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読書関連

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読んだ本に関する記事をまとめたマガジンです。
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記事一覧

『増補新版 KAWADE夢ムック 総特集 中島らも』を読んで

中島らも

シュルレアリズム

渋澤龍彦

結晶とイメージと時間

毒と呪術と旅

バロウズ『裸のランチ』

ギンズバーグ『吠える』

ケルアック『路上』

ボルヘス、南米、マジックリアリズム

自失願望

鈴木創士(EP-4)

ジル・ドゥルーズ…

なんだかバラバラだったものがつながり始めた。

 河出書房新社から出ている、中島らもさんの特集本がとても良くて気に入っている。厳選されたエッセイと

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ベルクソン 著 ドゥルーズ 編『記憶と生』を読んで

感想本文
 ベルクソンは、持続のなかに多様性と単一性をみていて、作用と反作用のように、一方だけを分析しても、それは現象の一側面でしか無いと考えており、混沌や無が、秩序や実在より少ないと考えるのではなく、混沌や無は、知覚の主観的な記憶の収縮が分割する以前であり、混沌と無からなる虚無の誤謬に陥らないような努力を携えながら、《直観》という、動き自体に内在しつつも主観的な体験、記憶を一旦外した、純粋持続と

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東豊著『マンガでわかる家族療法2 大人のカウンセリング編』を読んで

はじめに

波長合わせjoining
巻き込まれinvolvement
意味づけ(レッテル貼り・ラベリング)
仮説の作り方と介入計画
悪魔の契約
苦行療法ordeal therapy
認識されやすくなる(目につく) 
一番に見立てるべきはセラピスト自身の頭の中
利用法utilization(症状、行動、ルール、癖、嗜好、価値観や考え方など)
都合のよいように現実を切り取る
問題持続システムの一部

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エリクソン/ロッシ著『二月の男』を読んで

二月の男のアプローチ

1945年の非公式な形のデモンストレーション

ミス・キャメロン
エリクソン先生の秘書で、このデモンストレーションを速記した。

フィンク医師
当時はインターンであり、患者であるミスSをエリクソン先生に任せた医師であり、デモンストレーションに同席した。

新規にケースの精神力動を調べる際に、自発的な無意識の連想に頼ったという点においては、確かにエリクソンは直感的でした。催眠

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河合隼雄著「心理療法論考」について

出版社紹介文
 ユング派の旗幟を鮮明にした初期の論考から,療法一般の原理的・理論的考察,技法と実際の吟味,そして療法家の教育への提言にいたるまで,理論と実際の両面から我国心理療法の発展をリードしてきた著者の,療法家としての思索と体験の初めての集成。

目次
まえがき
Ⅰ. ユング派の心理療法
 ユング派の心理療法/ユング派の分析における技法と理論/夢分析による学校恐怖症高校生の治療例/夢のなかの治

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ミシェル・フーコー+渡辺守章著『増補改訂版 哲学の舞台』を読んで

 ミシェル・フーコー+渡辺守章の『増補改訂版 哲学の舞台』を読みました。対談ということもあり読みやすく、フーコー自身が自分の考えや実践について解説してくれています。この本では、キリスト教の〈告解〉の形態が現代の主体という問題に引き継がれていることを言及していて、ここだけでも読む価値のある本だと個人的には思いました。今回の記事はこの本を紹介していきます。まず、フーコーは自身の関心について、以下の引用

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納富信留著『プラトンー哲学者とは何か(シリーズ・哲学のエッセンス)』を読んで

 山内志朗『中世哲学入門ー存在の海をめぐる思想史』を読んでいて、イブン・スィーナー(アヴィケンナ)に、アリストテレスやプラトンが与えた影響を知ってギリシア哲学を知りたいと思いました。哲学書で何から読めば良いのか困った時は、NHK出版の「シリーズ・哲学のエッセンス」を頼りにしているので納富信留先生のこの本を手にしてみることにしました。ちなみに「対話の技法」という本も出されていています。こちらは、日頃

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小林真樹著『日本の中のインド亜大陸食紀行』を読んで

 何気なく図書館で借りて来た本だったのですが、これは好きな人には堪らない本と思います。カレーおじさんや印度カリー子さんなどカレー好きの動画を見るのが好きな人や、日頃からインド料理に関心を持っているは楽しめる本だと思います。個人的には日本人には分からない各国の食文化の細かな違いや、各国の人たちが日本でどんな暮らしをされているのか垣間見えて、とてもおもしろかったです。
 著者はアジアの旅行好きで、イン

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正木晃著『日本仏教13宗派がわかる本』を読んで

 『チベット密教』を書かれた正木晃先生が、日本仏教について解説された本を見つけたので読んでみました。

詳説 日本仏教13宗派がわかる本

 こちらの『詳説 日本仏教13宗派がわかる本』は一般の方向けに書かれた内容でわかりやすい解説になっています。宗派による仏閣の違いも書かれていているのでお寺巡りが好きな方にもよいかもしれません。また、13人の名僧列伝もついていて読み応えもあります。この記事では個

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ホール・ヴェーヌ著『フーコー その人その思想』を読んで

 この本の著者であるポール・ヴェーヌは歴史学者であり、哲学者であるミシェル・フーコーのコレージュ・ド・フランス時代の同僚だったそうです。学術的というよりも、一人の友人としてフーコーを描いているような一冊です。序論の『サムライと金魚』に例えた文章が印象に残ります。ちなみに、書影の表紙は浴衣を着たほっそりとしたフーコーの写真となっています。

こんなふうに、始まります。

 文章は、ポール・ヴェーヌの

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石牟礼道子・伊藤比呂美著「死を想うーわれらも終には仏なり」を読んで

石牟礼道子さんのことを知りたくて「死を想うーわれらも終には仏なり」を読みました。

伊藤さんとは気の知れた仲なのか、石牟礼さんは伊藤さんの質問に対してざっくばらんに答えます。また、石牟礼さんから質問することもたびたびあります。

なんというか、草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)であったり、山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)」を地でいくような人なんだと読んでいて

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小松原織香著『当事者は嘘をつく』を読んで

 個人的には自分の感覚にしっくりきましたが、読む人によって意見が様々に分かれる内容だと思います。そして、テーマがテーマだけに、読むことに体力がいる本だと思います。実際に私自身も何か自分自身の体験を掻き立てられてしまう箇所もあって体力を消耗するような感覚がありました。それだけ、筆者の巡った足取りが、体験的に描かれていることだと思います。きっと、この感じ方自体も意見が分かれるはずです。

 回復という

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フーコー著『真理とディスクール パレーシア講義』を読んで

 こちらは、ようやく見つけたフーコーの後期のパレーシアに関する講義の文献です。

本書によると、パレーシアが初めて登場するのはエウリピデスの悲劇において、紀元前五世紀末にはギリシアの世界では使われていたとされています。

パレーシア 名詞(素直に語る)
パレーシアゾマイ、パレーシアゼスタイ 動詞
パレーシアステース 名詞(真理を語る人)

 レトリック(弁論術)を使わずに、みずからの意見を明確かつ

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最近の読書について

 清水高志さん経由で、人類学者の奥野克巳さんのことを知り「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと」を読んだら素晴らしかったです。そして、中沢新一さんが愛知万博の際にレヴィ=ストロース、ミシェル・セール、ブルーノ・ラトゥールと交わした対談が「惑星の風景」という本になっていることを知りました。これも、とても良かったです。加えて、奥野克巳さん経由でティム・インゴルドを知っ

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