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制作の呟き

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作品づくりについて考えていること。
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生活の中に在りたい

生活の中に在りたい

ある日の休日。

朝、目が覚めて

コーヒーを淹れて、お気に入りのマグカップで飲む。

昼下がり、部屋で好きな音楽をかける。

夜、本棚から一冊の本を取り出し、ベッドの中で読む。

気がついたら眠っていた。

そんな風に

「生活の中に共に在る」ものをつくれたら、と思ってやみません。

前回、「一点モノ」をつくることへの葛藤について書きました。

どうしても「多くの人にとって身近なもの」にはなりに

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表現の形態を模索する

表現の形態を模索する

とてもとても、久しぶりの投稿となってしまいました。

色々の締め切りや用事が立て込み、古美術研究旅行にも行ったりで、気づけば前回の記事は1ヶ月前。SNSの更新もしばらく止まっておりました。

ガーっとハマっては、パッタリと止まる。
そんな自分に終止符を打たなければならない。

9月の展示が終わってからというもの、「アウトプットモード」が完全に燃え尽き、「インプットモード」に全振りしておりました。

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パーソナルカラーの原理はデッサンと同じ?

パーソナルカラーの原理はデッサンと同じ?

noteはお預けにしたはずなのに、やっぱり書くのが楽しくて、また書いてしまっています。

↑サムネイルは、日本画の岩絵具です。
粉や砂のようになっています。

日本画に使われる岩絵具には、自然界にある色のついた岩石、貝や土、砂などを砕いた天然のものと、ガラスを粉にしたものに着色した人工のものとがあります。

どれも、色の名前が漢字で格好良い。

水晶やラピスラズリも絵の具になるのです。
水晶の粉末

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2人展「ふたりの庭」を振り返る

2人展「ふたりの庭」を振り返る

前回、展示ができるまでの過程、準備について書きました。

さていよいよ展示。
今日は、展示中のこと、展示を終えての振り返りを書いていきます。

さあ搬入。

会場で、作品を壁に設置して家具を配置して、コーヒー豆をカリカリ挽いて、仕込みしました。

……搬入を終えても、準備は終わりません!

会場の設営が終わったらすぐに家に帰り、ステートメント、プロフィール、芳名帳、記入シート、ポストカードの裏面、

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2人展「ふたりの庭」ができるまで

2人展「ふたりの庭」ができるまで

9月12日〜17日まで、キチジョウジギャラリー様にて
茨木希美さんとの2人展、「ふたりの庭」を開催いたしました。

この展示で学んだことがあまりにも多かったので、展示を振り返る記事を書きたいと思います。

今夜は「展示ができるまで」の過程を書いてみたいと思います。

①きっかけと場所選び

茨木希美さんは同じ日本画専攻の同級生で同い年です。同じ教室で制作しています。

きっかけは2年前、まだ一年生

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結局のところ、どれだけ生活の一部になれるか。

結局のところ、どれだけ生活の一部になれるか。

展示でバタバタしてしまい、なかなか記事を更新しておりませんでした。

昨夜は茨木さんの地元である名古屋の名物を、私が食べてみたい!ということで

名古屋名物を出しているお店へ夜御飯に行きました。

みそカツがあんなに美味しいとは驚きでした。

胡椒がよ〜くきいた手羽先や、「たません」というお好み焼きの卵とチーズだけバージョンをえびせんに乗せて食べるものとか。

喫茶店や、小倉トーストは前からずっと

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作り手が、初めて絵を購入した話

作り手が、初めて絵を購入した話

先日、私にとっては割と大きなことがあったのでそれを書いておこうと思う。

いつまでも忘れないために。

絵には「完成」が、2回ある。

1回目は、言うまでもなく画面の完成。
描き手が、描き終えたときだ。

2回目は、見る人がそこに物語を見出す、或いは自分との繋がりを発見する。

見る人が頭の中で物語を紡いで、絵に命が与えられる。
絵は2回目の完成を迎える。

そして作品をつくるということの本質は

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自分にとって心地よい描き方を探る

自分にとって心地よい描き方を探る

先日の記事で、大学の課題制作で描く絵が決まらないと散々嘆いた。

そして、今までの課題制作ではやってこなかったことを、やってみることにした。

日本画のオーソドックスな制作プロセスは、

①スケッチや写真で取材
②アイデアスケッチ
③実物大の下図
④パネルに転写
⑤骨描き(輪郭を描く)
⑥彩色

なのだけど、今回はこのうち、

③実物大の下図(大下図)
④転写
⑤骨描き

を、すっ飛ばしてみること

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自分に無いから、憧れる

自分に無いから、憧れる

ないものねだり。

今日は「作風」について書いてみる。

憧れる作品、こういうの好きだなーと思う作品は、大体自分が描いてる絵とは全然違う。

自分にとって考えやすい絵、描きやすい絵柄が、自分が「好き」なものと一致しているとは限らない。

他の人はどうなのか分からないが。
ちょっと聞いてみたい。

でも私の場合は、一致しないことの方が多いし、むしろ真逆だったりする。

ええっ、そんな事あるの。

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何を描くかが決まらない 

何を描くかが決まらない 

優柔不断どころの話じゃない。

【制作日記 2023/07/10】

今月の日本画の課題の締め切りまであと10日。
休みやバイトで大学に来れない日を引くと
あと6日。

嘘だろ……

約1m×1mの私のパネルは、未だ真っ白だ。

何を描くかも決まっていない。

隣の人なんて、これよりも大きなサイズのパネルでもう半分くらい完成している。

もちろん課題なのだから、出さないと単位が取れない。

締め切

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日本画は水との格闘

日本画は水との格闘

制作机が汚すぎるという点は、どうか見逃してやってください。

机はそこそこの広さがあるはずなのですが、
実際の作業スペースはランチョンマットよりも狭いという悲しき現状。

さて今夜は、「制作の呟き」をお届けいたします。

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今、待ち時間だ。

「水」が乾くのを待っている。

水は、コントロールが非常に難しい。

何より、
日本画に使われる岩絵具や水干絵具

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要素は少なく 純度は高く

要素は少なく 純度は高く

ということを意識するようになった。

大学に入ってからだろうか。

最小限の要素で構成された芸術に惹かれるようになってからだ。

映画より小説が好き

カラフルよりモノクロが好き
(上のは受験時代にはまっていたモノクロ写真)

本画より素描が好き

オーケストラより独奏が好き

賑やかな都会より静かな田舎が好き

というように。

情報量の多いもの、よりは情報量の少ないものの方が
自分は好きなよう

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描いてきた人物で自己分析してみる

描いてきた人物で自己分析してみる

絵の中に人物が登場することがよくあります。私は絵を一つの物語として捉えていて、その主人公として登場してきます。

モデルがいて、写生をベースに人物を描くことも大学ではありますが、小作品は基本的に空想で描いています。

今夜は、空想で描いた人物に絞り、そこに登場してくる人物は自分にとってどんな意味があるのか、ふと興味を持ったので、自己分析として、今まで登場してきた主人公の変化を振り返ってみます。

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「一点モノ」という葛藤

「一点モノ」という葛藤

音楽・文学・漫画・アニメなどと比べて「美術」が広く普及しないのは何故でしょう。

私は、美術作品の持つ「一点モノ」という性質が関係していると考えます。

「物体」なのです。

パフォーマンス、デジタルアートなど、そうでない美術作品ももちろんありますが。
ここでは「物体」のあるアート、絵画や立体作品についてのことを。

例えば音楽には、物体がありません。形がありません。いくらでも、複製して増やすこと

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