マガジンのカバー画像

“わたし”が紡ぐ虚の物語

156
わたしという存在の片鱗。 ちょっとした余白にメモする感覚で書いています。 【タイトル変更履歴】 『嘘つきは作家のはじまり』⇒『わたし世界』⇒今
運営しているクリエイター

2017年1月の記事一覧

日々を生き散らかして

日々を生き散らかして

 会社員時代、社内で一番ぶっ飛んでいた(一部の人たちがおもしろがって「ク〇リをやっている」なんていう噂を流していたくらい)営業のMさんから、あるときこんな話を聞かされた。

 彼はある日、近所のホームセンターまで買い物に行ってきた。そこで目当てのものを購入し、徒歩で家に帰ってきて眠りについた。翌朝、出かけようとしたらバイクが見当たらない。
「あれっ、ホームセンターに置いてきたかな?」
 真っ先にそ

もっとみる
「壊れる」魅力

「壊れる」魅力

 いい人、やさしい人、気の利く人、頭の切れる人になりたかった私は、いつのまにやら「どこか壊れた人でありたい」と願うようになっていたらしい。

 噂の占い師・しいたけさんの週間占いで、『魚座で魅力的な人ってどこか「壊れている」という人なのです』という一文に血が騒いだ。

 勢いのまま、ちょうどその週会うことになっていた友人に、

『私は今週は「壊れる」がキーワードでした。だから、壊れた私で会いにいき

もっとみる
ビターな夢は幻と化し

ビターな夢は幻と化し

 カカオ濃度、香り、甘さ、まろやかさ……今日日(きょうび)、ビターチョコレートは何通りもの商品が用意されており、どこの店でもひとつは好みのタイプが見つかる。

 しかし、ウィスキーボンボンに関してはそう簡単にはいかない。スーパーやコンビニで手軽に手に入るものはどれもこれも甘すぎるのだ。

 高カカオチョコレート並に苦いボンボンを求めて、私はネット上をさまよった。結果、「Mのウィスキーボンボンは苦い

もっとみる

味の再現度



豆乳に バルサミコ酢を 大さじ1
混ぜれば不思議 完熟バナナ

 恋人が職場の方からお土産にいただいたバルサミコ酢を預かっている。このままアイスやサラダにかけてもおいしいらしいのだけど、彼はこういう風変わりなものをあまり好まないので、実質的に私がもらったようなものだ。

 せっかくだからとおいしい食べ方を検索していたら、豆乳に混ぜて飲むという方法を見つけた。人によってはゲッと思うかもしれ

もっとみる

縦割れの謎/手荒れの恩恵

 ほとんど水仕事をしないのに、なぜか毎年アカギレができてしまう。それが、これまでは主に指の関節の部分が皺に沿って割れていたのだけど、今年はなぜか縦に亀裂が入っておる。

 溝のとおりに裂ければ楽なものを、どうしてわざわざ皺を横断する気になったのか。どうでもいいことだけど気になる。

 ところで、恋人は、肌が弱いのに手だけは荒れたことがないらしい。私の部屋で食事をしたときは、ほぼ毎回後片付けをしてく

もっとみる

魅惑のTHE・Chocolate

 特にダイエット中でも深刻な病気を患っているわけでもないけれど、究極のアンチエイジングを研究している私は、変人の域に達するレベルでストイックな食生活を送っている。

 特に白砂糖は避けたい食材ベスト1位なのだけど、何かを考えたり書いたりしていると、ときどき無性に甘いものが恋しくなる。そんなときの心強い味方がハイカカオチョコレートだ。昨今のブームで商品展開が進み、最近はどこのスーパーでも手軽に手に入

もっとみる

量産欲求

 封筒に宛名シールを貼りつけたり、商品に値札をつけたりと、同じ作業を繰り返すことが私はけっこう好きだったりする。

 一時期、ベルトコンベアーで流れてくるボールペンにひたすらキャップをはめるだけのゲームが流行っていたけれど、あれもしばらく気に入っていた。あとは、会社でも単純作業が回ってきたときは率先してやっていた。

 量産することに魅力を感じるのだ。手元に完成品が溜まっていく感覚がたまらない。

もっとみる

第一回Kino-Kuni文学賞で佳作をいただいた

 本日、第一回Kino-Kuni文学賞の最終発表が公式サイト上で行われた。そして、ありがたいことに長編小説『おやすみの代わりに爪痕を』で佳作をいただいた。

 同時に応募した他の作品の中で唯一未完成のまま送ったものだったので、正直、喜びよりも「まさかこれが選ばれるとは」というおどろきの方が大きかった。

 作品名・作者名とともに、選考委員の方の選評が掲載されていたのだが、その中に次のような言葉があ

もっとみる

至福の空下洗濯

 私の部屋は洗濯機をベランダに設置するようになっている。引っ越してくる前は「わざわざ外に出て洗濯するなんて面倒だな」と思っていたのだけど、いざ使い始めてみると思いがけず空を眺める時間が増えて、おかげで前よりも洗濯が好きになった。

 洗濯するタイミングは日によってバラバラだけど、一番多いのは夜。空っぽにした頭を星空で満たして、洗濯槽に水が溜まっていくのを待つ瞬間がお気に入り。(二槽式の洗濯機を使っ

もっとみる