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記事一覧

教育改革を改革する⑥

(前回の続きです。今回も寺田拓真さんの著書『教育改革を改革する』から引用を中心に。)

「理想はわかったけど、いったい何をすればいいの?」
この問いについて寺田さんは、こんな答えを書いていました。
先生方にやっていただきたいのは、次の二つのことです。
第一に、「ラーニング・コミュニティ」のメンバー、生徒たちの学びに関わる大人たちと、積極的に対話してください。その中に「学びをつなぐ」ヒントはたくさん

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教育改革を改革する⑤

(前回の続きです。今回も寺田拓真さんの著書『教育改革を改革する』から引用を中心に。)

教育の危機を救うのは、やはり教育の力。つまり、鍵を握るのは、「教育行政として、教師に対して、どれだけ成長の機会を届けられるか」だと寺田さんは言っています。

教師が実践の改善を行なっていくことで、教育の危機が救われるのです。
そのために、教師がリサーチマインドをもって取組をする必要があります。「リサーチマインド

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教育改革を改革する④

(前回の続きです。今回も寺田拓真さんの著書『教育改革を改革する』から引用を中心に。)

学校文化を変えられるのは、トップダウンの「教育改革」ではなく、ボトムアップの「実践改善」なのです。

しかし、現状、学校が実践改善を行うのは、困難な状況にあります。なぜなら、取組を進めるために不可な「四つのリソース」が、学校にはいずれも欠けているのです。

①「カネ」
②「ヒト」
③「盾」外部からの批判や介入か

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教育改革を改革する③

(前回の続きです。今回も寺田拓真さんの著書『教育改革を改革する』から引用を中心に。)
教育改革を巡る議論というのは、「片方が正しくて片方が誤り」というシンプルなものではなくて、「人生観」を含む議論なので、どっちも正当性を持っていて、教育の舵取りを任せるには、どちらの側にも同じぐらいの危険性があるということなのです。

寺田さんは、「だからこそ、子どもたちが教育の舵取りを担うべき」と考えています。

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教育改革を改革する②

(①の続きです)

文科省や教育委員会から「流星群のように」教育改革が降ってきています。では、文科省など教育行政はいったい何を考え、どのように施策を決めているのか、そして教育行政はどうあるべきか、というところを寺田さんは触れています。

教育行政は、マクロレベルの知見と、現場主義によって得られるミクロレベルでの個々のエビデンスの位置付けと、そこから得られる含意を基に仮説を立て、実践改善に向けた検証

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教育改革を改革する ①

年末から年始にかけて読んだ本です。ここ数年教育関係の本をそれなりに読んできていますが、かなり考えさせられる、勉強になる本です。

筆者の寺田拓真さんは、文科省で教育改革に携わり、その後広島県で教育改革を行い、その後アメリカに留学するという経歴の持ち主です。その寺田さんが、「教育改革を改革する」という考えを持って、この本を書かれました。

寺田さんは、教育改革が「流行化」しており、行政から様々なプラ

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『優れたリーダーはみな小心者である』

タイトルを見た瞬間、心惹かれた本です。それだけ自分が小心者であるということですが…

株式会社ブリヂストン元CEOの荒川詔四さんの書かれた本です。

帯には、「内向型人間こそ本物になれる。」とあります。一般的なイメージとして、リーダーこそ大胆さや豪胆さが求められると思います。とにかく改革が必要なときには、強引さも必要です。

しかし、その横に、

○心配性こそ「先見性」のもと
○「不安」だからこそ

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ネガティブ・ケイパビリティ

帚木蓬生さんの
『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』 (朝日選書)を読みました。

タイトルにもなっている「ネガティブ・ケイパビリティ」とは「容易に答えの出ない事態に耐えうる能力」のことです。

言い換えると、
「性急に答えを求めず、宙吊りの状態に耐える能力」
「不確かさの中で事態や情況を持ちこたえ、不思議さや疑いの中にいる能力」
「拙速な理解ではなく、謎を謎として興味を抱い

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『「未来の学び」をデザインする―空間・活動・共同体』を読んで

『「未来の学び」をデザインする―空間・活動・共同体』
(美馬 のゆり、山内 祐平)2005 東京大学出版会

2005年出版とちょっと前の本ではありますが、
twitterで高橋一也(@kz8_takahashi)さんが
紹介していて気になったので、購入して読んでみました。

https://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%81%AE

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