岩崎輝央/編集者

81年生/出版社キノブックス勤務/ビジネス書編集者から小説編集者に脱皮中/過去の担当作…

岩崎輝央/編集者

81年生/出版社キノブックス勤務/ビジネス書編集者から小説編集者に脱皮中/過去の担当作や編集についてなどを書きます/好きな言葉は「差別化」/ オンラインサロン「t.i 小説編集ラボ」主催 https://camp-fire.jp/projects/view/80826

最近の記事

ひとつの本の書評をよみくらべてみる。

発売からひと月がたちまして、 ありがたいことにいくつかの媒体で取り上げられた 『アネモネの姉妹 リコリスの兄弟』(古内一絵 キノブックス刊) の書評をいくつか、一部分だけピックアップさせていただきます。 そういえば、ひとつの本の書評を見比べてみるというのも、 なかなかないことですね。 【きょうだいなんて、持つもんじゃない?】:山陽新聞デジタル|さんデジ 本書の帯には、こうある。 「兄弟姉妹に一度でも仄暗い感情を抱いたことのあるあなたへ」。 そんな人間が、いないはずがな

    • 本は家のインテリアになるのか?

      飲みかけのコーラのペットボトルを冷蔵庫に戻すときに、 いかに炭酸を抜かないようにするのか悩んでいます。 いまはフタを逆さにして保管していますが、 結局一度で飲み切るのが一番だと気づいた、編集者の岩崎です。 さて。 発売から1週間がたった『アネモネの姉妹 リコリスの兄弟』。 発売前からカバーを見せた人やツイッターで、 「装丁がかわいい!」 「オシャレ!」 「部屋に飾りたい!」 と絶賛されておりました。 こちらのカバー。 イラストはオオノマユミさん 装丁デザインは鈴木成一デ

      • 編集者にしか書けない「アネリコ」裏話

        小説『アネモネの姉妹 リコリスの兄弟』担当編集者が、製作裏話をしちゃいます。 さてさて。 この小説はもともと、キノブックスのwebマガジン「キノノキ」に2018年5月~2019年4月まで、月に一回のペースで連載していたものをまとめて単行本化したものです。 ただし、「加筆修正」をしてあります。 ようするに、キノノキに連載されていたものと実際に本になったものは、似て非なるものだったりするのです。 どこがどう違うというのは、あまり具体的に書きませんが、一か所だけあげるとすると

        • まだ夏なのに「2019年最大の収穫!」と言わせた小説とは?

          こんにちは! キノブックスという出版社で編集者をやっている岩崎といいます。 「素晴らしい! 2019年最大の収穫といって良い作品!」 「あー、こういうのが読みたかった!」 「いつの間にか自分で自分を縛っている、本当の自由へと踏み出す力がもらえるかもしれません」 「花言葉診断ミステリーのようで、新しくて、それでいて古風で、奥が深い」 「最終章のキャロラインの強烈な一発で、それまでのもやもやが一気に吹き飛びました」 こんなふうに大絶賛されている小説があります。8月21日発売と

        ひとつの本の書評をよみくらべてみる。

          この小説家を知らないのはマズイ!

          ★古内一絵さんという作家を知っていますか?★古内さんの作品「マカン・マラン」四部作が最近、数多くの書店でフェアが組まれ、いま、書店員の間で非常に注目されているのです。 ①『マカン・マラン~二十三時の夜食カフェ~』 ②『女王さまの夜食カフェ~マカン・マラン ふたたび~』 ③『きまぐれな夜食カフェ~マカン・マラン みたび~』 ④『さよならの夜食カフェ~マカン・マラン おしまい~』 この小説がすごいのは、映像化や文庫化をされたわけでもなく、メディアで取り上げられたわけでも

          この小説家を知らないのはマズイ!

          小説のプロモでプラモを作った話

          6月9日にキノブックス文庫から出た『ゴールデンラッキービートルの伝説』という小説の編集を担当しました。 この小説は2012年に新潮社から出版されていて、通常の流れであれば新潮文庫から出版されるわけですが、なんやかんやと著者である水沢さんの男気によって、キノブックス文庫から出版されたのです。 (なんやかんやの詳しくは、こちらの記事に著者が書いています) さて。 『ゴールデンラッキービートルの伝説』のプロモーションについて少し書きます。 僕はこれまでビジネス書を主に作ってき

          小説のプロモでプラモを作った話

          えっ、文庫も売れていないの?

          ●周囲と違う結果を出したいなら……。周りと同じ行動をとっていたら、同じ結果にしかならない。 周りと違う結果を出したいなら、違う行動をとるしかない。 大好きな言葉です。 100人が受けて90人が受かる試験で合格するには、周りと同じ勉強をすればいい。 でも、100人中1人しか合格しない試験なら、周りと違うことをしなければならない――。 言うのは簡単なんですが、周りと違うことをやっても必ず受かるわけではありません。 となると、周りと同じことをやっていたほうが安心する――。 そ

          えっ、文庫も売れていないの?

          オンラインサロンに投稿した相談

          今日は、僕がオーナーをしているオンラインサロン 「t.i小説編集ラボ」に投稿した記事の一部を掲載します。 ラボ内では一体どんなことをやっているのか。 興味のある方はぜひ、読んでみてください。 ******** こんにちは。 またもご相談です! 11月下旬発売予定で、 水沢秋生さんという小説家の書き下ろし恋愛小説を出します。 水沢さんの『プラットホームの彼女』という文庫がムチャクチャ切ないんです! この書き下ろし恋愛小説も、 ここで編集チームを作れればと思いますが、いか

          オンラインサロンに投稿した相談

          もしも本を手に入れるまでに苦労したなら?

          手に入れるまでに苦労すればするほど、やっとの想いで手にした物は、何年経っても色褪せない。 そんなことありませんか? 今回は、もう20年以上前、僕の中学時代の話です。 PAMELAHという女性ボーカルと男性ギターの二人組がいまして、僕は完全にハマッてました。 PAMELAH まだまだインターネットが普及していなかった時代です。 新曲の発売を知るには、音楽雑誌を調べるか、当時はたくさんあったCDショップの新曲予約コーナーをチェックするしかありませんでした。 音楽雑誌でPA

          もしも本を手に入れるまでに苦労したなら?

          赤福から考える、本の新しい楽しみ方

          赤福って知ってますか? 美味しいですよね! 程よい甘みのあんこで包まれた柔らかいお餅! 伊勢名物! 先日、新大阪駅でこの赤福を購入しました。 調べてみたら、赤福って三重や大阪、京都などの近畿地方でしか買えないんですよね。 全国のお土産が集まる東京駅でも買えない。 「ここでしか買えない」 「ここでだけ食べられる」 なわけです。 全国では買えない。 だからこそ良いんですね。 まさに差別化! もちろん、おみやげは基本的にそこでしか買えないものなんですが、こういう差別化の

          赤福から考える、本の新しい楽しみ方

          これからの小説の話をしよう。

          少し前まで、小説の楽しみ方は、読むことにありました。 娯楽が少なかった時代は、それだけでも十分だったはずです。 だから、小説は売れていました。 けれど、インターネットやスマホの登場によって、娯楽は溢れかえり、これまで読書にあてていた時間は、他の娯楽にとられるようになりました。 結果、本、とくに小説はどんどん売れなくなりました(ちなみに、ここでいう娯楽とは、スマホゲームや、ラインでの恋人とのやり取り、ツイッターでのタイムラインチェックなども含みます)。 にもかかわらず、

          これからの小説の話をしよう。

          タイトル案をオンラインサロンにあげてみた

          こんにちは。 出版社で本の編集者をやっている岩崎といいます。 本が売れないといわれる出版業界で「何とかして小説を売ってやる!」と思い、「t.i小説編集ラボ」というオンラインサロンを立ち上げ、新しい小説の売り方について模索している真っ最中です。 ○タイトル案を相談オンラインサロン「t.i小説編集ラボ」で、ある本のタイトル案をいくつかアップして相談すると、それについていろいろと意見などをいただきました。 みなさん、もちろん出版業界の人でなく、だからこそ勉強になる話を聞かせて

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          たった一言で人間は変われる

          こんにちは。 出版社で本の編集者をやっている岩崎といいます。 本が売れないといわれる出版業界で「何とかして小説を売ってやる!」と思い、「t.i小説編集ラボ」というオンラインサロンを立ち上げ、新しい小説の売り方について模索している真っ最中です。 ●頑丈なバッファローの群れを砕く先日、少し時間をつくって、なんでオンラインサロン、t.i小説編集ラボを立ちあげたのか、改めて考えてみました。 元々は、僕が編集担当する小説をたくさんの人に読んでもらいたくて、そのために何をすれば良い

          たった一言で人間は変われる

          8月15日のオンラインサロン日記

          こんにちは。 出版社で本の編集者をやっている岩崎といいます。 本が売れないといわれる出版業界で何かできないかと思い、「t.i小説編集ラボ」というオンラインサロンを立ち上げ、新しい販促について模索しています。 さて、前回の投稿で「t.i小説編集ラボをガラス張りにします」と書きました。 なので、先日僕のサロンへの投稿を、途中までですが、公開してみます。 ―――――― 【無名の新人の小説プロローグです】 ×××××(ラボ内では公開)って女性三人組パンクバンド、知ってます?

          8月15日のオンラインサロン日記

          ドキュメンタリーとオンラインサロン

          こんにちは。 出版社で本の編集者をやっている岩崎といいます。 本が売れないといわれる出版業界で何かできないかと思い、「t.i小説編集ラボ」というオンラインサロンを立ち上げ、新しい販促について模索しています。 さて、最近、noteを何回か書いていて思ったのです。僕はズルいことをしていたな、と。 著者が書いてきた原稿に対して、しばしば僕が言ってきたことが、 「こんなの誰でも書けますよ。もっと内面をさらけ出してください」 「ここ、本音をしっかり書いてくださいよ。建前はいりません

          ドキュメンタリーとオンラインサロン

          本と一緒に○○○を送ったときの話

          今回は「差別化」を狙った献本について、半年前に出して現在6刷までいっている担当作を元に、その方法を書きます。 ○どうやったら本を取り上げてもらえる? ○短いタイトルがつけたい ○「ターゲット」と「喜び」 ○本と一緒にめぐりズム ○その結果は…… ○どうやったら本を取り上げてもらえる?編集者の仕事の一つに「献本作業」があります。 完成した本を、記事に取り上げてくれそうなテレビ、ラジオ、雑誌、ネット媒体などに送る作業です。 最近は、SNSで人気のある、いわゆるインフルエンサ

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