スザク

サブカル好事家。好きなもの→幻想絵画・古本・アウトサイダーアート・文芸・ガロ系・サブカ…

スザク

サブカル好事家。好きなもの→幻想絵画・古本・アウトサイダーアート・文芸・ガロ系・サブカル漫画・奇想・怪奇・エトセトラ 最近アマチュア落語はじめました

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  • 「うつ」が小道をやってくる

    うつ病の闘病日記です。

  • 短編小説

    私小説と幻想小説の勉強中

最近の記事

沼に沈む、その途中

 だいたい9月ぐらいになると、手帳ユーザーは来年の手帳について悩み始めるが、私は年がら年中悩んでいる。私は趣味について器用貧乏というか、深いところまで行かずに終わってしまうが、手帳についてもそういうところがある。  「ほぼ日」が2022年・2023年と一応続いたのだが、両年とも書いているのは1日1ページの3分の1以下。見返すのはマンスリーのページのみ、という書き方にイライラしてきた。2023年はその関係で別の手帳に浮気したけどまた戻ってしまった。はぁ。以前も「一生悩み続ける

    • Blueskyにアカウントを作りました

       こちらは好きな絵をただあげていくだけのアカウントにするので、リフォローはしない予定。今更ながらBlueskyじゃなくてインスタグラムでも良かったなとは思ったが、インスタはインスタで別の趣旨のアカウントにしているので。  しかし、X(旧Twitter)はいわゆる「インプレゾンビ」と、以前からあった面倒な係争で修羅道と化している。私はX出戻り組であるが、今更ながらで戻ってきたことを後悔している。前よりもっとひどくなってるじゃんか。 

      • 落語その2・3・4

         いろいろあって素人落語をすることになったのは、下の「素人落語で初高座をやった日」に記したので、今回はその後の記録である。  さて、落語を覚えるためにいろいろ本を買ったが、中でも筑摩書房の「古典落語」(全5巻)は、仕草や目線なども事細かく書いてあってわかりやすかった。そしてCDやYouTubeでその噺をいくつも聞いて、好きな噺家さんを見つけ、後はそれを聴きまくってタイミングを覚える。みたいな感じである。  よく「速記本を読んだだけで覚えたというのはいかがなものか」みたいな批

        • 真鍋昌平「闇金ウシジマくん」

           今更ながら、読み終えた。  とてつもなく面白く、そしてリアルである。ひしひしと「現実」の怖さが伝わってくる漫画だ。  あらすじを簡単に。  主人公・丑嶋馨が経営する闇金融「カウカウファイナンス」は、10日5割(トゴ、と称される)の暴利。そんな彼に金を借りに来る客は、パチンコ依存症の主婦、風俗嬢に貢いだ男など、様々な問題を抱えた人々。彼らとその関係者の人間模様を、冷徹な視点で描いた作品である。  丑嶋のこのセリフが、全体の空気を表しているだろう。彼の言葉は非情に鋭く、

        沼に沈む、その途中

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        • 「うつ」が小道をやってくる
          2本
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          2本

        記事

          村上春樹「女のいない男たち」

           2021年の日記。  公開中の映画「ドライブ・マイ・カー」を見てきたのだが、なかなか感想が難しく、書きあぐねていた。その間、原作である村上春樹の短編集「女のいない男たち」を読み終えてしまい、こちらのほうが感想がまとまりそうなので、こちらを先に書く。 その前に、村上春樹の短編について。  村上春樹の短編集で、既読なのは「中国行きのスロウ・ボート」だけである。感想を書いてないのは、内容がいまいち頭に入らなかったからだ。それからというもの、村上春樹の短編は読まず、長編だけずっ

          村上春樹「女のいない男たち」

          素人落語で初高座を演った日

           私が高校生の頃に学校寄席というものがあり、名古屋弁の落語家が方言をネタにした落語を話していた。おそらく三遊亭円丈師匠…だと思う。その後、大学生の頃にテレビ番組の公開収録があり、友人が当たったというので一緒に見に行った。その時は桂米朝一門の落語会で、桂ざこば師匠が「厩火事」、桂米朝師匠が「つる」をやっていた…という程度である。  その後東京に来て、友人が「快楽亭ブラック師匠の独演会に行かないか」と突然誘われ、付いていったのが運の尽きというかなんというか。タブーなしに何でも語り

          素人落語で初高座を演った日

          ほぼ日に始まり、浮気をし、ほぼ日に戻った1年

           昨年(2022年)に引き続き、今年も手帳はほぼ日から始まった。  私は職場から支給された手帳で「手帳」という物を知り、その後システム手帳にハマってバイブルサイズ→hb×wa5→A5と巨大化したが、携帯性を考え職場の手帳に戻ったり、いろんな手帳術の本を読んだりして、いわゆる一種類の手帳が長続きしない「手帳ジプシー」に両足を突っ込んでしまっていたのである。  そんな時、システム手帳でいろいろあれもこれも分類するのをやめて「もうこれでいいや」と手にしたのがほぼ日手帳であった。  

          ほぼ日に始まり、浮気をし、ほぼ日に戻った1年

          石井遊佳「百年泥」

           いやー、薄い小説なのにえらく読むのに時間がかかってしまった。こういうマジックリアリズム的な小説はびっくりしてしまうんである。いや、村上春樹で多少この手の描写はあったが、「百年泥」は唐突に異常な描写が大量に押し寄せてくる。それこそこの泥のように。  あらすじ。  主人公の女性は元カレに勝手に名義を使われ、多重債務者になってしまう。困り果てた彼女は不動産や株取引仲介など、怪しげなブローカーをしている元夫に借金を申し込むと、インドはチェンナイの日本語学校の教師の職を紹介される

          石井遊佳「百年泥」

          「難しい本読んでるんですねえ」

           ご趣味は、と問われて当たり障りなく「読書です」と言うと、「へー、どんな本読んでるんですか」と聞かれて、困惑する。  オタク関係の集まりでも「スザクさんは何系のオタクですか」と聞かれて、もっと困惑する。最近アニメは見なくなったと言うと「じゃあオタクじゃないですね」と言われもっともっと困惑するのである。  私は「アレも好きだけどコレも好きだし、ああこの間のあれは良かったし…」と、いろんなものに浮気をするので、自分の土俵というか主戦場を持たない性格らしいのである。  ここ数年は

          「難しい本読んでるんですねえ」

          車谷長吉「妖談」「鹽壺の匙」「金輪際」

           川崎長太郎に続き、私小説を読んでみようシリーズ。藤澤清造「根津権現裏」も買ったが少し読みにくいので、車谷長吉から読み始めた。  車谷長吉(くるまたに ちょうきつ)は兵庫県に生まれ、様々な仕事を転々としながら小説を書き続けた。この「妖談」は掌編小説が34載っているため、読みやすいだろうと思って読み始めたのである。  「妖談」は様々な身の上の主人公が、嫌な目にあって無常を感じたりむかむかしたり達観したりする。そして唐突に話が終わってしまう。主人公が車谷自身かどうかは定かでは

          車谷長吉「妖談」「鹽壺の匙」「金輪際」

          川崎長太郎「鳳仙花」

           私小説家である川崎長太郎の講談社文芸文庫から出ている作品、少し前に読んだ短編集「抹香町・路傍」に続いて、短編集「鳳仙花」を読んだ。  彼は小田原の実家にあるトタン張の物置小屋(二畳。風呂・トイレはもちろんない)で寝起きし、朝は公衆便所や郵便局の手洗い場で顔を洗い、近くの食堂(「だるま」といい、現存・営業している)でちらし寿司を食べ、近くの「抹香町」と言われる私娼街(赤線、と言ったほうがわかりやすいだろうか)で女を冷やかし、時には遊び、そしてみかん箱を台にして蝋燭の火で私小

          川崎長太郎「鳳仙花」

          川崎長太郎「抹香町・路傍」

           以下は、2021年の日記からサルベージしたものである。  つげ義春の随筆「貧困旅行記」の中に、川崎長太郎という小説家が出てくる。川崎長太郎の経歴等はウィキペディアなどを読んでほしいが、小田原の魚屋に生まれ、文学を志し上京したものの、帰郷して実家のトタン張りの物置に寝起きし、朝は公衆便所の水道で顔を洗い、近くの食堂で寿司を食べ、女郎屋を徘徊し、ミカン箱で小説を書くという凄まじい生活を送っていた人物。まあ、端的に言えば私小説家で、自分のことを赤裸々に小説で語っている人である。

          川崎長太郎「抹香町・路傍」

          温泉に逃げる。2

           「野宿野郎」というぶっ飛んだ名前のミニコミ誌があるのだが、ご存知だろうか?編集長のかとうちあき氏は、お金をかけないで旅行することを心情とし、竜飛岬から下関まで50日間かけて本州を野宿縦断したというトンデモナイ人である。  彼女は、「家で寝ているより断然面白い」と15歳にして野宿に目覚めてしまった。なんと早熟な女性だろうか。  そして「野宿入門」は、ミニコミ誌「野宿野郎」の編集長である彼女が、野宿の基本とノウハウ、場所選びまで書いた野宿のマニュアル本である。  彼女の「

          温泉に逃げる。2

          温泉に逃げる。1

          「ひなびた温泉」  大学生の頃、つげ義春のエッセイ「貧困旅行記」を読んでからというもの、私の中の温泉のイメージは一変した。すごくいい本なので、一読をすすめる次第である。いやほんと。  家族で旅行に行ったり、会社の慰安旅行で温泉に行ったり…というと、大きな規模の温泉(サウナがあるなど)だったり、宴会場があったり、ラーメン屋があったりカラオケがあったり、何かイベントがあったり(ディナーショーとか餅つき大会とか)…こういうのは、私の中では「陽」の温泉である。歓楽地としての温泉だ

          温泉に逃げる。1

          「うつ」が小道をやってくる3

           3度めの通院。実は睡眠できないというのは治りつつあるが、ふさぎ込むというのは治らない。死ぬのは怖いけど、家族を捨ててどこかにいなくなるのは構わないという感情も変わらない。その感情が、異様に落ち着いているというか、達観している感じになるのが気持ち悪い。  …などということは言わず、「睡眠できるようになりました」というと、先生が「薬が効いている証拠ですね」と。薬を飲んでいるか、というのはかなりしつこく聞かれたのだが、やはり飲まない人がいるのだろうか。あと、薬を飲んでいるだけで

          「うつ」が小道をやってくる3

          「うつ」が小道をやってくる2

           1週間後、2度目の通院に行ってきた。薬は2週間分もらっていたし、「薬の効果は2週間ぐらい続けないと分からないかもしれませんよ」と言われたのだが、結局2週間後の週に休める日がなかったのだ。  タブレット端末を渡され、またひたすらチェックを入れていく。3つのカテゴリがあって、合計60問ほど、なかなかきつい。約20分後、終了したので看護師に渡して、いよいよ診察である。「どうも」と、先生はにこりともせず出迎えてくれた。診断結果は自閉症スペクトラムとADHDの傾向があると。うつ状態は

          「うつ」が小道をやってくる2