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(まとめに図版追加)『体(たい)』について
ここでは、「体」という新しい概念と、本文で何度も述べてきた「累乗根の添加」について解説します。前半は、本シリーズ (18) の(注3)(注4)で述べた内容を、体を用いて新たに書き直したものです。
後半では、具体的な2次方程式の解について、前半で述べた「体」と「累乗根の添加」を応用させていきます。
『体(たい)』について まずは有理数の集合を考えてみましょう(数の分類については(注1))。
2次対称群で、剰余群が巡回群になることの復習
2次対称群について これまでは、3次方程式を扱うために、3次対称群
$${S_3=\{id, \rho_2, \rho_3, \tau_1, \tau_2, \tau_3\}}$$
を主に扱ってきました。ここでは、3次対称群で辿ってきた道のりを、2次対称群(2次置換を要素とする集合)に当てはめてみます。
後に2次方程式でガロアの証明を扱うための準備と、より簡単な2次という構造で、剰
(図版追加)『巡回群』について、および剰余群が巡回群になること
巡回群について ここでは、重要な巡回群について解説します。巡回群とは「すべての要素が、あるひとつの要素だけを用いて表すことのできる群」です。具体的には、これまで何度も現れた、3次対称群
$${S_3=\{id, \rho_2, \rho_3, \tau_1, \tau_2, \tau_3\}}$$
の正規部分群である3次交代群
$${N=\{id, \rho_2, \rho_3
中学でも分かるガロアの証明⑤正規部分群の縮小について
(復習)左剰余類による類別 前回までは、3次対称群(3つの文字の入れ替えをすべて集めた群)
$${S_3=\{id, \rho_2, \rho_3, \tau_1, \tau_2, \tau_3\}}$$
の正規部分群である、3次交代群($${S_3}$$ の要素のうち遇置換だけを集めた群)
$${N=\{id, \rho_2, \rho_3\}}$$
による左剰余類(および右
(追記有り)中学でも分かるガロアの証明➃『剰余群』について
ここでは、剰余類どうしに新たに演算を定義して、その演算に関して剰余類の集合は群(これを剰余群という)になることを証明していきます。ガロアによる偉大な発見です。
ますは、本シリーズ (28) ~ (30) でやった定義、重要事項を記していきます。
(復習)群の定義 空でない集合 $${G}$$ の任意の要素 $${a, b, c}$$ の間に1つの演算 $${*}$$ が規定されていると
(追記有り)中学でも分かるガロアの証明➂『剰余類』及び『正規部分群』について
ここでは剰余類、及び正規部分群について解説をします。この考えは、「5次以上の方程式に解の公式が存在しない」ことを証明する上での重要なアイデアです。
置換の積に関して、3次対称群
$${S_3=\{id, \rho_2, \rho_3, \tau_1, \tau_2, \tau_3\}}$$
の部分群には、全部で以下の6通りがあります(本シリーズ (29))。
$${\{id,
中学でも分かるガロアの証明➁『部分群』について
前回(本シリーズ (28))では『集合』と『群』を説明しました。ここでは『部分集合』と『部分群』について解説していきます。
前回、3次置換全体の集合
$${S_3=\{id, \rho_2, \rho_3, \tau_1, \tau_2, \tau_3\}}$$
は、置換の積(合成)という演算に関して群となることを解説しました。この集合 $${S_3}$$ を『3次対称群』といい
中学でも分かるガロアの証明①『群』について
ガロアは『群』という数学的概念を用いて、5次以上の方程式に解の公式が存在しないことを証明しました。ここでは、その『群』について簡単に解説します。
(追記)あまり推敲せず、厳密でないところがあるので修正しました。分かりやすさと厳密性の狭間でもがいております。現状アバウトに読んでください。
集合について 数学的な意味での集合とは「範囲のはっきりしたものの集まり」です。そして集合を作っている個々のも
(大幅修正)(追記有り)もっと分かりやすく⑩ そもそもなぜ存在しないのかを『巡回置換』から紐解く
そもそもなぜ5次以上の方程式に解の公式が存在しないのかについて、『巡回置換』との関連で解説していきます。結論的なことは、本文最後の方で述べています。
3次方程式の解の公式の導出において、それが
「累乗根を取ることによる、解の置換の対称性の破壊」
とつながっていることは、全章の本シリーズ (26) でやりました。そのときの(図解)を改めて再掲します。平方根、3乗根と次々と累乗根を取ることによ
数式ミステリー『数学者のメモ』Page2
a=1-1+1-1+1-1+……
Let's try
a=1-1+1-1+1-1+……
=(1-1)+(1-1)+(1-1)+……
=0+0+0+……
=0
easy
a=1-1+1-1+1-1+1-……
=1+1-1+1-1+1-1+……
=1+(1-1)+(1-1)+(1-1)+……
=1+0+0+0+……
=1
easy
a=1-1+1-1+1-1+1
数式ミステリー『数学者のメモ』
a=b
a+b=b+b
a+b=2b
a+b-2a=2b-2a
b-a=2(b-a)
(b-a)÷(b-a)=2(b-a)÷(b-a)
1=2
Why?
No, no, no
Try again!
Let a=b
Add b. a+b=b+b a+b=2b
Subtract 2a. a+b-2a=2b-2a b-a=2(b-a)
Divide by b-a. (b-a)÷(b-a)=2(b
(追記あり)もっと分かりやすく➈「カルダノの方法」と「対称性の破壊」の関連について
「カルダノの方法」による3次方程式の解の公式の導出方法を、差積とラグランジュ・リゾルベントに関連付けながらもう少し深掘りします。カルダノの方法は「ラグランジュ・リゾルベントによる方法」(本シリーズ (6)、(7))につながっていることの大まかな解説です。
まずは、3次方程式の解の公式の導出(カルダノの方法)の流れを再掲します。
3次方程式の解の公式の導出の流れ(復習) 前章 (25) でやっ
(誤字修正)もっと分かりやすく➇「カルダノの方法」による3次方程式の解の公式の導出
3次方程式 $${ax^3+bx^2+cx+d=0}$$ を考えます。簡単のため、係数 $${a, b, c, d}$$ の範囲を有理数とします。係数の範囲は複素数まで拡張できますが、まずは有理数の範囲で理解できれば、複素数まで拡張することは容易です(注1で数の分類)。また、3次方程式なので当然 $${a\ne 0}$$ です。
なお本記事は、本シリーズ (3) の復習です。さらに詳しく
もっと分かりやすく➆「定数 ω」について復習
ここでは、本シリーズでたびたび現れる定数 $${\omega}$$ について解説します。主に本シリーズ (2) の復習です。
定数 ω の定義 $${\omega}$$ とは、「3乗して $${1}$$ になる数のうち虚数である定数」、つまり「1の3乗根のうち虚数であるもの」を表します(注で数の分類)。具体的には
$$
\begin{align*}
\omega=\dfrac{-1+\sqr
もっと分かりやすく➅「対称式ではない解の公式を基本対称式で表す」には?
(初めに)ここでは、分かりにくいと思った本シリーズ (11) の内容をもう一度解説していきます。
なお、本シリーズ (11) では便宜的に「係数の置き換え」を行っていますが、ここでは行っていません。置き換えるか置き換えないかの違いだけで、本質的には同じです。
本記事は『天才数学者はこう解いた、こう生きた』(木村俊一著)から引用を得るなど、大きく参考にしています。
(本文スタート)解の公式とは
もっと分かりやすく➄「解の和と差の連立」による2次方程式の解の公式の導出
(初めに)ここでは、分かりにくいと思った本シリーズ (11) の内容をもう一度解説していきます。
なお、本シリーズ (11) では便宜的に「係数の置き換え」を行っていますが、ここでは行っていません。置き換えるか置き換えないかの違いだけで、本質的には同じです。
(本文スタート)
2次方程式の解の公式について、「解の差積 $${\boldsymbol{\alpha-\beta}}$$ を添加する