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BCGが読む経営の論点2024④:サーキュラーエコノミー視点での、イケアの「3方よし」の森林管理とは?

読書ノート(154日目)
昨日に引き続き、今日も
こちらの本を紹介していきます。

もはや毎年恒例とも言える
「BCGの経営の論点」シリーズ
2024年版の注目テーマ(目次)は
以下の通りです。

・2024年に注目すべき大きな潮目の変化
第1章 エネルギーシフト:日本企業は”賢い需要家”を目指せ
第2章 生成AI:日本の”勝ち筋”と導入の5つのポイント
第3章 サーキュラーエコノミー:気候変動の次は生物多様性が問われる
第4章 経済安全保障とサプライチェーン:
 リスクの見える化で意思決定の仕組みづくりを

・競争優位を築くために必要な組織の能力
第5章 事業開発力:新たな成長に向けM&Aをどう活用するか
第6章 イノベーション:進化する手法と日本企業復活へのポイント
第7章 プライシング:インフレ時代の「値付け」戦略
第8章 人材戦略:「人事」を越えた経営課題へ発想の転換を

そして今日は
第3章 サーキュラーエコノミー
 
についてです。

第3章:サーキュラーエコノミー
     気候変動の次は生物多様性が問われる
・この1年、新たな経営課題として
 注目度が高まっているのが「生物多様性」
・人類が生存できる安全な活動領域とその限界点を
 定義した「プラネタリーバウンダリー」という概念がある
・地球というシステムを気候変動や土地活用の変化など
 9つのサブシステムに分けて限界点を表したもので、
 そのうち生物多様性はレッドゾーンで表示されている
 
(一定レベルを超えると回復が極めて困難になることを意味する)
・絶滅危惧種の動植物だけではなく、生態系へのダメージにより
 生物多様性が損なわれ続ければ、人類も食料や水、気候の安定に
 関わる生態系がもたらす恩恵を持続的に受けられなくなる
・2023年9月には自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)による
 情報開示の枠組みの最終版が公表
・直近の株主総会では、投資家から
 「御社は生物多様性の問題をどのように考えて取り組んでいるか」と
 問われ対応に苦慮した企業も多く見られた
・2022年12月に開催されたCOP15では「30 by 30」などの
 具体的な行動目標が設定された
 (2030年までに陸域と海域の30%以上を保全する。
  現在、世界で陸の17%、海の10%が保全されている)

生物多様性は「複雑系」で様々な要素が相互に絡み合っており因果関係の
 解明が難しく、気候変動のように1つの指標で測定するのが困難
・「複雑系」の解決策となる、サーキュラーエコノミー
・BCGが特に注目しているのが再生農業
・農産物を生産しながら、同時に土壌の質を高め、圃場(ほじょう)の
 生物多様性を回復させることで、圃場の生態系の中で窒素やリンなどの
 資源を循環させ、環境を再生しながら経済性を向上させるアプローチ
・農地を耕さずに作物を栽培する不耕起栽培や堆肥の活用によって、
 有機物を含む豊かな土壌をつくるなどで生態系を維持し
 土壌を修復したりする
・瘦せた土地では1%程度である炭素量を3%以上に向上させ、
 土壌炭素固定によって環境改善効果が損失分を上回る
 「ネットポジティブ」に貢献でき、さらには、
 より少ない手間と肥料・水で栄養価の高い作物を栽培できる
・米カンザス州の小麦農家を対象に行った分析では、
 小麦の栽培を再生農業に移行すると、移行期(1年目~3年目)に
 一時的に利益が減少するものの、長期的(4年目以降)には従来型農業で
 想定される利益と比較し2.2倍の利益をもたらす可能性がある
・ただしアジアモンスーン気候には不耕起栽培は必ずしも適さないため、
 適用するには日本ならではの再生農業の手法・定義が必要

・企業事例1:イケア(森林保全・再生でサプライチェーンを強靭化)
・スウェーデンの家具メーカーのイケアは、調達先である
 森林の管理に乗り出している
・ハリケーンで損傷したフロリダ州等を含む25万ヘクタールの土地に
 直接投資し、植樹により森林の回復や管理をしてきた
・イケアは自社のサプライチェーンを超えて取り組んでいる点も特徴
・世界自然保護基金(WWF)と連携しアジアや欧州を中心に
 3500万ヘクタールの森林を管理している
・結果として、この取組みはイケアのビジネスにとって
 リスクヘッジにもなる
・自然災害などにより自社サプライチェーン内の森林が
 利用できなくなっても、別の場所から調達可能に
・世界的に木材価格が上昇する中でも、常に安価に安定調達できるため、
 コスト優位を実現している
・さらに、一連のサステナビリティへの取組みを公表した結果、
 顧客の平均年齢が13歳若返った
・BCGが日本の消費者を対象に行った調査では、
 「地球温暖化/気候変動問題を知って行動を変えた」
 答えた割合は年齢区分別では10代後半が最も高い結果となった
・若い層を呼び込もうと、巨額のマーケティング費用を投じている企業も
 少なくないなかでこの結果は興味深い

・企業事例2:ウォルマート(地域や流域まで広く展開する)
・米小売大手ウォルマートは、主要商品の生産地を再生する
 プロジェクトを立ち上げている
・一例としてカナダのフレーザー川流域で行われた、サケの遡上地の再生
・ウォルマート自体は再生活動に直接従事しないが、
 サプライヤーを巻き込み、ルールを設定したり、ツールを提供したり、
 その地域で生産された原材料を購入するという形で貢献
・温室効果ガス排出量は業界単位で捉えることが多かったが、
 生物多様性は地域単位の課題であることが多く、
 自治体や住民を巻き込んだ取り組みを進める必要がある
・バリューチェーンの川上から川下まで一気通貫で取り組むためには、
 カーボンクレジットやネイチャークレジットのマーケットを整備し、
 利用することも考えられる

・日本企業としても姿勢が問われる
・たとえばファストファッションの衣料をリペアやリユース、
 リサイクルするのは循環型モデルだが、その一方で耐久性の高い服を
 つくって一回買ったら長く使用してもらい、循環させないほうが良い
 という別の考え方もある。ファッション領域の企業は
 どちらのスタンスを取るかを問われることになる
・また、企業としてどこまで目配りするかという
 境界線の置き方も課題となる
・一例として、環境に配慮した農法で作られたサステナブルコットンの
 調達率を高めようとするアパレルメーカーは増えているが、それにより
 生じるのは希少な原材料であるサステナブルコットンの争奪戦

・生物多様性は複雑系の問題であり、
 自社が直接かかわる対象のみを見ていても大きな貢献はできない
バウンダリーを越えてどのように責任を果たすかを考えていかない限り、
 本質的な問題解決は見込めない
・2024年は日本企業も対応が急務となる。
 今こそ、企業としての姿勢を決める議論を進めておくべき

今回のテーマは
サーキュラーエコノミーでした。

昨年か一昨年のニュースの中で
「生物多様性」
「サーキュラーエコノミー」
「プラネタリーバウンダリー」
という言葉は聞いた事はありましたが
今日このような形で、改めて
整理しながら学べて良かったです。

いよいよ2024年は、
各社にとって待ったなしの対応課題に
なるだろうということで、
具体的な企業事例が参考になりました。

本書では企業事例の一つに
イケアが紹介されていましたが、
バリューチェーンの川上に注目しつつ、
安定価格と安定供給を実現できるので
企業のリスクヘッジにも繋がる。

つまり、売り手・買い手・世間(環境)
「三方よし」な取組みに仕立てられると、
世の中に公表した時にも
よりポジティブに受け入れられるのかも
しれないですね。

単純に「環境に配慮しています」だけだと、
もしかしてその分が割高なのでは?
といった邪推をする消費者もいるかも…

その結果、
せっかく企業イメージは上がっても
購入意欲は下げてしまう懸念もあるかなと…

(これは完全に個人的な感想ですが…
 顧客の平均年齢が13歳も若返ったことは、
 その変化量が大き過ぎる気がして、
 サーキュラーエコノミーの取組み
 だけが要因ではなさそうな気もします…
 実際のデータを見ていないので、
 本当にただの直感ですが…)

まだまだ私自身がこの分野は勉強中
ですので、今後のニュースで
「サーキュラーエコノミー」関連の
言葉を見かけたら注目してみよう!
と考えています。

今日もここまで読んでくださり、
ありがとうございました!

それではまたー!😉✨

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