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記事一覧

『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(坂本龍一)

『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』
(坂本龍一)

『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』
(坂本龍一)

2021年1月 直腸ガンの手術を終えた後、病室で教授がふとつぶやいた言葉がこの本のタイトルになった。内容は2009年から今年3月28日に亡くなるまでの活動の振り返り。享年71歳。彼が息を引き取ったとき 家族のひとりは「71年だけれど、でも、人の3倍は生きたよね」といった。まわりもその言葉に同

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「一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート 」(上原 善広)@読書記録 #1

室伏広治のトレーニングの師匠 溝口和洋(元やり投げの世界記録2位保持者)の伝記。

男子陸上の投擲競技は、砲丸(7.26kg)、ハンマー(同)、円盤(2kg)、やり投げ(800g)の4種目。これらは元々、ヨーロッパにおける「力比べ」をルーツに持っているので、大きな体格と力があればそれなりの結果がでる。パワー勝負なのだ。

そこで溝口さんは現役時代の練習をウェイト中心にしていた。1日 12時間ぶっ通

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『医者が教える正しい病院のかかり方』(2020 / 山本健人)を読んだ

『医者が教える正しい病院のかかり方』(2020 / 山本健人)を読んだ

「後医は名医」という医療関係者の間で有名な言葉がある。最初に診た医師より後から診た医師の方が、より正確に診断しやすいから、患者にとって「名医」になりやすいという意味だ。

例えば、子供の腕にブツブツができて、近所の皮膚科(A)で処方された軟膏を1週間塗っても治らなかったが、その後、隣町の皮膚科(B)に診てもらったらすぐに治ったとする。

この話を聞けば多くの人(患者側)は「B院には名医がいる(また

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「免疫力の正体」 (『新型コロナウィルスの真実』/岩田健太郎)

「免疫力の正体」 (『新型コロナウィルスの真実』/岩田健太郎)

"「免疫力」はメンテナンスをする(高低のバランスを取るもの)もので、アップさせるものではない”と考える。休養・睡眠・栄養・適度な運動…普通の生活をするのが、結局は一番大切。
#これ飲んだら免疫高まった系の話は疑え
- COVID-19に関して、「予防に効く」ような食品はない。現段階で、臨床試験で証明された治療薬が存在しない以上
「私はこれ飲んだら大丈夫だった」系の話(納豆やヨーグルト)はデタラメ

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「江戸の私塾」の読書法

「江戸の私塾」の読書法

【掩巻(えんかん)】
書物を少し読み進んだら、本を閉じて頭の中で内容を追想する。アタマの中ですぐにトレースする方法

【慎独(しんどく)】
読書した内容をひとりじめしない。「必ず他人に提供せよ」という方法。独善や独占を慎むということ。

ぼくが最も感動して真似したのは、兵庫県の但馬に『青谿書院』を開いた池田草案の方法ですね。但馬聖人と呼ばれた。のちに吉田松蔭が真似をするのですが、二つありま

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ライフネット生命・岩瀬大輔さんの「アジャイル型」仕事術に学ぶ

ライフネット生命・岩瀬大輔さんの「アジャイル型」仕事術に学ぶ

10年位前、千原ジュニアがテレビ番組「にけつ」の中で、「自分が今までの人生で出会った中で、最高学歴の人」として岩瀬大輔さん(ライフネット生命会長)のことを紹介していた。

正確にいうと、そのとき岩瀬さんの名前は出していなかったが、次のように説明していたのでまず間違いないだろう。ハーバードMBA卒業時の成績が上位5%以内で、ネットの保険会社を立ち上げた人間は日本に2人といないはずだ。

>東大在学

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「アメリカがコンピュータ大国になれた理由」(by痛快!コンピュータ学)

「アメリカがコンピュータ大国になれた理由」(by痛快!コンピュータ学)

1998年4月に出されたクリントン政権の大統領教書の中に「デジタルエコノミー」という言葉が使われ、そこにはアメリカがコンピュータ大国になるべき理由が”教育にあること”を明確に述べられている。

「1.強いアメリカを作っていくのだ(Why)」
→今のアメリカの経済は世界一。このトップの座を21世紀でも維持し続ける。それがアメリカ国民の幸福につながる

「2. それには、アメリカの将来を支える子供たち

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「どこまで経費計上していいの?」これからフリーランスになる筆者が読んだ確定申告の本

「どこまで経費計上していいの?」これからフリーランスになる筆者が読んだ確定申告の本

紹介する本現役税理士(大河内先生)と漫画家あんじゅ先生による共著マンガ。
「確定申告ってどこまで経費計上していいの?」という筆者の疑問に直球で応えてくれました。

筆者の立場「確定申告で100点取れているフリーランスはいない。
細かいを気にし過ぎず、がんがん計上してしまえ」

経費の考え方・経費の基本は、自分の仕事に関連しているかどうか?
・経費の判断は、税務調査官の数だけ解釈がある=せいかいはな

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「南の国のカンヤダ」(鈴木敏夫)-作品の原点はレヴィ・ストロース

「南の国のカンヤダ」(鈴木敏夫)-作品の原点はレヴィ・ストロース

"自分がやることをあらゆる角度から徹底的に研究するのは、野蛮人と農民と田舎者だけである。それゆえ彼らが思考から事実に至るとき、その仕事は完全無欠である"
(H・ド・バルザック「骨董室」)

『南の国のカンヤダ』(著:鈴木敏夫)はタイのシングルマザーのノンフィクション小説。シングルマザーのカンヤダとバンコクに住む青年との恋愛物語だが、本書で描かれているのは、地方と都市に住む人間との思考の違いであり

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