うぶげ

ごく普通の社会人。文学部卒なのになんにも書かないのは勿体ないなァと思ってnoteを書い…

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ごく普通の社会人。文学部卒なのになんにも書かないのは勿体ないなァと思ってnoteを書いてみる。 アイコン▷▶▷haruchart様

記事一覧

どんな講義だった?

私が今までに投稿した6つの記事は、大学の講義で書いたものです。 その講義は、4年間で履修した講義の中でもかなり変わった内容で、テーマに沿った文章を書く、というもの…

うぶげ
2年前
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課題06.短編小説 「枯れ尾花」

 虫の知らせとか、心霊体験とか、正直ウンザリする。「夢で見た」とか「あなたの前世は……」とか、そういうスピリチュアルな話を聞くことがあるけど、眉唾だろって思…

うぶげ
2年前
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課題05.「幸福」について

「今日は絶対リアタイで見なくちゃ!!!」  録画しているにもかかわらず、睡魔と闘いながらテレビにかじりついた。次回予告が終わった瞬間、スマホが鳴った――。  …

うぶげ
2年前

課題04.「愛」について

誰もが持っている。  溢れるばかり持っている人もいれば、乏しい人もいる。  与えることが好きな人もいれば、貪欲に欲する人もいる。  自分が沢山持っていても…

うぶげ
2年前
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課題03.「家族」について

兄が中学生の頃、母に散髪してもらうことになった。カット用のはさみが無かったため、ヘンケルの鋭利なキッチンばさみでチョキチョキ切ってもらっていた。しかし、手が滑…

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2年前

課題02.「子供」・「大人」について

あぁ、今日もやってしまった。と午前中のバイトでのミスを思い返しながら、私は三条通り沿いにぽつねんと佇む喫茶店へと向かう。木製の扉を開けると、黒のベストを羽織っ…

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2年前

課題01.この夏の出来事

あんなに不味い焼き肉を食べたのは初めてだった。  八月に私と母、そして兄とその奥さんの四人で焼き肉を食べに行った。兄夫婦は今年の二月に結婚式を挙げたばかりの…

うぶげ
2年前
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どんな講義だった?

私が今までに投稿した6つの記事は、大学の講義で書いたものです。

その講義は、4年間で履修した講義の中でもかなり変わった内容で、テーマに沿った文章を書く、というものでした。

教授から具体的な指南はありません。テーマもかなりざっくり。
形式も字数も自由で、エッセイ仕立てでも、小説でも、「私はこう思う」みたいな意見文でもなんでもOK。

講義の前日までに教授に作品を送信すると、受講生だけが見れるネッ

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課題06.短編小説 「枯れ尾花」



 虫の知らせとか、心霊体験とか、正直ウンザリする。「夢で見た」とか「あなたの前世は……」とか、そういうスピリチュアルな話を聞くことがあるけど、眉唾だろって思う。よくショッピングモールの隅で営業している三十分二千円の占い師だって、銀座の母だって、水晶玉を覗けば未来が分かるわけじゃない。所詮はコールドリーディングなんだ、きっと。

 信じている人に霊や霊気の類いは存在しないって証明しろと言われ

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課題05.「幸福」について

「今日は絶対リアタイで見なくちゃ!!!」

 録画しているにもかかわらず、睡魔と闘いながらテレビにかじりついた。次回予告が終わった瞬間、スマホが鳴った――。

 高校一年生の秋、『おそ松さん』のアニメが始まった。四人グループのうちのIとFが、一話を見たときに既にハマっていた。二人はグループを引っ張るリーダー的存在で、私とTはそれに追従するような関係だった。私は自然とそのアニメを見始めたがTは興

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課題04.「愛」について

誰もが持っている。

 溢れるばかり持っている人もいれば、乏しい人もいる。

 与えることが好きな人もいれば、貪欲に欲する人もいる。

 自分が沢山持っていても、使い道が無い場合もあるし間違えて使えば他の人も巻き込んで不幸にしてしまう。

 お金と似ているが、形が無く見えないだけにとても厄介である。

 そんな愛について考えても、まだ家族の愛以外知らない私には難解だ。少し変わってはい

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課題03.「家族」について

兄が中学生の頃、母に散髪してもらうことになった。カット用のはさみが無かったため、ヘンケルの鋭利なキッチンばさみでチョキチョキ切ってもらっていた。しかし、手が滑ったのか、耳の端を「ぷっつん」と切ってしまった。兄は痛みに悶絶しているにもかかわらず、「ぷっつん」という音があまりにも、文字通りの「ぷっつん」だったという理由で、母は腹を抱えて笑っていたらしい(しばらくしてから手当はしたそうだ)。兄は社会

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課題02.「子供」・「大人」について

あぁ、今日もやってしまった。と午前中のバイトでのミスを思い返しながら、私は三条通り沿いにぽつねんと佇む喫茶店へと向かう。木製の扉を開けると、黒のベストを羽織った年配のマスターが笑顔で迎えてくれる。席に着くが、メニューは手渡されない。その代わりに、「いつものでよろしいでしょうか」と聞かれ、私はそっと頷く。そして、十五分ほどすると、ランチタイム・セットⅡ(紅茶、ホットドッグ、ヨーグルト、フルーツの

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課題01.この夏の出来事

あんなに不味い焼き肉を食べたのは初めてだった。

 八月に私と母、そして兄とその奥さんの四人で焼き肉を食べに行った。兄夫婦は今年の二月に結婚式を挙げたばかりの、いわゆるアツアツ新婚カップルだ。彼女は愛嬌があって、誰からも好かれるような魅力的な女性だ(蛇足だが、顔はMay J.に似ている)。

 座敷に座ってから間もなくすると、予約していたコースの肉が運び込まれた。スーパーの肉とは違って、脂

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