小原明子

書くことや編集やってます。2017年から休んでいたのを再び始めました。

小原明子

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最近の記事

確かな日常に少しずつ愛をこめて

先日、打ち合わせ後、近くのファミレスで仕事をしていたら、隣の席で人事の引き継ぎをしておられました。「役付きはおさえておいた方がいいですねー。」とか言っておられ、変化の季節であることを実感。 我が家も大変化の年でして、長女がどうやら保育園を卒業して、小学校に入学するようです。卒園式も終えて、本日いよいよ最後の登園なのですが、まだ実感が湧きません。卒園のために、アルバムや文集制作があったり、入学のために必要なものを揃えたり、名前をつけたりと、色々実感するポイントはあったのですが

    • 世界はアウェーじゃなかった

      去年末、4月から小学生になる長女の保育園最後の懇談会があった。小学校入学に向けて、園ではこういう取り組みをしていきますという報告や、卒園式やお昼寝なしになる日程などを聞いた後、園児の親が一人ひとり保育園生活を振り返って、コメントをいうことになった。 思えば、この5年間、色々あった。それは、私だけでなく、園児の数だけ色々あった。先生も色々あった。そんなことを、皆んなの話を聞きながら、時には涙しながら、しみじみと感じあった時間だった。 東京で働きながら子供を育てる。親が近くに

      • 戦場のガールズ・

        この前、友人と雨宮まみの話をした。死んだからだ。私は、4年程前にある紹介記事で(呟きだったか、ブックレビューだったか、ブログだったか忘れてしまったが)雨宮まみの著作『女子をこじらせて』を知って、読んでいた。その後、最近の本やWEB連載などは読んでいなかったのだが、訃報を聞き、やはり思うところがあって、いろいろ彼女に関する記事を読んでいた。この友人と雨宮まみの話はしたことはなかったが、彼女は雨宮まみがAVライターをしている頃から知っていたらしく、お互いに短い間そのことについて、

        • 『永い言い訳』

          親元を離れ大学に入ってから、子供を産むまでの10年は、自分の好きなことをとことんやって、自分のためだけに生きた10年だったと思う。それは裏を返せば、自分が好きではないものに対して頑なに背をむけてきた時間だったということもできると思う。 西川美和『永い言い訳』を読んだのは、二人目の子供を産んで、復職して三ヶ月後ぐらいの時だった。そのとき私は、周囲から大きな変化を求められていた。でも当時の私はまだ、周りの環境の変化に合わせて自分を柔軟に対応させることができるほど人ができておらず

        確かな日常に少しずつ愛をこめて

          逃げ場のない男たち

          最近、私は「逃げ場のない男たち」というテーマで取材をしていた。 これは最初から私が興味のあったテーマだったわけではない。「新しい家族の形」を考察していたところ、突き当たったテーマであるといえるだろう。 世間では、有名人男性の不倫や薬物問題のニュースが、ここのところずっと途切れなく流れているような気がする。男と女のいざこざは、とうのとうの昔からあるわけで、最近の社会と照らし合わせて話すことではないような気もするが、「セックス依存」の場合、話は別だろう。薬物やギャンブル、酒な

          逃げ場のない男たち

          「助けて」と言える能力

          NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』保育士・野島千恵子の回を見た。この回で取り上げられている野島は、障害のある子どもや年齢の異なる子ども一緒に育てる「インクルーシブ保育」の実践をしている保育士として紹介されていた。「インクルーシブ保育」をするきっかけは、障害をもった子どもを、他の子どもたちが特別視していることに危機感をもち、それを変えていかねばという思いからということだった。「お互いに支えう」社会の実践は、やはり教育から得られるものだということを、ひしひしと感じられる放送だ

          「助けて」と言える能力

          ぞうのハナコさん

          ぞうのハナコさんが死んだ。 今年年長になる長女は、一年半くらい前から「死」について興味を持ち始めた。ある時、「お母さん、死んだらその後どうなるの?」と突然聞いてきたことがあった。私はハッとしたものの、何かの作業中だったので「地獄か天国に行くんじゃないかな。」と少し適当な返答をしてしまった。娘はその答えには納得できなかったらしく、帰宅した夫に改めて同じ問いを投げかけていた。夫は「お父さんは死んだことないから、わからないな〜。」と言ったもんだから、娘は「お母さんは死んでないのに

          ぞうのハナコさん

          「産む」をめぐる女性の身体論について

          結婚してからというか、子供をうんでからというか、育ててからというか、社会と私の間にズレがあって、なんともいえぬ違和感をずっと抱えてきたように思う。それがなんであるのか上手く表現できずにいた。そして、それと並行して持ち続けている疑問が、何で私たちは「産む」ということに、こんなにも捕らわれなければいけないんだろうということである。入り口はここである。 Tokyo Art Research Labの「思考と技術と対話の学校」というプログラム内に、熊谷晋一郎と伊藤亜紗が、それぞれゲ

          「産む」をめぐる女性の身体論について

          6歳のボクが、大人になるまで。

          今年の初め、私の頭頂部に光るものを発見。一本だけ白髪が生えていた。私は、「!!?」となったものの、少し嬉しかった。ああ、私も歳をとっているんだなぁと、おばちゃんになってきたんだなぁと実感したからだ。こういう目にみえる変化がないと、なんだかいつまでも20代のような気持ちですごしてしまう。 映画『6歳のボクが、大人になるまで。』を見た。 いい意味で、人生ってこんなもんだよなと思わせてくれる映画だった。恋愛って、母親って、父親って、子育てってこんなもんなんだよ。何か起こりそうで

          6歳のボクが、大人になるまで。

          なけない女のやさしい気持ち

          先日、テレビをつけたら中村正人さんの番組ゲストにCharaが出ていた。Charaはトーク部で、子供のためにお弁当作っていることなどを話していて、「そういや最近のPVに娘が出てるんだっけ?」とか思いながら見ていた。 Charaは、中村さんに「育児と仕事大変?」的なこと聞かれ、「寝る時間ないよね。」とサラッと答えていたり、娘の写真を見て、「どっちにも似てるよね。」と答えたりした後、『やさしい気持ち』を歌った。 CharaとYUKI、この2人は私達の世代にとっては特別だ。「いつ

          なけない女のやさしい気持ち

          男の娘

          最近、大学時代のサークル同期がFacebook上で突然「男の娘」化していて驚いた。最初はただの女装の写真をあげてるのかと思ったら、どうやら違うらしい。しかも、コメントを見ても誰もそのことには触れていない。…なんで?!彼はヘテロセクシャルだったと思う。…バイセクシャルだったのかな?…しかも、期間的に急激な男の娘化。 私は我慢できず、サークル同期皆でグループになってるLINEで聞いてみた。すると、まず本人からではなく、周りの優しい人から至極納得の答えが返ってきた。 彼は色んな

          『Drifter』

          昨日、友が彼氏を紹介してくれた。 あぁ、こんなにも彼女に合う人が、まだいたのか、人生って素敵だな、そして偉大だなと思った。 彼の、彼女を見る眼差しの優しさに触れる度、涙してしまった。 信頼を寄せていた人の悪意ある裏切りに悔し涙し、時に自分を引っ込め折り畳んできた私たちだからこそ、その人がいることで、自分が自分以上に自分らしくいられる出会いの稀有さを知っている。 人生って面白い、そして、まだまだこれからだと、なんとなく、2人をみてそう思った。 メディアではことあるごと

          『Drifter』

          空気をすくいとる

          下の子が保育園に入りました。 その娘が入った1歳児クラスは3人担任がいて、そのうちの1人が男の先生です。 その先生は去年から今の園に赴任になり、ママ達からは男性なので0や1歳の乳児クラスは難しいのではないか(乳児は知らない男性にあまり懐かないので)と噂されてましたが、その予想を覆し、今年度は1歳児クラスの担任に! 下の娘は超絶人見知りで、どこにいっても私の周りから離れず、保育園大丈夫かな…いきなり長い保育になるし、対応できるかな…と思っていたのですが、なんとその男性の先

          空気をすくいとる

          『暮らしの手帖』

          怒涛だ。一日が怒涛に終わって、一週間が怒涛に終わって、一ヶ月が怒涛に終わっていく。 会社からの帰り道、保育園のお迎えに間に合うように、ずんずんと歩いている私。歌舞伎町の端にあるパチンコ屋の前で、テンガロンハットをかぶってハッピを着て蝶ネクタイをして、演歌をバックに踊っているおじさんを横目にみる。…怒涛だ。 週始め月曜日。 24h、労働と生活でみっちりという感じ。適度に動き、早寝早起き、同じ生活リズム、食事も子供に合わせるからバランスのよい食事を適度に、体重も減り、子供を

          『暮らしの手帖』

          『そこのみにて光輝く』

          やっと映画『そこのみにて光輝く』を見た。 久しぶりに邦画を見て心が震えた。「映画ってこういうことなんです。」と言って、何の関係者でもないのにチラシを配って歩きたくなった。撮影・録音・脚本・照明・美術・音楽は誰がやっているのかエンドロールで確認後、ホームページを見て調べた。このカットはどこから照明あててるのか、この音マイクどこに置いて拾ってのか、知りたくなった。サントラを買いたくなった。つまりはその、映画を撮りたくなった。 海岸を歩いていると、サンダルと足の間に入ってくる砂

          『そこのみにて光輝く』