軒に吊るせば【てるてる坊主考note#36】
はじめに
ここ最近ずっと、民俗学者・柳田国男(1875-1962)の「毛坊主考」を読んでいます。大正3~4年(1914-15)に発表された長編論考です。そのなかの「ネブタ流し」と題したある一章で、人形送りの行事が話題にのぼっています。具体的には虫送り・疫病神送り・雨乞い・雨風祭りといった行事です。
柳田によれば、人形送りの行事の基盤にあるのは、もろもろの災厄の原因を悪霊のしわざと見なす発想。そうした悪霊を人形に託して村境へ送り出したり、海や川に流し去ったりします。災厄