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TKA前後の慢性膝関節痛。身体活動とHRQoLとの関連

📖 文献情報 と 抄録和訳

人工膝関節全置換術後の慢性膝痛患者の身体活動と健康関連QOL:PEP-TALK試験の解析

📕Fabiano, Gianluca, et al. "Physical activity and health-related quality of life of patients with chronic knee pain after total knee replacement: Analysis of the PEP-TALK trial." The Knee 46 (2024): 80-88. https://doi.org/10.1016/j.knee.2023.11.012
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[背景・目的] 人工膝関節全置換術(TKA)後の慢性疼痛は、一部の人々にとって大きな課題である。術後1年間におけるこの合併症の影響の変化については不明な点が多い。本解析の目的は、術後慢性膝関節痛の有無にかかわらず、身体活動と健康関連QOL(HRQoL)がTKR後1年間でどのように変化したかを検討することである。

[方法] TKA後の通常のリハビリテーションと比較した行動変容理学療法介入の有効性を検証したランダム化比較試験(PEP-TALK)のデータの二次分析を行った。慢性膝関節痛(TKA後6ヵ月時点でのOxford Knee Score Pain Subscale(OKS-PS)14点以下)を有する参加者と有さない参加者のUCLA Activity ScoreとEQ-5D-5Lの平均値をTKR後6ヵ月と12ヵ月で比較した。

[結果] 83名の参加者のデータが分析された。
■ 慢性膝関節痛と身体活動との関連
・慢性膝関節痛のある参加者では、UCLA Activity Scoreはベースラインから6ヵ月後まで変化せず(平均:3.8→3.8)、12ヵ月後では減少した(3.0)
・術後慢性膝関節痛のない参加者は、ベースラインから6ヵ月間(4.0 vs 4.9)で身体活動性の改善を報告したが、12ヵ月間(4.9)でプラトーとなった

■ 慢性膝関節痛とHRQoLとの関連
・慢性膝関節痛群はどの時期においても一貫してHRQoLが低かった
・慢性膝関節痛を有する参加者は、ベースラインのHRQoLが低かった(0.28 vs 0.48)
・両群とも1年間でHRQoLは改善した

[結論] 6ヵ月後の臨床転帰をモニタリングすることは、TKA後の慢性疼痛のリスクを有する患者に対して適応となる可能性がある。さらに、この探索的解析の結果の一般化可能性を高めるために、十分な検出力をもった解析が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

TKA者はTHA者と比較して、手術したことを後悔する場合が多いらしい。

今回の抄読研究によれば、それは特に慢性膝関節痛の残存者において顕著かもしれないと思った。
慢性痛の残存者は、身体活動が低下しやすく、HRQoLも低くなることが示された。
痛みの改善を目的として手術したのに、それが改善しきらなかったということだから、そりゃそうなるだろうとも感じる。

気になるのは、その要因だ。
疼痛の改善/非改善の境界線に横たわる要因とは、何なのか。
それが、理学療法介入に関することであれば、僕たちに何かできることがある、ということ。
TKA後の疼痛の改善、その関連要因、さらにアンテナを高くしようと思う。

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