したアーノルド・ドルメッチについては息子のリコーダー奏者カール・ドルメッチが執筆しています。イギリスについてはまた後ほど。

モダンチェンバロは19世紀末にヨーロッパで起こった

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音楽はなぜ心地よいのか<後編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」⑪

音楽はなぜ心地よいのか<後編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」⑪

音楽の心地よさを数学的に考える今回のテーマ。

前編はこちらから。

ピタゴラス音律の構成を考えてみよう

実際にその構成を行ってみます。数字がたくさん出てきて面倒なので、基準となる周波数をν(ニュー)としましょう。
また、音が1オクターブ内に収まるように、適宜1オクターブ下の音(周波数を半分)に置き換えて考えます。

まずもっとも近い音は3倍音の1オクターブ下の音(3/2)νです。次に近い音は、

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ピアノが上手な人は、なぜ上手なのか-物理的に考えると?<後編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉘

ピアノが上手な人は、なぜ上手なのか-物理的に考えると?<後編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉘

「ピアノの上手さ」の要素を以下の3分解し、物理的に考察するテーマ。
今回は<後編>です。
・空間的な正確性
・時間的な正確性
・強度的な正確性

<前編>はこちらから

【時間的な正確性】

これは「正確なリズムを刻む」ということではあるのですが、これには「短期的なリズム」と「長期的なリズム」の2つに分類できます。「短期的なリズム」は、例えばスケールやアルペジオの練習のように、すべての音が時間的に

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ピアノが上手な人は、なぜ上手なのか。物理的に考えると?<前編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉗

ピアノが上手な人は、なぜ上手なのか。物理的に考えると?<前編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉗

「子供に習わせたい習い事」としていつも上位に挙げられるのがピアノです。そのためか、世間には数多のピアノ教室があり、ただ楽しく弾くことを目的とした教室から、最初からプロを目指してスパルタ教育をする教室まで様々です。誰しも最初は練習によってピアノが上手になると信じてレッスンに通い始めるわけですが、そもそもピアノが上手いというのはどういうことを意味するのでしょうか?

「ピアノが上手い」と言われる人たち

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リパッティの祈りを

リパッティの祈りを

リパッティという、もう生誕100年になるピアニストがいる。33歳の若さで白血病で亡くなってしまったピアニストだ。ここ2~3日、ひたすらこのリパッティのピアノをCDで聴いていた。

プレゼンツの楽曲と、リパッティのピアノは、全く別物ではあるのだけど、私にとっては、なんと言ったらいいか・・・?・・・どちらも聴いていて胸がやたらと熱くなったり、すーっと雑念が洗い流されたりする感覚があって、何度も何度も聴

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オルガン体験記

オルガン体験記

 素敵だし憧れるけど、自分の人生には全く関係ないだろう。そう思っていたことが、何かのきっかけで突然身近になることって、たまーにありませんか?

 私は先日「パイプオルガン」を弾きました。大きなコンサートホールの壁にまるごとくっついている、あの楽器です。

 調べ物をしているときに偶然、とあるホールの「オルガン体験講座」のお知らせを見つけたんです。しかも受講者の募集条件に、たまたま自分が当てはまって

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クラシック音楽(7) ジュリオ・カッチーニ (1545-1618)

クラシック音楽(7) ジュリオ・カッチーニ (1545-1618)

“クラシック音楽”を少しずつ知るマガジン

ジュリオ・カッチーニ (1545-1618)ジュリオ・カッチーニ(Giulio Caccini)(1545年頃 - 1618年)。イタリア・ルネサンス音楽末期、バロック音楽初期の作曲家。ヤコポ・ペーリとならんでモノディー様式の代表的な音楽家の一人。

バロック音楽

16世紀の終わりから18世紀前半にかけてのヨーロッパ音楽を表す時代概念。一般的には、オ

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