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シン映画日記『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』

MOVIXさいたまにて、元乃木坂46の松村沙友理主演の『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』を見た。

「月刊COMICリュウ」にて連載中の平尾アウリ原作で、昨年テレビ朝日系でテレビドラマも放映していたアイドルの推し活をする「推し活女子」と地方のご当地地下アイドルの成長を描いたコメディ&ヒューマンドラマ。
個人的には、原作漫画だけでなくテレビアニメ版もテレビドラマ版もあるが、そのどれにも接してはいないが、妙に気になっていた『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』。しっかりとした設定とテレビドラマ版の続編として展開されながらも、分かりやすい地下アイドルと推し活女子の成長譚&コメディは清々しく、原作・テレビアニメ・テレビドラマ未見者でも楽しめる。

主人公えりぴよは大好きな岡山のご当地地下アイドルChamJamの舞菜に収入の全てを注ぐ程の「推し活」をしている。ある日、舞菜は練習中にトラブルにあい、出演予定のライブを休むことになり、舞菜推しのえりぴよは胸中複雑に。

ストーリーは贔屓のアイドルの推し活に明け暮れるオタク女子とご当地地下アイドルグループ内で一番地味で人気が薄い舞菜を中心にして展開。岡山という地方都市で地道な活動で徐々に人気を得るアイドルグループChamJamの成長を見るのはインディーズのバンドの成長譚にも通じるものがあり、そういう意味ではかつて『NANA』と『NANA2』の監督・脚本を手掛けた大谷健太郎監督が本作を手掛けていることに納得。

 

これに贔屓のアイドル推しにのめり込む20代の女性を主人公にしたオタクコメディドラマになっている。彼女だけでなくお笑いグループ「レインボー」のジャンボたかおが演じるオタク仲間のくまさや豊田裕大が演じる基など野郎のアイドルオタクも『あの頃。』や『ヲタクに恋は難しい』以上にオタクらしいオタクをコミカルに描き、好感が持てる。

一方的なアイドル推し活のめり込みを見せるだけでなく、えりぴよが普段働くパン工場での仕事風景も見せ、そこにも推し活を持ち込んでしまう辺りに強引ながらもギリギリで推し活女子の微笑ましさを感じる。

テレビドラマ版と劇場版の共通の疑問として、主人公のえりぴよの方が地下アイドルのChamJamよりも可愛いという矛盾があるが、そもそもの原作からそうだから、それを忠実に再現しただけで、それはやむを得ないとするしかない。原作が現在連載中とあってさらなる続編ありきの作りで、展開もそれなりの波はありはするが比較的無難な流れで意外性は薄い。しかしながら、地下アイドルの成長とアイドルオタクらしいアイドルオタク映画としては存分に楽しめる。

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